スーパーシステムカード

ジャンル:ハードウェア
媒体:システムカード
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1991年10月26日
価格:9800円
商品番号:PI-SC1


外観◆SCDへのバージョンアップシステムカード

 PCエンジンCD-ROMシステムの歴史についての詳しい話は「CD-ROM2システム」の項目に譲るとして、世界初の家庭用ゲーム機向けCD-ROMシステムは、「システムカード」というHuCARDをPCエンジン本体に挿してプログラムを起動することで動作させるしくみになっていた。今から思えば面倒なこの方法だが、本体を買い替えなくてもシステムカードだけ換えれば機能のバージョンアップが出来るという利点もあった。システムカードはCD-ROM2システムに同梱され「Ver.1.0」「Ver.2.0」「Ver.2.1」とマイナーチェンジが行われたが、CD−Gやオートディスクチェンジ機能のついた「Ver.2.1」については別売もされユーザーが買い替えできるようになっていた。だがそこまではあくまでマイナーチェンジであり、ユーザーすべてに買い替えを迫るようなものではなかった。

 そして1991年秋。PCエンジンはCD-ROMマシンとして一本化するべく「SUPER CD-ROM2」システムへの移行が開始された。「SCD」は従来のCD-ROM2システムの弱点であったCDからの読み込みの多さ(バッファRAMが0.5メガビットしかないためCDからの読み込みをしょっちゅうしなければならない)を解消するためバッファRAMを4倍の2メガビットに増強し、より大画面・長時間のビジュアルシーンや派手な演出を可能にした。そしてハードを買わせるキラーソフトとしてハドソンが「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」(’91)そして「天外魔境II卍MARU」(’92)といった超大作RPGを投入、NEC-HEからはSCD一体型マシン「DUO」や、PCエンジン本体に接続する「スーパーCD-ROM2」が発売され、SCDの普及をはかろうと躍起になる。

 この「スーパーシステムカード」はそうしたSCD商品展開の中で従来の「CD-ROM2システム」所有者向けに発売されたもので、従来のハードをそのまま「SUPER CD-ROM2」環境に移行させることを可能にするシステムカードだ。システムカードとしては「Ver.3.0」となる。このシステムカードは1.5メガビットのRAMを内臓しており、旧CD-ROM2システムのインターフェイスユニット内の0.5メガビットのRAMとあわせて2メガビットのバッファRAMを確保、SCDソフトが遊べるようになるという仕組みだ。もちろん、従来のCD-ROM2ソフトもそのままプレイ可能だが、読み込み回数が少なくなるといったことはない(一部に両対応ソフトも存在する)
 「スーパーシステムカード」は従来のシステムカードに比べると下半分がぽっこりと厚くなっている。この膨らんだ部分に追加のRAMが入っているのかな?とながらく思っていたのだが、どうもそうではなくこの出っ張り部分はあくまでカードの損傷をふせぐための補強材であるらしい。旧システムカードも含めた大半のHuCARDはその上半分だけにROMを格納していたのだが、スーパーシステムカードではRAMをカードの下半分にまで格納しているために補強をおこなう必要から厚みをつけたということらしいのだ。同様の外観をもつものに「アーケードカードPRO」や、HuCARDソフトの「ポピュラス」(一時的データ保存をするRAMを搭載)「ストリートファイターII’」(20メガの大容量)、そしてデータ保存RAMカードの「天の声バンク」がある。

 しかしシステムカードの交換だけで済む…とはいえ、9800円の投資というのは高いなぁ。さらなる進化を遂げた「アーケードカードPRO」なんか16メガビットもRAMを積んで17800円という価格で、初代CD-ROM2システムユーザーは出費が大変だったことだろう。ま、初代CD-ROM2システムは本体とあわせると8万円を超えるお値段だったのだから、そのぐらいの出費などたいしたことがないと思えたかもしれない。


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