オペレーションウルフ  
ジャンル:シューティング
媒体:HuCARD(4M)
発売元:NECアベニュー
発売:1990年8月31日
価格:7200円
商品番号:NAPH-1010


 外見◆元祖ゲーセン・ガンシューティングの移植

 「オペレーションウルフ」は1987年にタイトーからゲームセンターに投入された筐体型ゲーム。筐体奥に画面があり、その手前に実物大のマシンガンをかたどったコントローラーが備え付けられ、その昔の「縁日の射的」のビデオゲーム版といった趣きだった。これ以前にもこうした本物の銃っぽい入力装置の筐体ゲームは存在していたらしいが、やはりこの「オペレーションウルフ」が最初のヒットとなり、今なおこのジャンルの代表にして元祖的名作と扱われているようだ。

 南米のチェリゴ共和国でクーデターが発生。前大統領など政府要人とアメリカ大使館員らはジャングル内の収容所に監禁されてしまった。アメリカ大統領およびCIAは人質たちを救出するため「狼作戦(オペレーションウルフ)」を実行に移した。その作戦は凄腕の特殊部隊傭兵を送り込むというものだった…
 ってな設定のこのゲーム。プレイヤーはマシンガンとロケットランチャーで画面上に現れる敵(兵士だけでなく装甲車や船、ヘリもある)を撃ちまくり、破壊しまくり、人質たちを無事に救出すればゲームクリア、という単純明快な内容だ。とにかく豪快なまでに撃ちまくれるゲームであり、人気が出たのはよく分かる。ただ他のシューティングゲームが宇宙船やインベーダー、あるいは戦闘機などを撃っているのに対して、こちらは直接的に「人を撃って殺す」表現になっており(防弾チョッキつけてる敵兵士は頭を撃ち抜かないと倒せなかったりする)、冷静になってみると結構アブないゲームでもある。まぁ他のゲームの戦闘機や宇宙船だって見えないだけで「人が乗ってる」はずなんだけど。
 話の設定ややたらに強い主人公(プレイヤーが上手ければね)一人が大軍相手に大暴れする展開などは80年代半ばにヒットした「コマンドー」(シュワツェネッガー主演)「ランボー/怒りの脱出」(スタローン主演)といった特殊部隊アクション映画をパクった、いや、念頭においているのがわかる(笑)。南米の話になってる割には舞台となるジャングルや村の風景、村人などのデザインがむしろ東南アジアっぽいのは「ランボー」に近いだろうか。

 ともあれ、人気を反映して「オペレーションウルフ」は1989年にはファミコンに移植され、家庭のTV画面でも遊べるようになった。ファミコンの光線銃コントローラーに対応しており、画面こそファミコンレベルでチャチになってはいたが、原作の雰囲気はよく落とし込んでおり、ファミコンゲームとしての評価はそこそこ高いようだ。
 そして1990年になってようやくPCエンジン版が発売。発売元はタイトーではなく、この時期のアーケード移植作を一手に引き受けていた観のあるNECアベニューだった。ファミコンよりはずっと高いPCエンジンの描画能力を生かしてオープニングからゲーム画面、クリア画面やゲームオーバー画面まで、見た目には原作のアーケード版に瓜二つの移植を実現してみせた。おまけに追加要素として「2人同時プレイ可能」にもなっていたりする(アーケード版は続編でこれが実現する)


◆撃って撃って…

 スタート画面では1人プレイか2人プレイかが選べ、さらに「SPEED」という項目も用意されている。これはターゲットスコープ(照準)の移動速度を3段階に変更できるものだ。
 ゲームをスタートさせると主人公がパラシュートで現地に降り立つアーケード版同様のオープニングが流れ、4つのステージ選択の画面へ移る。4つのステージの名前は「弾薬庫」「通信所」「集落」「ジャングル」となっており、それぞれ登場する敵兵士やメカ類の数が表示されている。プレイヤーはどれを選んでもかまわない。自分のやりたいステージを照準で選んでバキューン!と撃ち抜くとそのステージが開始されるシャレた仕掛けだ。
 「弾薬庫」のステージはその名のとおりでクリアすると弾薬が大きく補充される。「通信所」は敵の通信所を爆破することで敵の増員を防ぐことが出来る。「集落」は敵軍に占拠されている村を解放して休息することで自分の体力を回復することができる。「ジャングル」では本来の目的である人質救出のために収容所の場所を聞きだすことができ、ここをクリアしないとその先の2ステージへ進めない。
 どういう順番でやろうと自由なのだが、通信所を破壊しておかないと他のステージの敵が増員されてしまうので、まず通信所をクリアするのがセオリーだ。そして体力や弾力、敵の数などを考えると「通信所」→「弾薬庫」→「集落」→「ジャングル」と進むのが王道かな、と思える。この辺は人それぞれ好みがあるだろう。
 怖いのがランダムで出現するアクシデント面。ある面からある面へ移行する時、唐突に「敵に発見された!!」などの理由でこの臨時ステージを戦わされる羽目になるのだ。このアクシデント面は登場する敵の数もランダムで、たまにやたらに多い敵が出てくることがあり、運が悪いとここでゲームオーバーだ。

ゲーム画面 どのステージも左から右、あるいは右から左への強制スクロールで(アクシデント面のみ固定画面)、次々と現れる敵に方向キーでターゲットを合わせてIIボタンで撃って倒す(兵士は一発当てればOK)。マシンガンであるから押しっぱなしにしてダダダダダ…と景気よく連射して並み居る敵をなぎ倒せる。戦闘ヘリや装甲車、ボートなど大型の敵も登場するが、これもマシンガンをある程度連射して撃ち込めば破壊可能だ。
 攻撃方法はマシンガンだけでなくロケット弾もあり、これはIボタンで発射、大型メカも一撃で破壊できる威力で、兵士などまとめて大勢倒すことが可能だ。ただし当然ながら数はかなり限られている。
 マシンガンの方も弾数は制限されており、景気よく撃ちまくって油断しているとあっさりなくなってしまう。しかし画面中に弾を入れたマガジン(弾30発収納)がしばしば現れ(鳥や動物、木の実などを撃っても出ることがある)、これを撃つと弾が補給されるので気をつけていればそう困らない。ロケット弾も同様の方法で割と頻繁に補充できる。
 
 当然のことながら敵のほうもこちらめがけて撃ってくるので、基本的に撃たれる前に撃たねばならない。敵の出現は原作を忠実に再現して遠・中・近の3層構成になっている。いきなり目の前に敵兵士が出現したり(どうぶらさがっているのか画面情報から逆さまに出てくるのもいる)、敵の投げた手榴弾やナイフが迫ってきたり(これは弾を命中させることで跳ね返せる)、遠くに見えていたヘリが目前に迫ってきたりと、なかなか迫力ある演出が再現されている。また、撃ってしまうとこちらのHPが減らされる一般人(ナース、少年、なぜかビキニのお姉ちゃん、人質など)もほぼ原作どおりに再現されている。同時期のファミコン版に比べれば明らかに高い移植度を誇っているのは事実だ。


◆撃ちまくれ!え?パッドで?

 しかしこのPCエンジン版が明白にファミコン版に劣ってしまった点がある。そう、銃スタイルの入力装置がとうとう開発されなかったPCエンジンでは入力装置がフツーのパッドのみになってしまったのだ。このためこのゲームのキモであるターゲット操作はパッドの十字キーで行わねばならず、やたらに難しいゲームになってしまったのである。十字キー入力は左手の親指で微妙な操作をして敵に照準を合わせねばならず、これがデジタルな入力ではかなり困難なのだ。
 作り手も一応そのことは気づいたとみえ、そのためのターゲット移動速度変更モードなのだろう。しかしこれが体感的にはそれほど大きな変化がないものだし、移動が早いほうがいい面と遅いほうがいい面とがあるのに面ごとに変更ができないのがイタイ。また命中判定がかなりシビアで、遠くの敵なんか照準の中央がちゃんと敵の体に当たってないと命中したことにならない(そりゃまぁリアルといえばそうなんだが)。このゲームではもう少し判定を甘くしてもよかったのではなかろうか。

 途中で致命傷を受けて死んでしまう、あるいは弾切れにより捕虜の仲間入りでゲームオーバーになると、一回だけコンティニューが可能。しかしあくまで一回きりで、これが難度をさらに増してしまっている。最初の4面をクリアすればその先の「収容所」「空港」へと進めるのだが、僕はいまだにそこへ進んだことが無い。2人同時プレイが可能に変更されているのもおそらく難度が高いためで、2人で協力してプレイすればクリアできるのかもしれないが…開発スタッフはちゃんとプレイしてクリアできたんだろうか!?(笑)なまじ忠実な移植をこころがけようとして、そもそも入力装置を用意していないという困った一本。もしかすると銃コントローラーの計画ぐらいはあったのかもしれないが…。

 なお、実際にプレイした人はめったにいないと思うのだが、本作は電波新聞社発売のアナログジョイパッド「XE−1AP」に対応している3本のソフトのうちの一本だ(残りは「アウトラン」「アフターバーナーII」)。それでどれほどの効果があるのか疑問ではあるのだけど。
 


◎各誌評価

★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)
キャラクター
音楽
お買い得
操作性
熱中度
オリジナリティ
総合
3.6
3.2
3.0
3.3
3.6
3.6
20.42
第407位

★小学館ハイパーカタログ(★★★★★で満点)
★★★

(勝)PCエンジン(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
採点
岩崎啓真

ウォルフ中村

小池泉

ミロはじめ


★ファミコン通信クロスレビュー(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
総合評価
東府屋ファミ坊

水野店長

森下万里子

TACO・X



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