もともとはセガがゲームセンターの体感ゲームとして発表し多大な人気を獲得した3Dドライブゲーム。その後のセガのレースゲーム、「バーチャレーシング」とか「デイトナUSA」などの系譜のルーツと言えるかもしれない。これを移植したPCエンジン版は、すでに「スペースハリアー」('89)でセガの3Dゲーム移植の実績があったNECアベニューが制作している。
本作の魅力は「ドライブの爽快感」につきる。助手席に金髪を風になびかせた彼女を乗せ、夏の青空のもと風光明媚な景色に包まれ、軽快な音楽を聴きながらテスタロッサのオープンカーをひたすらふっ飛ばしていく。ゲーム全体にオシャレなバカンスムードが漂い、ちょっとした観光気分に浸れるソフトだと言える。グラフィックも当時としては美麗な3D描写で、岩や建物といったコース脇のアクセサリー(実は障害物)の数々も結構綺麗に再現されている(じっくり見ていると危険だけど)。もちろんそこは業務用に比べればカクカクしたりチラつきを起こしたりしているのだろうが、原作を知らないぶんには全くそれらは気にならなかった。3曲用意された軽快な音楽もウリの一つだが、これも原作を知らないぶんにはなかなか名曲として楽しむことが出来る。当時のPCエンジン専門誌を見たら「音楽がひどい!」との悪評が出て賑やかだったが、CD−ROMでない以上、これ以上のものは望めなかっただろう。
とまぁ見た目的にはなかなか楽しげなゲームなのであるが、プレイしてみるとなかなかに手強く、ハマリ度は高い。ちょっとしたミスが命取りで、一回でもクラッシュしたらまずクリアは望めない。悔しさの余り何度でもリセットしてやり直しまくること必至の中毒ゲームである。3Dタイプのレースゲームはタイトーの作品や一連のF1ゲームなどに多いが、本作がひょっとするとPCエンジンの3Dレースゲームでは最高峰に位置するかもしれない。
◆ギアを駆使してひたすら走れ!
俗に言う「車ゲー」の中で、本作は「レース」よりも「ドライブ」に力点が置かれている。制限時間内に5コースを走り抜けることが目的で、各コースをクリアすると50秒づつ時間が追加されるというシステムになっている。あくまで一般道を走っていくゲームなのでF1などのレースゲームに比べれば比較的単調なコースとなっているが、一般道だけに他の車もたくさん走っていて、これを避けつつ進まねばならない。他の車にぶつかればややではあるが時間をロスする。またスピードはあるに越したことはないが、当然カーブではコースアウトの危険があり、時にはコース脇にある岩や建物などの障害物に激突して(乗員事故死確実の盛大なものだ)大幅に時間をロスすることになってしまう。こうした危険に気をつけながら(ギアで「HIGH」と「LOW」を巧みに使い分ける必要も)ひたすら軽快に車を飛ばしていく、それがこのゲームの魅力だ。ただ障害物の描画にやや難があるようで(特に岩で造られたトンネル?の描写はかなり辛い)、衝突の判定が結構いい加減に思えるようなところもある。
最初のコースは固定だが、クリアすると道路が2またに分岐していく。ちょうどシューティングの「ダライアス」のような感じで次々とコースが分岐して行き、全体では15のコースが用意されている。基本的に右へ行くほど易しく、左へ行くほど難しくなっている。オプションで難易度の3段階調整ができ、カーブでの遠心力のきつさや邪魔する車の数が変化する。BGMは3曲用意されていて、スタート時に選曲することになっている。効果音ともども消すことも可能だ。
PCエンジン全体を見渡してもドライブゲームの最高峰と呼んじゃっていいと思う(レースゲームとしてみるとまた違うが)。原作のアーケード版に比べれば画面・音楽等かなり見劣りするのだろうが、ゲームの難易度とは別にプレイしていて実に楽しい作品である。しかし一番簡単なコースで、しかも難易度EASYでしかクリア出来ないのが現状(涙)。
キャラクター | 音楽 | お買い得 | 操作性 | 熱中度 | オリジナリティ | 総合 |
3.846 | 3.456 | 3.275 | 3.561 | 3.653 | 3.163 | 20.957 第350位 |
★★★ |
レビュアー | 採点 |
岩崎啓真 | 7 |
ウォルフ中村 | 7 |
TOMOYO | 7 |
ミロはじめ | 7 |
レビュアー | 総合評価 |
東府屋ファミ坊 | 7 |
水野店長 | 6 |
森下万里子 | 8 |
TACO・X | 5 |