ツインタップ

ジャンル:ハードウェア
媒体:マルチタップ
発売元:シュールド・ウェーブ
発売:1992年12月26日
価格:1980円
商品番号:TKR-001


商品外見◆謎のメーカーから出ていた2人用マルチタップ

 シュールド・ウェーブ。星の数ほどあるような気もするゲームソフト会社の中でも超マイナーなものの一つなのだが、どういうわけか家庭用ゲーム機の周辺機器まで発売していた謎のメーカーである。「シュールド・ウェーブ」はブランド名であり正式な会社名は「タケル」だったとか、「シュールド・ウェーブ」は「タケル」の子会社だったとか、「タケル」から「シュールド・ウェーブ」に改名したとか、調べていても諸説あって判然としない。なお、パソコンのソフト供給をやっていた「TAKERU」とは全く無関係だ。
 調べたところによると1991年にX68000、FM TOWMSといったパソコンで「ノスタルジア1907」というアドベンチャーゲームを出して話題になったところらしい。この「ノスタルジア〜」はメガCDでも発売されており、同じ年にファミコンで「ココロン」というアクションゲームも発売してコンシューマ市場にも積極的に参入した。そして1992年ごろには「ブラスター」の名がついた共通デザインのゲームパッドをメガドライブ・パソコンそしてPCエンジンで発売するなど、周辺機器の開発・販売まで手がけている。

 実はパッドだけでなくPCエンジンへのソフト供給にも動いており、ファミコン「ココロン」を移植した「PCココロン」、パソコンのSFシミュレーションを移植した「インペリアル・フォース」の2作が1993年末の発売を目指して開発されていた。ほとんど完成はしていたようで発売直前のPCエンジン専門誌にも紹介記事が出ているのだが、1994年年になっても商品は発売されず、雑誌側が取材しようにも連絡が全くとれないという事態になってしまう。正確なところはわからないが、1993年度末の時点で倒産&夜逃げ?したのではないかと推測される。
 ところが2000年前後から「タケル」の名前でパソコン関連事業を行っていた会社があり(HPもあった)、これがどうも同じ(もしくは後継)会社だったのでは?という話もあったりして、それがまた消息不明になってしまうなど、とにかく謎の多い会社である。

 ともかく、その謎のメーカーから出ていたマルチタップがこれ。1993年末に出たソフト&ハードカタログである「SUPERPCengineFAN」に写真入りで紹介が載っているが、僕はながらく実物にお目にかれなかった。ようやく入手したのは2007年のことで、やはり出回ってた数が少ないんだろうなぁ。
 写真を見れば分かるように2人専用のマルチタップだ。裏には「株式会社タケル MADE IN CHINA」とあり、発売元がタケル名義になっていること、そしてこの時期早くも「中国製」であった(台湾製のものは少なくなかった)ことは注目される。
 PCエンジンの純正マルチタップは5人同時プレイが可能のものだが、5人いっぺんにプレイする機会はそうそうあるまい、と3人用や4人用のマルチタップがサードパーティーから発売されている。2人用もこれ以前に電波新聞社から「X-HE2」が発売されていた。
 それにしてもなんでこの時期に2人用マルチタップ?とも思うのだが、半年後に「ストリートファイターII’」が出ることを事前にキャッチして対戦格闘の需要を狙った…のかな?


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