カラーウォーズ
ジャンル:テーブル
媒体:CD-ROM
発売元:ココナッツジャパン
発売日:1992年7月10日
価格:7300円
商品番号:CJCD2002
◆ アッと驚く3Dオセロゲーム
説明不要だろうが、オセロゲームとは黒白両面の駒を使い、縦・横・斜めに自分の色で相手の色をはさんで裏返しにして、より多くのマスを自分の色で占めた方が勝ち、というゲーム。ルールがとっつきやすいので将棋やチェス、囲碁をやったことがない人でもたいていは遊んだことがあるはず。
オセロは2人対戦だが、これを色を増やして四人対戦にすると「パネルクイズアタック25」のルールになる。実際クイズをはずした四人対戦のカラーオセロというものもあるそうだ。そしてこの四人対戦カラーオセロを、こともあろうに「3D」でやってしまったのが、この「カラーウォーズ」(’92)だ。
ルール自体はオセロと全く同じなので説明書を読む必要もない。だがなにせ「3D」である。4×4×4、合計64マスを使ったオセロだ。縦・横・斜め全てで「はさめば自分の色に変えられる」というわけだがそれを立体マスでやるとバリエーションは大幅に広がる。もっとも3Dだからといって最初から上の方に置くことはできず、重力の法則に従って一番下から積み上げていくしかない。その様子はまさに「串に団子を刺していく」状態である。
実際にプレイしてみると、これが案外面白い。四人対戦であるためそれぞれの戦略が入り乱れて予想もしない展開になりがちだし、3Dオセロであるために思わぬところに大チャンスが転がっていて、一カ所に置いたら各方向に次々と色が変わり一挙に大逆転というケースも多い。もちろん基本的にはちゃんと戦略を立てて攻略する頭脳ゲームなのだが、人数と3Dによる多様性で不確定要素もかなり多く、「運」としか言いようのないところもある。だから頭脳ゲーム系が苦手な人でも結構遊べることは請け合う。
これ、コンピュータゲームではなく本物の木や駒を作って遊ぶこともできるんじゃないか、とも思ったのだが、確かに不可能ではないが挟んで駒の色を変えるのが大変。結局コンピュータゲームだからこそできるゲームということなのだ。調べてみたところ色を変える必要のない「立体四目並べ」という玩具は実在しており、串に玉を刺していくところは「カラーウォーズ」とよく似ている。
PCエンジンに3D描画、ポリゴン機能などもちろんない。それでもこのゲームは2D表示で疑似的に3D表示を実現させていて、CPUプレイヤーが駒を置いていくとそのたびにグリグリと「盤」が回転し、その立体構造がちゃんと把握できるようになっている。プレイヤー自身が戦略を練るためにパッドの方向キーとIボタン同時押しでグルグルと「盤」を任意に回転させることも可能で、さりげないがなかなか優れたプログラミングだと思う。PCエンジンで3Dモデルをこうも自由に動かせるのは「アフターバーナーII」(’90)のおまけモードぐらいじだろうか。
◆歴史人物(?)大集合のアドベンチャーモード
このゲームには「アドベンチャーモード」「パーティーモード」「ベーシックモード」の3つが用意されている。一応のメインは一人のプレイヤーがシゲームに勝ち進みながらストーリーを進めて行く「アドベンチャーモード」だ。
アドベンチャーモードはオープニングやステージクリアごとにそこそこ時間の長いアニメ風ビジュアルシーンが挿入され、ストーリーが語られてゆく。しかしなにしろ立体オセロゲームを勝ち進んでいくストーリーである。麻雀でストーリーを進めていく以上に無理がある(笑)。どうにかこうにかひねり出されたストーリーは…
美しい色に飾られた「カラーワールド」という伝説の島があった。その島を一目見ようと旅してきた主人公の少年(飛行服の防護グラスを頭に乗せてるところなど、パズーを意識したか)が島に着いてみるとそこは「カラー」などまったくない廃墟と化していた。浜辺に倒れていた老人から話を聞くと、この島には歴史に名を残した英雄たちが集っていてこの島を守っていたが、大王ザウナーなるものが彼らを洗脳してこの島を支配し、華やかな「色」も奪ってしまったとの話。この島を救うにはザウナーを倒して「歴史の書」を取り戻さねばならない…と聞かされた少年は、島の色を取り戻すべく戦いに乗り出した…
とまぁ、そういう設定である。このあとゲームでは敵キャラは日本史教科書でおなじみの歴史人物…と思ったらよく見ると「さかもとりゅうま」「ひしがたとしぞう」「さいごんたかもり」などなど、微妙に違うパロディキャラばかり(笑)。ステージをクリアするたびに島の一部に色が取り戻され、「さいごんたかもり」が実は美少女キャラだったとかかなり強引な展開のビジュアルシーンが出たりして、話は先へと進んでいく。
わざわざストーリー仕立てにする必要があったのかな、と思ってしまう強引かつ適当かつ深刻なんだかおちゃらけなんだか微妙なストーリー設定なのだが、この記事を書くために2012年になってからこのゲームを初プレイした僕には妙に既視感(デジャブ)があった。発売メーカーが「ココナッツジャパン」であるのを見て、ちょっと納得。「ココナッツジャパン」といえば「パチ夫くん」シリーズが有名だが、そのPC−FX版「パチ夫くんFX」(’95)で「島にキャラクターを集めてパチンコ大会をやらせる」というムチャな設定がこの「カラーウォーズ」にどこか似てるのだ。美少女キャラを大勢出して微妙にハズした媚びの売り方をしてるのも共通する。
さてゲームの方は、インチキ一切なしの真剣勝負。初めに一番下の四隅と中央四か所に四つの色が平等に配置され、ルーレットで一番手が決められる(一番手はラウンドごとに交代)。そして時計回りの順番でオセロと同様に自分の色のボールで他の色をはさむように配置し、はさんだボールを自分の色に変えてゆく。「アタック25」と異なり、「はさんで色を変えられないところに置いてはいけない」というルールがあるため、置くところがなくなるとパスするしかない。このとき各キャラが「…おくところがない」とつぶやくところが何かカワイイ(笑)。
どの「串」にボールを刺すかは手の指で表されるカーソルを移動させて決定するが、置ける串であるかどうかはカーソルが点滅することで分かるようになっている。3Dオセロだから立体方向での斜め線など一見気が付かないようなところにボールを置ける場所があるので、一応全ての串をまわって試した方がいい。うまくいくと立体方向の縦横斜めに一気に色が変わり、一挙逆転というケースもある。そのときは各キャラごとにセリフが決まっていて、特に戦国武将ではその名セリフをパロったようなセリフを吐いてくれる(やられた時も同様)。こういうところは光栄(現「コーエー」)の「麻雀大会」(歴史人物キャラが麻雀をしてそれぞれセリフを言う。PCエンジン版あり)を参考にしたんじゃないかと。
こういう調子で4×4×4の64マスに全てボールが埋まるまでプレイを進めていく。COM担当のキャラたちは一定時間考えこむ演出がついていて若干待たされるためイラつく人もいるだろう。ただこちらもその時間を利用して自分で戦略を練ることもできるのでこれはこれでいいかと。逆に自分の番で考えこんでなかなかボールを置かないでいると、「はやくせんか」とせかされることになるが(笑)。
オセロゲームや「アタック25」でなじみのある人は分かるだろうが、押さえておくべき戦略は「角・端を押さえておく」ことである。とくに角に置いたボールは色をなかなか変えられず(角でも2段目3段目は状況により変えられることあり)、自分のボールとして確保しやすい。また一番下の段に可能な限り置いておくのも序盤の基本戦略。そして各串の一番上、四段目を押さえるとこれも自分のボールとして確保しやすい。それらを頭に入れつつプレイすればいいのだが、「他の色をはさめないと置いてはいけない」ルールのため、そう都合よくいくわけではない。しかも四人も参加しているから状況は次々と変化し、あれよあれよという間に自分のボールが一気に減ってしまうという事態も多い。
先述のように本来「運」の要素はないはずのゲームなのだが、3D構造のなかで四人それぞれの思惑が入り乱れる結果、結局「運」になってしまっている気もする(「めぐりあわせ」と言った方が適切かも)。あとどうしても最初の第一手、自分の順番が最初か二番目の時が有利という傾向も否めない。中盤まで来るとだいたい勝負が見えてしまい、「貧富の差」がどんどん拡大する傾向もある。だから将棋とかオセロ同様の頭脳ゲームを求める人はかえって興ざめし、単に時間がかかるだけのゲームと思うかもしれない。逆に頭脳系、先読み系が苦手な人はそこそこ楽しめるかと。うまい具合にCOM同士がつぶし合いをしてくれるなか自分の点数をしっかり確保しておけば1位にならずとも先へ進める、ということもある。
全てのマスが埋まったところで1ラウンド終了、各自の得点(ボールの数)が決定して、次のラウンドが始まる。これを4ラウンド繰り返して1ゲーム終了だ。1ゲーム終了時点で4ラウンド分の得点が合計され、上位2人が次のゲームへと駒を進められる(だから必ずしも一位にならなくてもいい)。プレイヤーが3位以下になった場合はそこでゲームオーバー。勝ち進んだところまでデータがバックアップRAM内にセーブされるので、そこからまたコンティニューすればいい。なお僕が経験したケースとして同点で2位が二人いる状態になった場合、「上位2人」にならないと判断するようで、ゲームオーバーにされてしまった。
だいたい4〜5ゲーム突破で1ステージクリアとなり、1ステージクリアすると島の一部の色が取り戻され、ビジュアルシーンが出て話が先へと進む。前半までは幕末・戦国・南北朝・源平の日本の歴史人物のパロディ、後半は「ニャポレオン」「チンギスコーン」「ジョロニモ」など世界史上の有名人のパロディになる。
当然ながら次第に難度があがってゆくので(後半キャラほど思考ルーチンがいいのか、急に苦戦するようになる)、なかなか先へ進めなくなるし、1ゲームあたりかなり時間を食うのでクリアまで到達するのはかなり大変だ。ステージ数をもっと減らしても良かった気がするのだが…
◆ みんなでワイワイ、あるいはタイマン勝負
とにかく根性がいる「アドベンチャーモード」を敬遠して、とにかく楽しく遊びたい、という向きには「パーティーモード」がお薦め。四人対戦である点は「アドベンチャーモード」と同じだが、マルチタップを使って最大四人参加の対人対戦が遊べる(マルチタップなしでも可能。また足りない人数はちゃんとCPUが担当する)。「アドベンチャーモード」が男くさい英雄キャラばかりだったのに対し、このモードではキャラは美少女ばかり(笑)。バニーちゃんをはじめとする四人の女の子がプレイヤーの代役として対戦する。
基本ルールは「アドベンチャーモード」と同じだが、この「パーティーモード」では「パワーアクション」と名付けられた、いわゆる「イカサマ技」が使える。対戦する四人にはパワーゲージが表示されていて、手を打つまでの思考時間が長いと他の三人にパワーがたまっていく仕掛け。そしてたまったパワーを消費して各種アクションを起こすことができるのだ。
次の順番のプレイヤーを飛ばす「スキップ」、順番を逆回転させる「リバース」、2回続けてボールが置ける「ダブル」、縦一列を上下にひっくり返す「ターン」、縦一列を全て自分の色に変えてしまう「ストレート」、自分の色の他の誰か(ランダム決定)の色を全て入れ替えてしまう「カラーチェンジ」…などなど、多彩なアクションが用意されている。当然大がかりなものほど消費パワーは大きく、状況に応じてどれを使うか戦略を練ることができる。
また1ラウンド中ランダムに一人だけ「パワーボム」という爆弾マークが表示されることがある。これを配置するとその周辺のボールを一気に爆発させて消してしまうことができるのだ。「アドベンチャーモード」ではある程度進むとなかなか状況をひっくり返せないが、こちらのモードではこれらのイカサマ要素のおかげでいつどのように状況がひっくり返るか分からない。「パーティー」の名にふさわしく、友達と集まってワイワイと騒ぎながら遊べば結構面白いのではなかろうか。
最後の「ベーシックモード」はあくまで1対1の対戦に絞ったもの。対人・対CPU対戦が遊べ、対CPUの場合は相手のレベルを4段階まで設定できる。1対1で将棋のようにじっくり、というタイプには向く…というより、これは実質練習ステージなのだと思う。
分かって来ると結構ハマって遊んでしまったので、対戦ゲーム系としてはなかなかの出来だと思う。ちょっとクセはあるが3Dの盤をグルグルと回せる操作性や見やすいデザインも評価していい。正直なところアドベンチャーモードはいらなかったし、規模的にはHuCARDで出した方が受けがよかったのではないかなぁ…という気もする。
その後この手のゲームはあるのかとネット検索で調べてみたところ、コンピュータでの「立体オセロ」の試みはそこそこあるみたい。だがこの「カラーウォーズ」の存在はほとんど知られていない様子。今また再評価されてもいいんじゃないだろうか。
◎各誌評価
★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)
キャラクター
| 音楽
| お買い得
| 操作性
| 熱中度
| オリジナリティ
| 総合
|
4.062
| 3.437
| 3.000
| 3.312
| 3.500
| 3.750
| 21.062
第335位
|
★小学館ハイパーカタログ(★★★★★で満点)
★(勝)PCエンジン(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
| 総合評価
|
岩崎啓真
| 7
|
ウォルフ中村
| 6
|
東千里
| 7
|
びいず羽岡
| 5
|
★ファミコン通信クロスレビュー(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
| 総合評価
|
浜村通信
| 6
|
ジョルジュ中治
| 7
|
渡辺美紀
| 5
|
TACO・X
| 4
|
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