アームドF   
ジャンル:シューティング
媒体:HuCARD(2M)
発売元:パック・イン・ビデオ
発売日:1990年3月23日
価格:6700円
商品番号:PV-2004


◆PCエンジン全ゲームのトップを切るマイナーソフト

 あいうえお順、それも「ー」と伸ばすのを優先する順に並べると、全PCエンジンゲームソフト600本以上中、本作「アームドF」がトップに来てしまう。マイナーなゲームではあるのだが、もともとは1988年にニチブツがアーケードで発表した縦シューティングゲームである。そこそこの人気はあったようだが、移植されたのはこのPCエンジン版だけであったようだ。
 ニチブツすなわち日本物産といえばPCエンジンにも参入していたメーカーである。PCエンジン末期にはアダルトソフトを乱発してくれたり、PC-FXに参入を表明してやはりアダルトソフトを出そうとして結局逃げ出したりしたメーカーであるが…あ、これは本筋ではなかったな(汗)。この「アームドF」はニチブツではなく「パック・イン・ビデオ」からの発売となっている。「パック・イン・ビデオ」というとどうもPCエンジン史上ロクでもないソフトが多いような気がするのだが…どうも調べてみたところ、本作の開発はPCエンジン参入の小メーカーだった「ビッグ・クラブ」が担当しており、ここが倒産してしまったためパック・イン・ビデオからの発売になるという経緯があったらしい。

 宇宙ポイント「X1Y7Z94」に遭難事故の絶えない謎の空間があり、これが次第に巨大化、ブラックホールになりかけている。調査に向かった銀河連邦艦隊もブラックホールに飲み込まれて消息不明になってしまう。そこで銀河連邦は最新鋭機「ウイング・ボーガーRC・30」を派遣、連邦艦隊の救出を命じるのだった…
 基本ストーリーはまぁこんな感じ。SFシューティングではお約束と言っても良い設定だと思う。で、プレイヤーが謎の空間に飛び込んでみるとそこにはなぜか正体不明の謎の生物の軍団が待ち受けている。面ごとにスタイルがかなり異なり、ある部分では正統派SFメカ調、ある部分ではおどろおどろしいグロテスクなタッチの世界が描かれている。だがこれもまたこの時期のシューティングに共通してみられるものなのでこれといったオリジナリティは感じられない。


◆理不尽なまでに当たる敵弾

 このゲームのオリジナリティを強いてあげればオプションの動きが独特であることだろうか。「アーマー」と呼ばれるアイテムをとるとオプションが左右に二機つき、とったアイテムの種類によって様々な攻撃を繰り出すことが出来る。アイテムはだいたい出現したその場で最適の武装を与えてくれるものがほとんどなので、目にしたらとにかくとりまくる。
 二機のオプションはいつもは自機の左右にいて左右からの攻撃に対する防御になっているが(上下の防御にはならないので注意)、Iボタンを押すことで前方・後方に射出させることも出来る。オプションは無敵状態なので、これを先に進ませて前方にいる敵をジャンジャン撃破することが可能なのだ。実際場面によってはこれはかなり有効な作戦である。

 しかし本作の敵の攻撃というのはとにかく執拗、かつ凶悪である。自機めがけて正確に撃って来るので一瞬たりとも油断はならない。やり過ごした敵機も画面の下へ消えていく間際にいきなり最後っ屁のように撃ってきたりするので不意打ちを食らう事も少なくない。
 おまけに。ちょっとプレイしてみると分かるのだが「なぜそれが当たる!?」と口をアングリしてしまうほど敵弾の当たり判定の範囲が広い。ギリギリで避けたつもりが命中になってしまっていることが少なくないのだ。一部の噂では自機本体よりも弾の当たり範囲が広いとか…これもオプションを駆使すれば防御できなくもないのだが、敵弾のスピードがかなり早いため「あっ」と反応したころには手遅れというケースが多い。弾自体が見えないうちにいきなり自機が爆発して「なに?なに?」と唖然としたりすることもある。
 同様のことは障害物に関しても言える。トンネル上の地形を通り抜ける場面などでちょっとでも触れる(いや触れてないと思えるぐらいなのだが…)とあっさり激突判定。スピードアップをしているときなどは要注意である。また、画面下はわずかながら入れない領域があり(オプションや残機数を表示するためか?)、敵弾をよけられるつもりでよけきれなくなることもある。
 もともとアーケードで縦長画面をフルに使った縦シューティングであったのを無理やりTVサイズに切り詰めた改造をした結果がこうした理不尽さの一因であるようにも感じる。もちろん同じようなことをして成功している例もあるのだが…


◆理不尽さを乗り越えれば…

 こうした数々の理不尽な難易度(バランスのことではなく設計上の問題)を乗り越えれば、そこそこ本作は面白くなる。グロテスクタッチの画面はなかなか綺麗で雰囲気が出てるし(もっともアーケード版はそれこそ芸術的なものだったようだ)、ザコ敵やボスキャラもなかなか個性的で面白い。敵に弾が命中してボン!と炸裂する演出などもけっこう爽快感がある。
 現時点で3面で苦戦しているところだが、エンディングではそれなりに感動できるかもしれない。


◎各誌評価

★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)
キャラクター
音楽
お買い得
操作性
熱中度
オリジナリティ
総合
3.4
3.0
3.0
2.9
3.4
3.1
18.79
第561位

★小学館ハイパーカタログ(★★★★★で満点)
★★★

(勝)PCエンジン(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
採点
岩崎啓真

ウォルフ中村

TOMOYO

ミロはじめ



迷い込んだ方はこちらから