X1 Twin     
ジャンル:ハードウェア
媒体:ゲーム機本体
発売元:シャープ
発売:1987年12月
価格:99800円
商品番号:CZ-830C


◆パソコンとPCエンジンが同居!?

外見。「SuperPCエンジンFAN」カタログから転載 PCエンジン界というのは、主催者がNECというパソコン関連会社だったため、ハードの種類・周辺機器がやたらに多い。そもそも「PC」と名前に冠したように「家庭向け安価パーソナルコンピュータ」という戦略商品的位置づけがあったんだろう。
 PCエンジン本体に様々な周辺機器を接続してゲーム以外のさまざまな機能を与えていこうという「コア構想」があったこともよく知られている。結局このコア構想は失敗に終わるのだが、その過程ではパソコン以上に珍品がいくつも出た。まぁそれがPCエンジン界の魅力の一つでもあるのだが(笑)…この商品もそんな珍品の一つ。

 周辺機器はともかくPCエンジン本体の発売元はNEC-HE独占だろうと思っていると、さにあらず。NEC-HEの公認を受ければ他社でも本体ハードの性能を組み込んだ機器の製造・販売は可能であったりしたのだ。これらは「HEシステム機」と呼ぶことになっており、たった2例だけ他社が本体ハードを発売しているケースがある。一つがシャープから発売されたこの「X1Twin」で、もう一つの例はパイオニアの「レーザーアクティブ」(’93)のPCエンジンパックだ。あとNEC-HE自身からの発売でPCエンジンが遊べるパソコンモニターというトンデモ商品が存在するが…(笑)。

 さて「X1Twin」である。さすがに僕は実物を見たことすらなく、「SUPER PCエンジンFAN」のカタログに載っていた写真と説明を見たことがあるだけだ。だから実際どんなものなのかはよくは知らない。
 1980年代にシャープが発売していたパソコンに「X1」シリーズというものがあった。最初のものは1983年発売で、「パソコンテレビ」という売り文句で世に送り出された。その名のとおり専用モニターはTVとしても使用可能で、パソコン側からチャンネルや音量を操作できるなどAV機能で特化しており、基本的にゲームマニア用という位置づけのパソコンである。初代のお値段は15万円、ちと遊び用にしては高い買い物だが…。このX1シリーズの流れは、上位規格のX1turbo、次世代のX68000シリーズに受け継がれ、Windowsマシンが席巻するまでゲームマニアの間では根強い愛好者がいたものだ。

当時の広告 その「X1」シリーズが「X1誕生5年目の解答です」というキャッチフレーズで売り出したのがコレ(左は当時のチラシ)。PCエンジンが発売開始された直後、というよりほとんど同時発売的に出た商品だ。広告に映っているHuCARDソフトは「ビックリマンワールド」「上海」の2本(笑)。ま、この広告制作段階ではこれしか出てなかったわけですが。
 パソコン市場ではライバル関係にあったはずのシャープがなんでNECのPCエンジン戦略に乗っかったのかは不明だが、X1のBASIC開発にハドソンが関与していたから、という推測もあるようだ。また、登場当時PCエンジンに「もしかしてファミコンの天下を奪うか?」と思わせるような空気があって各社からハードが出されたりしてるので、そうした空気に乗っかったものだったかもしれない。

 で、この「X1 Twin」であるが、正直なところ何を考えて出したのかよく分からない商品で、これでは「誕生5年目の誤答」と呼ぶのがふさわしい(笑)。要するに「PCエンジンが遊べるシャープのパソコン」ということなんだけど、パソコン側でPCエンジンが操作できるとか、PCエンジンをRGB出力できるとかそういうことは全く無い。X1とPCエンジンのそれぞれの映像・音声出力はまったくの別系統で、PCエンジンは普通にビデオ出力しかできない。「単に電源を共有して同居しているだけ」などと言われるのはこのため。
 さらにこういう「同居仕様」のためにPCエンジン本体の拡張機能はいっさい存在しない。このためHuCARDソフトしか遊べないし、バックアップメモリも存在しないためセーブも出来ない(もっともPCエンジン発売当時のソフトはバックアップメモリ発売前のためパスワードを使用していたのでこの時点ではとくに問題はなかったが)

 なお、この「X1 Twin」をもって初代X1シリーズは終わってしまう。妙なところでPCエンジンが絡んできたもんだなぁと思うばかり。そういや「ツイン」といえば、ファミコンのカセットとディスクシステムの一体化マシン「ツインファミコン」もシャープが作っていたんだっけ。

 ところでこの商品について調べていると、PC−FXユーザーにはなにやらデジャブが。パソコンに「内蔵」しているくせにビデオ出力しかできず、パソコン側から何の操作もできず、事実上電源を共有して同居しているだけという商品があったのだ。その名は「PC−FXボード」。1995年に発売されたPC−9821CanBe専用(他でも使えたようだが)の拡張ボードで、FXの売りの一つであった「パソコンとの親和性」を示す商品として売り出されたが、当時9821を使っていた僕でも「なんじゃこりゃ?」と思うばかりの商品だった。その直後にパソコンから操作可能(といってもゲーム自作ということでだが)「PC−FXGA」が出たためあっという間に無意味化した。
  どうも家庭用ゲーム機とパソコンが連携を図ろうとするとロクなことにならないような…


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