ターボスティック

ジャンル:ハードウェア
媒体:コントローラー
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1988年10月1日
価格:6800円
商品番号:PI-PD4


外観◆NEC-HE純正唯一のジョイスティック

 この商品はPCエンジンが発売されてちょうど一年が過ぎた時期に、本家本元のNEC-HEから発売されたジョイスティックだ。その後PCエンジンは長い歴史をたどることになるのだが、以後この手の商品はNEC-HEからもNECアベニューからも発売されず、結局これが主催系メーカーから発売された唯一のスティックとなった。同じ商品を息長く発売していた可能性もあるが、本体ハードやパッドがマイナーチェンジを繰り返す中で一切「続編」的商品が出ていないことからも、やっぱり全然売れなくて同種の商品を出す気がうせた、というのが実態ではなかろうか。

 PCエンジンが発売一周年を迎えた1988年秋ごろというと、「R−TYPE」等のゲーセンからの移植作のヒットによりPCエンジンが普及度を増し、専門誌も登場して盛り上がってきたころ。当時のファミコンでは不可能だったアーケード移植に強いゲームマシンという位置づけがなされ、ゲーセン小僧たちがPCエンジンに手を出し始めた時期だ。そのため「ゲーセンと同様のコントローラー」の需要が高まるという読みがあったらしく、この「ターボスティック」の他にも「XE−1PROHE」(電波新聞社)、「アスキースティックエンジン」(アスキー)といったサードパーティー製のPCエンジン専用スティックが同時期に相次いで発売されている。ただやっぱり長期にわたって売れた様子はなく、せいぜい89年中で市場から姿を消したのではないかと思われる。

 さてこの「ターボスティック」だが、見ての通り2ボタンにスティック1本のスタイル。「ターボ」とついているのは、「ターボパッド」と同じく「連射機能」が搭載されているためだ。ただし「ターボパッド」の連射機能が3段階スイッチ式であったのに対し、「ターボスティック」は「つまみ」をスライドさせて連射速度を微妙に変化させる仕掛けになっていた。機能的に目立つのはこれだけで、「XE−1PROHE」や「アスキースティックエンジン」にあるようなスロー再生の仕組みはない。
 また、素材がすべてプラスチック製で、安物感が漂うのも事実。それでいて6800円もするんだから、売れなかったのも無理はないのでは…実際に使ってみた感触も、こちらがパッド操作に慣れているせいもあるがあまり快適とは思えず…これは当時ゲーセンで鳴らした人がどう思ったか聞いてみないと分からない。

 はるか後、1993年に大人気の格闘ゲームの移植「ストリートファイターII’」(’93)の発売があって、PCエンジン界ではにわかにコントローラー新商品(要するに6ボタンが必要だった)ラッシュとなるのだが、NEC-HEからは結局ジョイスティックは発売されず、未公認品としてホリ電子から「ファイティングスティックPC」が出るにとどまっている。


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