ガンヘッド スペシャルバージョン  
ジャンル:シューティング
媒体:HuCARD(2M)
発売元:ハドソン
発売:1989年7月
価格:非売品


◆ハドソン全国キャラバン競技用ソフト

起動画面 1986年からハドソン主催で展開されたゲーム大会「全国キャラバン」。ゲームと言えばシューティング、といっていい全盛期ファミコン時代に始まったため「スターフォース」「スターソルジャー」「へクター’87」とファミコンSTGが毎年公式ソフトに指定され、全国の凄腕シューターたちが各地の大会で腕を競っていた。しかし1988年からはPCエンジンへ移行、しかもなぜか公式ソフトは「パワーリーグ」になってしまった。
 その翌年の1989年(平成元年である)の全国キャラバン公式認定ソフトはまた原点のシューティングに戻り、PCエンジンの最新STG「ガンヘッド」となった。前年がSTGでなかったこともあり、STGに燃える「キャラバン戦士」たちにとっては待ちに待った朗報で、ゲームそのものの出来もあってかなり盛り上がったようである。

 ただし大会で使用されたものは市販の「ガンヘッド」とは別物。もちろん基本的には同じゲームなのだが、大会では市販品の3面をベースにして敵キャラや出現タイミング、長さを微妙に変えた大会専用バージョンが使用された。なぜわざわざそんなことをしたのか確たる証拠はないが、当時キャラバンに参加した腕自慢の方々がネット上で載せている文章を読むと、猛練習をした常連猛者たちが各地の会場を渡り歩くため一般ユーザーには参加への敷居が高くなっており、それを防ぐ狙いがあったのでは、との推理が出てくる。
 つまり大会の現場に来るまでそのステージの練習プレイができないようにした、ということだ。もちろん市販品の3面をベースにしているので事前練習ができなくはないのだが、まったく同じというわけではないし、市販品の発売日が7月7日ということもあって大会までの日数もあまりなかった。ま、それでも常連猛者たちが各地で腕を振るっていたようであるが。

 さてこの「ガンヘッド」大会バージョン、HuCARDで作られてはいるが、あくまで大会用の特別版。一般への販売は一切されなかった非売品である。ただ雑誌懸賞やキャラバン入賞者へのプレゼントでわずかながら一般ユーザーの手に渡り、PCエンジン最初の「お宝プレミアソフト」として中古市場で高値で扱われることとなった。市販品との違いは表に印刷された「ガンヘッド」のロゴが英語よりもカタカナを大書したもので、その下に「Special Version」の明記があることだ。
 「ガンヘッド」以降のキャラバン公式ソフト「ファイナルソルジャー」「ソルジャーブレイド」にも同様の大会仕様スペシャルバージョンが存在するが、そちらは市販品にも大会と同じタイムアタックモードが搭載されているのに対し「ガンヘッド」にはそれがなく、よけいに貴重性があるのだ。

ボス登場 このスペシャルバージョンを起動すると、一見市販品と同じなのだがタイトル下に「ハドソンガンヘッド大会」と表示され、「2 minutes」「5 minutes」の二つのモードが選択できるようになっている。大会記録に使用されたのはこの5分間モードであったようだ。
 ゲーム内容は先述のように市販品3面をベースにしたもの。地上の多くが破壊可能のブロックで埋め尽くされてるステージで、敵ユニットはもちろんのこと、パワーアップアイテムやジェルがやたらに出てくるところは市販品と同じだ。自機を失わずに一定のところまで進んでその場にいる敵を全滅させると巨大ボスが登場するが、市販品3面のクモみたいなボスではなく1面のメカニックボス「サンダーブレズ」が登場する。時間に余裕を持たせるためにはボスを早めに登場させるべく敵全滅を急ぎ、さらにボスもさっさと倒す必要がある。
 2分もしくは5分のタイムアップとなるとその時点での点数が表示される。そこから続けてプレイすることはできないようになっていて、再プレイにはリセットしなければならず、高得点記録を残すといったことはできない。

 「スターソルジャー」もそうだったが、とにかく撃って撃って撃ちまくって派手に破壊しまくる内容だ。市販品「ガンヘッド」の中でも特に派手な面が選ばれたのもそうやって高得点を競えるところが「キャラバン向き」と判断されたのだろう。当時のキャラバン戦士たちの攻略説明などを読むと、ハイスコアを出すためには単にパワーアップして撃ちまくるだけでなく、わざと死んでみる(残機があればゲームオーバーにはならず、ボムが新たに手に入る)とか、ジェルをとりまくることで得られる身代わり自機をとる(市販版でも出てくるがキャラバン版ではそれだけで1万点が入った)といった各種テクニックもあったそうである。

 検索するとすぐ見つかるが、当時この「ガンヘッド」のキャラバンで全国一位になった元キャラバン戦士の方がサイトを開いていて、当時のことを詳細に記している。おかげでこの年のキャラバンの最高得点を知ることができた。なんと5分間1213210点である。参考までに2分間モードの方はというと、youtubeにアップされていた2011年に行われた「高橋名人の真夜中のゲーム大会第6回」での一位記録が2分間459010点である。僕自身はというと、それぞれの記録の半分いくかどうかで…(^^;)


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