ROM2アダプタ
ジャンル:ハードウェア
媒体:接続機器
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1990年4月8日
価格:6900円
商品番号:RAU-30
◆無計画なハード乱発を象徴する一品
PCエンジンはとにかくハードの種類が多い。中核となるPCエンジン本体だけでも何種類もあるし、「コア構想」にもとづいてPCエンジン後部の拡張コネクタに接続するさまざまな周辺機器も発売された。のちにPCエンジンの主力となるCD-ROM2システムだって当初はオプションで別売され、本体に合体させる周辺機器だったのだ。
さらに上位互換機である「PCエンジンSUPER GRAFX」の存在が混乱に拍車をかけている。コア構想に基づく拡張コネクタの形状こそ同じだが、巨大なコントローラー「パワーコンソール」なんてのものの接続を考慮したため非常にケッタイなボディデザインになってしまった。そのデザインを見たNEC−HEのあるスタッフは「さすがに目まいがした」とまで語っている(笑)。結局パワーコンソールは発売中止となり、「スパグラ」の異常な形状はただのお荷物になってしまった。
それでもNEC-HEは家電屋的体質というのか、一度発売した商品についてはしつっこくサポートし続ける傾向があった。初代CD-ROM2システム所有者にシステムカードのバージョンアップをさせることで末期のソフトまで遊べるようにしていたし、やはり特異な形状をもつ「PCエンジンLT」を「スーパーCD−ROM2」に接続できるようにするための「スーパーロムロムアダプタ」なんて細かい商品も出していた。そもそも「スーパーCD-ROM2」というハード自体がPCエンジン本体もしくはスパグラ本体のみの所有者にSCD環境を提供するためという細かい商品で、これまた異様なデザインになっていた。
さてこの「ROM2アダプタ」というのは、まだSCDに移行する前の段階の初代CD−ROM2システムを「スパグラ」に接続できるようにする、というまさに隙間埋め的商品である。上記のように「スパグラ」はかなり異様かつ巨大な形状をしているために初代のCD−ROM2システムには接続が不可能だったのだ。これは「スパグラ」については当初はCD-ROMの利用を考えていなかったのかな?と思うしかないのだが、買った人から文句でも出たのか、あとからこのような接続アダプタを発売することになった。ホント、無計画かつドロナワなことである。
その接続方法たるや…NEC−HEのドロナワっぷりが、もっとも象徴的に現れる光景が左の写真だ。念のため説明しておくと、左側にあるのがCD-ROM2システム。その本来PCエンジン本体を接続する部分に「ROM2アダプタ」の正方形部分を接続する。そしてそこから太くて丈夫な黒いコードが伸びて、「ROM2アダプタ」の「スパグラ」本体と合体する部分につながる。そして「ROM2アダプタ」と「スパグラ」はスパグラ後部の拡張コネクタで合体、という具合になる。もちろんスパグラでCD-ROM2を遊ぶにはシステムカードが必要なので、スパグラのHuCARDスロットにそれを差し込んで起動することになる。
…とてもゲーム機とは思えない、何やら機械の怪物めいた姿である(汗)。こんなやたらに場所をとる環境でPCエンジンを遊んでいた猛者がどれだけいるか知りたいものだ。なお、この状態で「アーケードカードPRO」を加えれば、すべてのPCエンジンソフトが遊べる最強環境となる(笑)。
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