IQパニック

ジャンル:クイズ
媒体:CD−ROM
発売元:アイ・ジー・エス(IGS)
発売:1992年2月21日
価格:6900円
商品番号:AICD 1002

◆15000問収録の大容量クイズゲーム!

本ソフトはPCエンジンに参入したマイナーメーカーのうちの一つ、「IGS」が開発・発売したクイズゲームである。このメーカーは良作から駄作までさまざまながら、良くも悪くも変わりダネのゲームが多いという特徴があるようだ。この「IQパニック」もそんな風変わりさをそこはかとなく醸し出している。ついでに言うならこのメーカーの「良くも悪くも」の幅がこの一本のソフトの中にパックされているような形だ。 

この「IQパニック」だが、タイトルから分かるようにクイズゲームである。PCエンジンでは意外に多いこのジャンルだが、CD−ROM(すでにSUPERCD-ROM2の時代だったが本作は旧システムである)の大容量を活かして大量の問題を収録しているというのが本作の最大のウリだ。その数、なんと15000問以上。僕も何度かやってみたがやはり同じ問題に巡り会うことはなかなか無い。しかも外した場合何が正解だったのか分からないので当分の間楽しむことができる。全て4択問題で、政治・経済・歴史・文学・スポーツ・アニメ・漫画・一般常識などなど、ジャンルも10分野にわたって網羅されており、知らない人にとってはかなり高い難易度となっている。

このゲームには三つのモードが用意されており、一つは一人専用のRPGモード。もう一つは多人数対戦の「日本縦断クイズ」。最後の一つは「日本縦断」に含まれる各種クイズゲームを自由に楽しめるモードだ。CDを入れてゲームを起動すると、それぞれのモード専用のセーブデータファイルをバックアップメモリ内に勝手に作ってしまうので、メモリの残りが少ない人はご注意。セーブデータ領域が不足しているとゲーム自体が立ち上がらない。気軽なゲームなんだから、セーブ領域がなきゃ遊べません、ってのもやや融通がきかないところである。


◆壮絶!4択クイズRPG「アイキュー・クエスト」

 まず一人専用RPG「IQ QUEST」から紹介しよう。
 物語は日本の昔話のような舞台設定で行われている。タイトルは「ドラクエ」を連想させるが、なんとなく「桃太郎伝説」あたりを意識しているような。で、その世界に「クイズ大魔王」なる変人が出現、村々の女の子達を襲ってはクイズを出して気絶させ、誘拐していってしまう。大魔王の野望は女の子を集めて自分のハーレムを築くというとんでもないもの(笑)。そのわりに村の青年団の開いた対策会議はまるで深刻さのないもので、結局全員でジャンケンして貧乏くじを引いたものを「勇者」に仕立てて大魔王退治に行かせることとなる。そしてその貧乏くじを引いたのが、主人公つまりプレイヤーの分身であるところの「源五郎」だったというわけで物語は始まる。
 このふざけまくったオープニング、有名声優も使用して変に凝っているのだが、ギャグがちっとも面白くないのが哀しい。作り手は面白いつもりなのかもしれないが、見せられる方は「…」となんだか呆れながらついていくしかない。もちろん大真面目なRPGばなしにしたらもっと妙なことになっていただろうが、もう少しなんとかなんなかったのかと言いたい。この空気はこのRPGモード全体に最後まで漂うものとなっている。

 「IQ QUEST」の世界は全11エリアに分かれている。各エリアごとに村があり、城があり、その中にエリアのボスがいる。このボスを倒すと次のエリアへ進む道が開けるという、面クリア型の展開となっている。村人と話して情報を集め、宿屋で体力回復+セーブをし、迷路のような城の中をアイテムを回収しつつ進むなど、RPGの定番とも言うべき要素はたいてい入っている。ボスを倒すと主人公のHPが増えるので経験値と成長の要素が無いわけではない。しかし何と言っても本作はクイズゲーム。全ての戦闘は「4択クイズ」で行われる。フィールドやダンジョン内で遭遇するザコ敵との戦闘で出される問題は各エリアごとにジャンルが決まっていて、例えばあるエリアではひたすら「アニメ・漫画」の問題が、あるエリアでは「自然科学・医学」の問題が出されたりするのである。全てのジャンルのエリアを通過しなければならないので、不得意なジャンルのエリアではかなりの苦戦を強いられること必至である。 

クイズ戦闘画面 ザコ敵との戦闘は一問勝負。正解すればそのザコ敵を撃破できるが、外れるとHPが一つ減らされる。困っちゃうのは勝っても経験値をくれるわけではなく、ほとんど何も得るものがないという点。たまにアイテムを落としていくこともあるが、役に立つものとは限らない(アイテムについては後述)。ハッキリ言ってこのゲームにおけるザコ戦は危険が多いだけで無意味なので、戦闘は極力避けてザコと遭遇したら勝負を避けて逃げるのが基本である。作り手も分かっているのか、逃走成功確率はかなり高い。しかし出現率が異様に高いので(城の中など一歩歩くごとに遭遇したりする)、ボスのところに到達するまでにかなりHPを失っていることも多い。
 それにしてもこのRPG、主人公キャラの移動速度が異様に遅く、この点でもイライラすること請け合い。城の中はかなり複雑な迷路となっている上にザコ出現率が高いとくると、もうストレス爆発寸前である。クイズがそこそこ面白いのが救いではあるのだが。

 城の中にいる各エリアのボスと遭遇すると、ビジュアルシーンとなり、声優を使ったボスと源五郎の問答が聞ける。この場面だけ主人公が声を出してしゃべる(矢尾一樹さんが担当している)のだが、これがまたちっとも面白くないのだ(汗)。どのボスも声優が吹き込んだギャグ会話をしてくれるのだが(何かのパロディが多い)、いずれも滑りまくって何やら薄ら寒い。画面が主人公の視点になっているのに主人公がしゃべるというのもすっごく違和感を感じる。この会話のあといよいよボス戦。ボス戦だけは用意された4つのジャンルから好きなものを選べるが、その代わりHPの高いボスと、どちらかのHPが全滅するまで死闘を繰り広げねばならない。クイズの苦手な人にはかなりしんどい戦いになるだろう。筆者は幸いにして一度の敗北もなくクリアできたが、アイテムの駆使でどうにかなるところも多い。ボスのHPはだんだん大きくなって行くが、最高でも20個ぐらいだと思っていて欲しい。

 先ほども書いたがザコ戦で勝つとアイテムが手にはいることがある。また、城の中の迷路にはあちこちに宝箱が置かれていて、まめに開いていくとかなりのアイテムを入手できる。このRPG、お金やお店は存在しないので城の中でアイテムを集めるのが基本だ。「力の玉」といったHP回復系はかなり重宝するし、選択肢を減らせる「三択の玉」「二択の玉」などはボス戦でかなり使える(ただ問題が出る前に使わねばならないので、問題が簡単な場合ムダになる)。異様に高いザコ出現率を減らせるアイテムもあるし、種類は豊富だ。ただし役に立つものばかりではなく、こちらにとって不利となるアイテムも多い。例えばボスのHPを戦闘前に減らせるアイテムがあるのだが、逆に増やしてしまうアイテムもあり、これがボス戦前に強制的に全部使用されてしまう。不利なアイテムは捨てることが出来ないので、どうしても気になる人はザコ戦で消費してしまう作戦もある。

 こんな調子でボスを倒しつつ、最後の大魔王打倒まで大した山もなく淡々とゲームは進んでいく。各エリアにたいてい一つぐらいちょっとしたイベントがあって(ここでも音声による会話あり)、クイズを解くとヒントをくれたりHPを増やしてくれたりする。笑ったのが二つ目の村にいた前エリア女ボスとのクイズ勝負。勝つとなんでも言うことを聞く、というので「○×△する」というコマンドを選ぶと画面が暗くなり妖しげな声が…(笑)。予想通りのオチがつきますがね。
 RPGといっても大した物語も無く、クリアだけ目指していれば2時間かそこらでクリア可能かと思われる。この「IQパニック」で一人プレイができるのはこの「IQ QUEST」だけなので、一人しか人数が揃わないときはこのRPGでクイズを楽しむことにしたい。
 

◆福留ソックリさん登場のクイズバトル!

 この「IQパニック」のもう一つの柱、それが多人数参加によるクイズバトル、「日本縦断スーパークイズ」だ。福留さんソックリさんの司会もついて、気分はもう「ウルトラクイズ」。日本各地を舞台に10種目のクイズゲームを楽しむことが出来る。ほとんど「パクリ」と言いたくなる企画であるが、元の番組同様なかなか面白いので、多人数(2〜5人)で対戦するとかなり盛り上がれるはず。基本的にはクイズ勝負だから雑学知識の多い人が有利なのは事実だが、いくつかのゲームでは運の要素が大きいものもあるので運だけでの逆転もけっこう可能だ。

 アップダウンクイズやスゴロククイズ、オセロ形式のパネルクイズなどなど、さまざまなゲームが用意されている。参加人数は多ければ多いほど面白い。問題が出ている途中で「早押し」するのもアリだから、解答する際の駆け引きの面白さも楽しめる。全て4択なのでとりあえず押しちゃってそれから正解を考えるという作戦は必ず全員がやるだろう。もちろん間違えた場合のリスクも大きいが、4つの選択肢のうち一つぐらいは明白なギャグであることが多いので、知らない問題でも当たる確率は案外高いのだ。
 クイズの問題は「IQ QUEST」と共通だが、なにせ問題が多いから全てを把握するのは当分無理。ジャンルも多岐にわたっているので得意分野の違う人間が集まってプレイすると傾向が出て面白そう。自分が知らない話題について、他人が正解を出したときや、たまたま自分のヤマ勘が当たったときなどは「へぇ〜そうなんだ」などと知識も増やせる。このあたりがクイズゲームの醍醐味だろう。

 「日本縦断スーパークイズ」は10種類のゲームを連続して行い総合得点を競うものだが、この中から任意にゲームを選んで遊ぶことができるモードも用意されている。「日本縦断」の各ゲームには結構差があって好き嫌いが出そうなところがあるので、お好みのゲームだけを楽しめるようにした配慮は嬉しいところ。でもやっぱり全種目を通して競う方が面白いのも確かだ。逆転もかなり可能になるしね。


◎各誌評価

★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)
キャラクター
音楽
お買い得
操作性
熱中度
オリジナリティ
総合
3.64
2.91
3.18
3.55
3.45
3.36
20.09
第440位

★小学館ハイパーカタログ(★★★★★で満点)
★★★

(勝)PCエンジン(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
採点
岩崎啓真

ウォルフ中村

東千里

びいず羽岡


★ファミコン通信クロスレビュー(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
総合評価
浜村通信

アルツ鈴木

渡辺美紀

TACOX



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