ターボパッド

ジャンル:ハードウェア
媒体:コントローラー
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1987年10月30日
価格:2680円
商品番号:PI-PD002


外観◆PCエンジンの標準コントローラー

 「ターボパッド」は本来、PCエンジン本体の発売と同時にオプションとして別売されたコントローラー。PCエンジン本体に同梱されたパッドはRUN&SELECTとI・IIボタンだけがついた「PCエンジンパッド」で、「ターボパッド」は3段階に設定可能な連射機能を追加した上級品という扱いだった。しかし両者の価格差は200円しかなかったため、オプション扱いだった「ターボパッド」のほうがPCエンジンの標準コントローラーにされることとなってしまう。
 「ターボ」という命名は「エンジン」からの連想と思われ、連射機能をもつこのパッドと「ターボスティック」にも冠せられている。また連射とは直接関係ないが北米版PCエンジンは「TURBO GRAFX16」と命名されていた。

 ところでPCエンジンはなぜわざわざ「連射機能つきパッド」を同時発売で送り出したのだろうか。
 「連射機能」とはボタンを立て続けに押す手間をはぶいて押しっぱなしで立て続けに弾が出るといった、連続発射のサポート機能だ。こんな機能が求められた背景には、80年代後半当時のTVゲーム=ファミコンがまさにシューティング全盛期であり、いかにすばやく連射が出来るかがゲーマーの価値を決めていた時代であったことがある。なんといっても象徴的存在がハドソンの広報社員であった「高橋名人」で、「1秒間16連打」を繰り出してファミコン時代の少年たちの神として崇められていた。しかしそうそう連打が出来る人はいないわけで、そのうちコントローラーに手を加えて機械的に連射を可能にしてしまおうとズルを考える連中が現れる。
 ファミコンのコントローラーは連射機能などはもちろんついていなかったが、シャープの互換機「ツインファミコン」には連射機能つきのコントローラーがつくものがあったし、周辺機器メーカーから連射機能つきのパッドやスティックが複数発売されており、「連射機能」への需要がかなり高かったことが分かる。なおネットで調べてみたらファミコンのコントローラーを連射機能つきに改造するサービスがまだ存在していたりした(笑)。
 そうした流れの中で、その「高橋名人」を擁するハドソンが実質的な生みの親となり、とくにシューティングゲームに強い設計で生み出されたPCエンジンに、「連射機能」が搭載されるのは必然の話であったのだ。

 「ターボパッド」はPCエンジン正統二代目ハードである「コアグラフィックス」(89年12月発売)から同梱の標準パッドとなった。形状など設計上の変更点はないがカラーリングが「コアグラフィックス」に合わせたものに変更されている。さらに「コアグラフィックスII」(91年6月発売)が出ると、またそれにあわせてカラーチェンジをしている。
 さらに「DUO」「DUO−R」に同梱されたものも同じ「ターボパッド」なのだが、これまた機種ごとにその本体のカラーに合わせたカラーチェンジがある。また「レーザーアクティブ」のPCエンジンパックに使用するパッドはレーザーアクティブ用に表面の文字やデザインが変更されているが、形状は「ターボパッド」そのままだ(ただしNEC製とパイオニア製の区別があるとのこと)

コアグラ用パッド
コアグラ2用パッド
レーザーアクティブ用パッド
コアグラフィックスカラー(PI-PD6)
コアグラフィックスIIカラー(PI-PD8)

レーザーアクティブ用(CPD-N1)

 長く続いたターボパッドだが、PCエンジン末期には格闘ゲーム流行のために「アベニューパッド6」などの6ボタンパッドが主流となり、1994年発売の「DUO−RX」では6ボタンの「アーケードパッド」が同梱されるようになったため、「ターボパッド」が標準の時代は終わった。もっともその時にはPCエンジンそのものの歴史も終わろうとしていたので、PCエンジン標準パッドは「ターボパッド」だったと総括していいだろう。


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