エメラルドドラゴン体験版
ジャンル:RPG
媒体:SUPER CD−ROMつきムック
発売元:メディアワークス
発売日:1994年1月15日
価格:1980円
商品番号:HMD-0001
◆電撃CD&BOOKの第一弾
このソフトには長いことめぐり会えないでいた。ムックの方はどうにか2007年に入手していたのだが、同梱されていたはずのCD-ROMはついていなかったのだ。この手のムック付録のCD-ROMはなかなか中古市場にも流れてこないので入手にかなり手間取ったが、ようやく2012年になって入手、プレイすることができた。
発行元は「エメラルドドラゴン」の著作権を統括し「エメドラ」PCエンジン版の旗振り役となったメディアワークスで、「電撃CD&BOOK」と名付けられたCD−ROMつきムックの第1号として出版されている。同時期にメディアワークスの古巣である角川書店からも「カドカワムック」の1冊として「風の伝説ザナドゥ体験CD−ROM付ゲームガイド」を刊行しており、同時期発売の2つのRPG大作同士に加え、ドロドロの分裂騒動の余波も絡んだ因縁の対決めいている(笑)。
家庭用ゲーム機のゲームソフトの「体験版」をムックにくっつけて本屋で売ってしまう、という方式はソフト媒体がCD−ROMだからこそ可能になったもので、PCエンジンが先駆的に切り開いた分野でもある。CD−ROM2時代はまだまだだったが、SuperCD-ROM2時代になると「DUO」という分かりやすい一体型マシンの登場と普及度の上昇を受け、1992年に小学館が「PCエンジンCD−ROMカプセル」という形で体験版やデモ版を詰め込んだCD−ROMつきムックを発売したのがその嚆矢となる。1993年には小学館から「風雲カブキ伝」の体験版つきムックも発売されており、「風伝」「エメドラ」の体験版つきムックはその後追いと言えるだろう。
この「エメドラ体験版」、セーブこそできないものの序盤のサダの砦あたりまでプレイできる。この体験版は開発途上のものを流用したためか実際に販売されたものと一部異なり、「相談」コマンドを入れると製品版にはないスタッフの裏話や内輪ネタ、「サダの砦まで行くと全てが無駄になる…」といった楽屋オチの会話が出たりする。
またゲーム体験版以外にも冒頭部のビジュアルシーンが鑑賞できる「名場面集」、製品版にもあった射的やパチスロのサブゲームが遊べる「遊戯場」、作曲を担当した福田裕彦氏のコメントつきの「音楽集」(このコメントがかなり笑える。左図)、「エメドラ」キャラの解説が読め、ゲームでは聞けない声優さんのセリフも聞ける「設定資料集」といった、なかなか盛りだくさんの内容である。
CD−ROMに目を奪われがちだが、ムックのほうも「電撃PCエンジン」編集部による総力取材とかで、なかなか読ませる内容だ。特に製作の中心となった桝田省治・岩崎啓眞両氏の対談による製作裏話、原作スタッフでもある飯淳・木村明広両氏のコメントなど作り手関係の記事が面白かった。
「電撃CD&BOOK」シリーズは、PCエンジンではこのあと「DUO COMIC爆れつハンター」(’94)、「聖夜物語体験版」(’95)が発売されている。
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