スーパーロムロムアダプタ

ジャンル:ハードウェア
媒体:周辺機器
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1992年3月
価格:5900円
商品番号:PI-AD18


外観◆代表的「隙間埋め商品」

 PCエンジンというゲーム機は開発元がNECというパソコン&家電メーカーであったためか、やたらにハードの種類が多い。ちゃんと計画的にやってるのかとツッコミを入れたくなるぐらい、次から次へと、まさに思いつきでやってるとしか思えない商品(笑)を乱発していた。しかもなまじ旧ユーザーの切り捨てゴメンはしないもんだから、CD-ROMマシン一本化やそのバージョンアップの流れの中で、これまで発売した各種ハードごとにしっかりサポートする商品を出してしまう。こうした商品を僕は「隙間埋め商品」と呼んでいるが、この「スーパーロムロムアダプタ」はそうした商品の代表的存在だ。

 この商品は、ラップトップ携帯型PCエンジンである「PCエンジンLT」と、SCD専用ドライブである「スーパーCD-ROM2」とを接続するために発売されたもの。「スーパーCD-ROM2」については専用の項目記事を参照されたいが、これはPCエンジン本体の後部にパックリとくわえるように接続することでSCDソフトが遊べるようになるというハードで、初代PCエンジン(白PC)でも「コアグラフィックス」でも、「スーパーグラフィックス」でも直接の接続が可能になっていた。さすがに携帯用PCエンジン「GT」は拡張機能が削除されていたため対応しなかったが、SCDと同時期に発売された「LT」は従来の本体ハードと同様に後部に拡張端子があり、各種「コア構想」オプションが接続できるようになっていたため、これに対応する必要に迫られたのだ。

 「LT」は大きめの液晶モニターがついた高級PCエンジンで、旧CD-ROM2システムのインターフェイスユニットへの接続は問題なく出来るようになっていた。ところがこの大きな液晶モニター部分があるために「スーパーCD-ROM2」の前方に出っ張った接続部分にこれがぶつかってしまい、かみ合わせが不可能なのである。SCD立ち上げ時期に設計されたにしては間抜けな話で、NEC-HEのハード設計現場ってずいぶん混乱した状況だったんじゃないかと思えてしまう。

 実際、LT発売前の「ファミコン通信」の記事でも「スーパーCD-ROM2に接続できないのでは?」とツッコまれており、「アダプタを出す予定あり」との回答が載せられている。この「スーパーロムロムアダプタ」の発売時期が、「スーパーCD-ROM2」および「LT」の発売日(91/12/13)から3ヶ月も経ってから、しかも発売日が「3月」とあるだけで明確でないことからも、NEC-HEがこの商品を慌ててドロナワ的に出したことがうかがえる。93年末に発行されたソフト&ハードカタログである「SUPER PCengineFAN」にも、この「スーパーロムロムアダプタ」について「LTユーザーへの救済措置として発売されたもので生産台数は少ない」と書かれている。実際僕も入手にだいぶ手間取ったハードだ。

合体状況 使用方法は写真をごらんいただきたい(左図)。「LT」の後部の拡張端子に「スーパーロムロムアダプタ」をガプっと組み込ませ、さらにその後ろから「スーパーCD-ROM2」をガブリとくわえこませて合体完成。合体してしまえばアダプタの存在はほとんど目立たない。
 なお、「LT」は大型液晶モニターがあるために独自に電源を確保しなければならず、「スーパーCD-ROM2」と「コアグラ」など本体をコネクタでつないで電源を共有するしくみは使えない。

 こんな商品をわざわざ出さなきゃいけなかったというのも呆れる話だが、NEC-HEはこれ以前にも「スーパーグラフィックス」と「CD-ROM2」システムを接続させるための「ロムロムアダプタ」という、もっと奇怪な「隙間埋め商品」を出した過去がある。そのときの経験から何も学んでなかったのかなぁ…


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