風の伝説ザナドゥ体験CD−ROM付ゲームガイド
ジャンル:RPG
媒体:SUPER CD−ROMつきムック
発売元:角川書店
発売日:1994年2月28日
価格:2500円
商品番号:HE4002
◆セーブ可能の体験版つきガイド
「カドカワムック」の一冊として発行されたもので、角川書店発行のPCエンジン専門誌「マル勝PCエンジン」の特別編集と銘打たれている。発行日が「風の伝説ザナドゥ」(’94)の発売日より遅くなってしまっているが、実際には一か月前ぐらいには書店に並んでいたと思われる。
しかしその時点で編集元のはずの「マル勝PCエンジン」誌は休刊となっていた。もともとPCエンジン専門誌は小学館の「月刊PCエンジン」、徳間書店の「PCエンジンFAN」、そして角川の「勝P」の三国鼎立状態であったが、1992年末にいわゆる「角川お家騒動」が勃発、「マル勝」のスタッフ・ライターはメディアワークスに移籍して事実上の後継雑誌「電撃PCエンジン」を発行する。「勝P」の方は新規スタッフにより誌面一新で発行を続け、それから一年ばかりPCエンジン専門誌が4つも同時並行で発行されるという異常事態(笑)が続いた。そして1994年1月に小学館が次世代機時代をにらんだゲーム総合誌発行のため「月P」を休刊、「勝P」のほうも同時に休刊となったがこちらは単純に部数低迷が主な理由だろう。
このムックはそんな「勝P」の最後の仕事ということになるようだが、そんな切羽詰まった状況ということもあってかムックに載っているのは「風伝」の紹介・攻略記事と漫画が3本とお粗末なもので、いずれも雑誌に載ったものをそのまま転載したんじゃないかと推測される。同時期に「電P」編集の「エメラルドドラゴン体験版」が出ているが、そちらがかなり充実した記事内容だっただけに余計に手抜き感を覚えてしまう。
ただ、今になって見るとこの漫画は貴重。内容的には「風伝」のキャラたちを使ったパロディギャグで、とくにどうというものでもないのだが、3本目を吉崎観音が描いているのだ。その後のタッチとはまるで違う画風(キャラがみんな女の子っぽく可愛いところに今の原型を感じるが)で、「こんな時代もあったのか〜」と感慨深いものがある。
付録のCD-ROMの方も特に工夫はないのだが(これも「エメドラ体験版」と比較して、の話)、ゲーム本編をまさにそのまんま収録、序章から第3章直前までまるまるプレイできる太っ腹な体験版だ。ゲーム本編をプレイした人はお分かりだろうが、このゲームでは第3章直前までだってかなりの長さ。このため体験版には珍しくセーブ機能があり、しかもそのセーブデータをゲーム本編を買ってくれば続けて利用することができた。
体験版としてはかなり遊べるものではあるが、2500円という価格を考えると、興味のある人はこんな「お試し」じゃなくてゲームそのものを買っちゃった方がいいんじゃないか、という気もする。
なお、PCエンジン向けの「カドカワムック」はこれで最後とはならず、「ロードス島戦記II」(’94)の発売に合わせて「ロードス島戦記【復活】」というCD-ROM付ムック(前作がまるごと入っていた)が発売されている。
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