ウィザードリィIII・IV
ジャンル:RPG
媒体:SUPER CD−ROM
発売元:ナグザット
発売日:1994年3月4日
価格:8400円
商品番号:NXCD4029
◆「元祖RPG」の続編、またもカップリングで登場!
商品名そのまんま、「元祖RPG」である「ウィザードリィ」 シリーズの第三作と第四作をカップリングして一枚のCDに収めたソフトだ。PCエンジンにおける「ウィザードリィ」シリーズの発売は「V」(’92) →「I・II」(’93) →「III・IV」(’94) というややこしい順番となってしまっているが、どうやらこの「I・II」と「III・IV」は最初から続けての発売が決まっていて同じスタッフチームによってまとめて作られたものであるらしく、システムやデザインが完全に統一されている(前作でモンスターデザインを手がけた山田章博氏は今回は「監修」とクレジットされてるが) 。「I・II」をプレイした人はすんなりと「III・IV」にとりかかれるだろうし、「I」「II」「III」は育てたキャラクターを転送させてシナリオ間の行き来が可能になっているのも嬉しい。またパスワードを使用する事により「V」とのデータのやり取りも出来る(パスワードを使用すれば友達との間でデータをやり取りするといったことも可能) 。もっともそのためにバックアップRAMを全て占拠されてしまうので他の要セーブゲームが遊べない、という欠点もあるわけだが。
ともかくシステム面に関しては完全に「I・II」と全くおんなじなのでそちらを参照してもらうことにして、ここでは「III」「IV」のシナリオの内容について触れたい。
◆「善」と「悪」の共同作業?-「III」-
「III」のシナリオ名は「The Legacy of Llygamyn(リルガミンの遺産)」 。天変地異が相次いで起こり、どうやら原因は宝珠にあるらしいというわけで、それを取りにいくお話。ファミコン版では「2」だったそうで、二作目と三作目がなぜか入れ代わりになっていたことになる。むろん、同一のシステム上でのシナリオなので順番が入れ代わろうと全く問題ない。
ダンジョンは前作と全く同じで「20×20」のマップが何層にも重なる形。見た目には全く違わないことだが、前2作がダンジョンの下へ下へと進む構造になっていたのに対し、この「III」では上へ上へと進む構造に作られている。
決定的ネタばれにならない程度に「III」の特徴を書くなら、前作では種族や職業以外それほど意味をなさなかったキャラクターの「善」「悪」の性格づけが、ダンジョンを解く上で決定的に意味を持っているという点がある。一階から上にあがる階段が二箇所あり、一方は「善」のいるパーティーでなければ進めず、もう一方は「悪」のいるパーティーでなければ進めないのだ。それぞれ二階へ、三階へと進む階段になっていて、またそれぞれ四階、五階へと互い違いに進む構造となっている。全のキャラと悪のキャラは同じパーティーには入れないため善悪二つのパーティーを作って同時育成していく必要があり、けっこう手間がかかるというわけだ。
見た目にはこれまでと同じ石の壁が続くダンジョンだが、文章では城や堀、湖があることになっていて想像力をふくらます必要があるところも特徴だ。前作からあった「隠し扉」も多く、魔法であたりを照らしながら進むのが必須の場面もある。それと一部の階では一方通行の壁(通る前は見えてないが、通り抜けると後ろが壁になり戻れない) がやたらに仕掛けられた階があり、探索に工夫がいる場面もある。
難易度という点ではほどほどじゃないだろうか?「II」で結構悩まされた「なぞなぞ」も登場しているが、決定的な場面の質問はよーく考えれば分かる程度のもの(例によって英語なのでスペルには注意) 。全体の階数も多くはないので比較的お手軽な一編ではないかと思う。やっぱりストーリーやクリアはどうでもよく、レベルアップとアイテム探しに没頭する人が多くなるのだろうなぁ。
◆あのラスボスが主役!の番外編-「IV」-
カップリングされて同じCD内に収録されながら、「IV」は「III」とは全く趣きが異なり、育てたキャラクターを転送して楽しむといったこともできない。なぜなら「IV」のサブタイトルは「The Return of Werdna(ワードナの帰還)」 、なんと「I」のラスボスであった「ワードナ」が主役 という、あっと驚く作品だからだ。なぜそんなことになっちゃったのかは知らないが、シリーズを通して遊んだプレイヤーには意表を突かれた嬉しい驚きではあっただろう。ワードナが主役と最初からキャラが決まっているわけで、他のシリーズのキャラを使用できないどころかキャラの新規作成もできない。そんな特徴からシリーズ内ではやはり番外編的な扱いをされる一編だ。だから「III」をプレイしている最中に「ちょっとIVにも手を出してみるか〜」などと変な気を起こして「IV」を起動するとバックアップRAMが初期化され(一応念は押してくるが) 「III」のデータが全てパーになって泣きを見ることにもなる。PCエンジン版のシリーズを通して言えることだが、セーブ関係のシステムがかなり特殊で使いづらい。
主役が主役だけに冒険の仕方もいつもと違う。いつものリルガミンの城からダンジョンへ出かけていくというパターンではなく、地下の奥深くからワードナが復讐のために地上目指して這い上がってくるというコンセプトになっている。パーティーの仲間ももちろん冒険者たちであるわけはなく、魔法陣で召喚したモンスターどもをお供にすることに。当然お店や宿も無いからなぜかダンジョン内にある「交換所」などの施設を利用することになる。ワードナが敵パーティーを倒すと金と共に彼らが持っていたアイテムを拾うことが出来るのだが、これを交換所に「ストック」して、それを消費する形で体力回復が出来るという仕掛けになっているのだ。
主役が一作目の悪の親玉というべきワードナだけに、厳密にはプレイヤーの分身を演じてはおらずいろいろとプレイヤーに話しかけても来る(独り言ではあろうが) 。要所要所で出てくるメッセージも「セーブしたぞ!」とか一貫してエラそう(笑)なのがなんともオカシイ。
で、このシナリオ4は「番外編」ではあるが、とにかくその高難度のあまり悪評の高い作品でもある。ネット検索をかけてみるとわかるが、とにかく「何も見ないでクリアできたら奇跡」 と言われてしまうほど凶悪な代物なのだ。ダンジョン自体に凶悪な罠があることもそうだが、要所要所で出るお約束の「なぞなぞ」も衒学的な知識に基づくマニアックすぎる出題のため、たいていは投げ出してしまうほどのもの(実際僕も投げ出した) 。それと「あるアイテム」を取っていないと先に進んで行き詰まってしまう(戻れない!) という恐ろしい展開があり、セーブデータが一つしか作れないPCエンジン版ではこれはまさに恐怖だ。
いろいろと調べてみたのだが(いやホント、世の中「WIZ」ファンは多いからありとあらゆる情報がネットで出回っており、情報収集はたやすかった) PCエンジン版は「III」とカップリングされたためかシステム面で大きな特色があるようだ。なんといってもワードナとそのお供のモンスターたちが経験値を積み、成長していく というのはPCエンジン版最大の特徴(宿屋の代わりに魔法陣でレベルアップする) 。それと隠し扉が単に「見えない」だけで押せば開くといったところとか(これは「III」と共通している) 、狂王トレボーの亡霊に追いつかれてゲームオーバーという要素もカットされている。じゃあ簡単になっているのかというとそうでもなく、「なぞなぞ」に改変があったようだし、ワードナのHPがゼロになるとそこでゲームオーバー、最初からやり直さなければならないといった厳しい面もある。まぁ好きな人じゃないと遊べんませんねぇ、これは。マルチエンディングになっているそうだけど、それを確認するのはかなり根性が要りそう。
「III」と「IV」、カップリングするにはかなり無理も感じる組み合わせだが、いずれも余計な飾りもせずクラシックスタイルをかなり残したオールドファン向けの作りでもあり(例によって元祖の線画モードにもできる) 、じっくりと長く遊べる元祖本格派RPGとして「I・II」「V」ともども揃えて遊びたい商品だ。
◎各誌評価
★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)
キャラクター
音楽
お買い得
操作性
熱中度
オリジナリティ
総合
3.392
3.857
3.392
3.464
3.535
3.392
21.032
第339位
★電撃PCエンジン(発売前テスト版による100点満点での採点)
レビュアー
総合評価
岩崎啓真
70
ウォルフ中村
80
ウキキ松崎
65
城イドム
75
ウキキ松崎評価(各項目5段階評価)
グラフィック
サウンド
操作快適度
ゲームバランス
オリジナリティ
コストパフォーマンス
3
2
3
2
3
4
★ファミコン通信クロスレビュー(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
総合評価
浜村通信
8
鈴木ドイツ
6
渡辺美紀
5
アルツ鈴木
6
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