スーパーCD-ROM2

ジャンル:ハードウェア
媒体:周辺機器
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1991年12月13日
価格:47890円
商品番号:PI-CD1


外観◆周辺機器としての「SCD」

 PCエンジンのハードはややこしい。これについては全く反論の余地がない。そのややこしさが普及をさまたげた、価格以外での大きな要因なのも確かだ。僕だって最初にPCエンジンを買おうと決めたときにかなり戸惑い、事前にいろいろ調べねばならなかった。僕の場合、ちょうどその時期にハード&ソフトカタログの「SUPER PCengineFAN」が発売されていたので独学で調べることができたのが幸いというもので、今みたいにインターネットもない時代、一般のゲーマーが買うにはかなり勇気の要る混乱したハード状況だったものだ。

 混乱の原因は明らかに「コア構想」にある。PCエンジンを中核(コア)として、それにさまざまな周辺機器をつなぐことで多様な目的に使ってもらおうというアレだ。そのためにPCエンジン本体はえらく小さいサイズで、後部に大きな接続端子をそなえる設計になっていた。しかしこの「コア構想」で商品化されたものもほとんど失敗に終わり、唯一生き残り、PCエンジンが他機種と一線を画す売りとなったのが「CD-ROM2(ロムロム)システム」だった。そこでNEC-HEとハドソンはPCエンジンをCD-ROMゲームマシンとする戦略に一本化し、従来よりバッファRAMを4倍に拡張(0.5メガビットから2メガビットに)した「SUPER CD-ROM2」のソフト&ハードを1991年秋以降に発売することになった。

 最初に発売されたSCDマシンは、ハード接続の必要がなく単体で遊べる一体型マシン「PCエンジンDUO」(91/9/1発売)だった。これは実際にヒット商品となり、その後のPCエンジンハードの中核をになうことになるのだが、従来のPCエンジンマシン所有者にもSCD環境を提供する必要もあった。旧CD-ROM2システム所有者には「スーパーシステムカード」発売によるバージョンアップを提供することになるのだが、まだCD-ROM2システムを持っておらず、初代PCエンジンや「コアグラフィックス」「コアグラフィックスII」なお、HuCARD用の本体のみを所有しているユーザーに「これを買ってくださいな」と年末になって発売されたのが、その名も「スーパーCD-ROM2」というハードだ。ソフトの種類と同じ名前でわかりやすくしたつもりなのだろうが、これまたかなりの混乱を呼んでいる(笑)。

 さてこのハード、上にあげた写真を見ても分かるように、ゲームマシンとしてはかなりケッタイな構造をしている。それというのもこのハードはあくまで「CD-ROMドライブ」にすぎないからだ。前方にカバのデッカい口を思わせる接続部分があり、ここにPCエンジンの本体ハードを、まさに「くわえこんで」接続する仕組みになっている。
 実際にどんな感じなのか、例をズラッとお目にかけると…

SCD合体その1
SCD合体その2
SCD合体その3
コアグラフィックスIIとの合体。
スーパーグラフィックスとの合体。
LTとの合体(専用アダプタが必要)。

 どれを見てもおよそゲーム機とは思えない(笑)、なにやら不気味さすら漂う合体模様である(写真のせいか?)。じ〜っと見つめれば見つめるほどカバが口開けてるようにに見えてくるんだよな(笑)。

 ともあれ、旧CD-ROM2システムがインターフェイスユニット+CD-ROMドライブとの合体だのシステムカードだのややこしい手続きが必要だった反省から、この「スーパーCD-ROM2」は本体にガチャリとくわえこめば、そのままシステムカード不要でSCDソフトが遊べるという、それなりにわかりやすいものとなっている。とくにコアグラフィックスIIは初めから「スーパーCD-ROM2」との合体を念頭にデザインされており、カラーリングも統一され、左脇に見える付属コネクタを使うことでSCD側から本体に電気を供給できる仕掛けで、スッキリ感が高い。
 またPCエンジンの上位互換機でとっくに失敗に終わっていた「スーパーグラフィックス」にもまだ未練があったようで、これにも直接の接続が可能という設計になっている。実はSCDはスパグラに直接接続が可能な唯一のハードで、この「スパグラ+SCD」の合体にアーケードカードをつければ、すべてのPCエンジンソフトのプレイが可能な「最強のPCエンジン環境」になるのだ!
 ラップトップ型携帯PCエンジンである「LT」は同時期に発売されたものだが、これにも専用アダプタを使うことで接続できるようになっていた。なおこの「LT+アダプタ+SCD」という組み合わせは、定価ならPCエンジン界における最高値の組み合わせであることも付け加えておこう。

 で、このハード「SCD」はどれだけ売れたのか…数字は確認してないんだけど、分かりやすい「DUO」のほうが売れたんじゃないかなぁ。DUO以前のPCエンジン本体ハードを持ってる人向けの商品なのだが、この価格ならわざわざ合体技をかけるよりは「DUO」への乗換えを選ぶ人の方が多かったんじゃないかと。


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