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投稿時間:2002/07/15(Mon) 16:58
投稿者名:まこと
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銀河帝国のモデル
私、第一発言者様は中国史が専門でいらっしゃるらしいと気づいてから、お聞きしたくてたまらなかったのですが、ネタばれが許されていなかったので(ストーリーとは関係の無い小さなネタばれですが)がまんしていました。

アシモフがギボンのローマ帝国衰亡史をヒントに銀河帝国シリーズを始めたことは有名ですが、新シリーズの第3巻では、ダニールが第一銀河帝国を作った時に参考にしたのはローマ帝国ではなく中華帝国だということになっています。ローマ帝国は一部の支配層の熱狂に左右されやすく予測不可能なほど混乱しており、大多数の民衆は不幸であった。一方中華帝国は長続きして、より多くの人間に平和と安定を与えたというのです。

民主主義は広大な銀河帝国を収める政治体制としてうまく機能しなかったというのが、アシモフの銀河世界の中での現実のようなので民主主義は除くとして、他の過去の政治体制から銀河帝国のモデルを探すとしたら、どこがいいでしょうか。自分がダニールだとしたら、異教徒に寛容そうなトルコあたりを選ぶんじゃないかと思ったりもします。帝国宰相や元老院らしき組織の存在等も中国と合わない気がして、この辺のブリンの話の持って行き方には疑問を感じたのですが、私はあまり歴史は詳しくないので、第一発言者様のご意見をお聞きしてみたかったのです。やっぱり中国でしょうか。

ちなみにダニールは中国を参考に以下のような権力安定機構を第一銀河帝国に導入したということです、
1.貴族達の権力欲を発散させるため宮廷での祭事等に力を競わせる。
2.主従関係を重視した宗教、儒教。
3.豪族の影響から独立した官僚登用試験制度、科挙
4.皇帝だけに忠誠を誓う階級、宦官。

ここで宦官に相当するのがダニールらロボットです。もしかしたらブリンはロボット=宦官説が言いたくて中国を選んだのかもしれません。
(1999年05月23日 日曜日 15時45分41秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 16:59
投稿者名:徹夜城
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うーむ、難しい。
いやー、これは大変な質問ですね。でも確かに僕が答えなければならないでしょう。いちおう「中国史専攻」の肩書きですので(正確には東アジア海上史なんですが)。

ブリンの小説はまだ読んでいないのですが、中華帝国を持ち出してきたことには大変興味をひかれますね。
まことさんの紹介文を読む限りでは、たぶんここでいう中華帝国の最大の特徴は「儒教」「科挙」につきるかと思われます。実はこれ、元ネタがあると思います。17世紀から18世紀にかけて西欧では中華帝国に理想国家を求めた時期があるのです。
今から思うと奇異に感じるかも知れませんが、科挙ってのは当時の西欧からみると大変素晴らしいシステムだったのです。儒教道徳・教養を試す厳正な試験により官僚が選ばれるわけで、完全な実力本位の世界です(つまり出身・家柄は問わない)。そのおかげで皇帝以外に権勢を振るう者が出て来にくい(でも出るんですけどね)。さらに言えば中華帝国はヨーロッパ以上の広大な国土に多民族を抱えていながらかなりの長期政権を維持します。
そう考えてくると安定的な銀河帝国のモデルを中華帝国に求めるってのも考えられないことでは無さそうです。ただしご存じの通り中華帝国はうまくいかない時も多いわけですが(笑)。
答えになったかどうか怪しいところですが、ひとまずこんなもんです。さらなる質問があったらどーぞ。

ところで僕自身はアシモフの「ファウンデーション構想」には別のモデルがあったんじゃないかな、と思うところがあります。これについては後日。
(1999年05月24日 月曜日 01時32分28秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:00
投稿者名:まこと
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まことによる探索
第一発言者様ありがとうございました。読んでいて中国が出てきたで唐突な感じがしたのですが、第一発言者様の説明を読んで、そうでないことが分かりました。中国が西欧の理想国家だった時期があったとは知りませんでした。となれば、あながち変な展開でもないかもしれません。

そういえば、西欧人はアフリカ人に対して一種の尊敬の念をもっていた時代があると何処かで読んだような記憶があります。中世から現代までの間には十字軍や大航海時代や帝国主義時代もあって西欧人の外国感も変わって来たのですね。外国人が別の外国に対して持つイメージをつかむのは難しいと思いました。結構、誤解に基づいているようなこともあるし。

ただアシモフが帝国=中国をイメージしていたかは別で、アシモフが書いた部分には中国に限定するだけの記述は無いように思います。普通に考えるとモデルは何になるんでしょうか?
銀河帝国=エジプト王国、トランターの図書館=アレキサンドリアの図書館、なども考えましたが、後が続かなかったので普通に銀河帝国=ローマ帝国でいくと、

トランター=ローマ(コンスタンチノープルにするか迷いましたが)
セルダン=キリスト
ミュール=アッチラ
テルミナス=百科全書派がいるということではパリ、地理的にはイングランド、帝国が倒れて1000年で復興していることや貿易商人を重視するとフィレンツェなどイタリア都市国家。
ファウンデーションによる探索=魔女狩り。

となりましたが、いかがでしょうか。
(1999年05月25日 火曜日 00時41分06秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:01
投稿者名:徹夜城
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セルダンはキリストか?
アシモフが銀河帝国のモデルをローマ帝国に求め(原点はギボンの「衰亡史」のSFバージョンですから)ていたことから、セルダン=キリスト説ってのは聞くところではあります。確か誰かさんの文庫版解説にあったんじゃなかったかな?確かに裁判シーンがあるけど。ただ僕はあんまりその空気は感じません。あくまで感じないってだけですが。
むしろ強引とは思いつつ「唯物史観」を出してきて人類の未来図を描いたマルクスに近いような印象を持っています。その後のファウンデーション発展過程とか思うように行かなくなる部分とかも似ているように思います。まぁこんなのは「邪推」の領域でしょうけど。
ただ、これは結構囁かれているように思うのですが、ミュール=ヒトラーってのはどうでしょうね。執筆時期も結構重なってますし、アシモフ自身がユダヤ系と言うこともあってヒトラーという人物には実際かなり関心を抱いていたようです。ミュールの「能力」やキャラクターって確かにどこか似てません?
(1999年05月29日 土曜日 00時17分45秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:03
投稿者名:ふいごのマロウ
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わたしは知っている…わけない
★「わたしは知っている・・・わけない」★
「それで」とアンソールは耳ざわりな声をだした。「あなたは<銀河帝国のモデル>がどこにあるというんです?」

「ああ、ないですよ」

ちょっと間があってから、エルヴィット・セミックが驚きのあまり信じられないといわんばかりの態度でたずねた。「モデルがないという意味かね?」

「そのとおりです、みなさん、<銀河帝国のモデル>は存在しません!」

アンソールの瞼がゆっくりと閉じた。青白い無表情な顔で彼はそこに腰掛けていた。

ホウマー・マンは注目を集め、それを楽しみながら言葉を続けようとした。

が、彼は床に崩れ落ちた。

アンソールはいった。「あなたは嘘をついている、マン」

ダレルがつぶやいた。「殴ってからいうなよ、アンソール。暴力は無能力者の最後の隠れ家だよ。脳波分析もまだしとらんのに。」

アンソールはいった。「認めたくないものだな、若さ故の過ちを」

ターバーがいった。「彼が、どことなくうさんくさいと、どうして思ったんだね?」

アンソールは冷笑的に彼のほうを向いた。「難しくはありませんでした。なにしろ僕はたまたま<銀河帝国のモデル>が、ほんとうはどこにあるのか知っているのですから」

衝撃が続くと効果が減るものであるーー

セミックのきき方は、まことに穏やかであった。「確かかね?つまり、この種のことはマンで経験したばかりなんでね・・・」

「すると、きみの結論は」

「明らかです」アンソールの目はきびしかった。「<銀河帝国のモデル>はシカン文明にあります」

ダレルは肩をすくめた「おもしろい。わたしは二、三ヶ月前アーケイディアからうけとった伝言にそれを当てはめようとしているところなのだ」

「ああ、伝言ですか?で、どういう内容なのですか?」

「どうもはっきりしない。五つの短い言葉だ。だが、おもしろいことはおもしろいよ」

ターバーがさえぎった。「シカン文明か・・・もうちょっと、フォローしやすい所にしてくれないか?この後の展開が難しいのだが。」

「だが、そうとばかりも」気を取り直してダレルがいった。

「何ページ飛ばしたんだ?」意識を取り戻したマンがつぶやいた。

「どういうわけです?そうとばかりもとは?まだ何かあるんですか?」

「ええ、われわれはまだ<銀河帝国のモデル>の所在を突きとめてはいません!」

「なんですと」とアンソールがどなった「あなたがいわんとするのは・・・」

「そうなんだよ。シカン文明は<銀河帝国のモデル>ではないんだ。」

「あなたにどうしてわかります?」

「簡単だよ」ダレルがうなるようにいった。「わたしはたまたま<銀河帝国のモデル>が実はどこにあるのかを知っているのさ」

ターバーが突然笑いだした「いやはや、これは一晩じゅうつづきますぜ。次から次とわれわれは仮説を立てては論破されている。おもしろくはあるがなんの結論もでません。なんとね!すべての文明が<銀河帝国のモデル>なのかもしれない。アシモフは特定のモデルなど全然持たずに、重要な要素があらゆる文明に散っているだけなのかもしれない。我々には彼の未来史があるのだから、モデルなど追求しないでもいいじゃありませんか?」

「要点に入ってください」アンソールがうんざりしていった。「あなたの情報はどういうのです?」

「アーケディアは」とダレルはいった。「伝言を伝えてきたのですが、それを聞くまで、わたしにはそのわかりきったことが、さっぱりわからなかった。おそらく、永久にわからずじまいになるところだったのでしょう。だが、それはこういう簡単な伝言だったのです。『星の創造者』。わかりますか?」

「わかりません」とアンソールは頑なにいったが、ほかの人々を代表して答えた事はまったく明らかであった。

「星の創造者」マンが思案顔に繰り返して額にしわを寄せた。

「ところで」とダレルは、せっかちにいった。「私にはわかりました。我々が<銀河帝国興亡史>について知っている唯一絶対の事実はなんです?ええ、いいましょう。それがSFであるということです。アシモフは先に発表されたSF小説の<銀河帝国>をモデルにしたのです。そして、それは1935年に発表されたオラフ・ステープルドンの『The Star Maker』つまり『星の創造者』だ!さらにそれ以前に発表された『Last and First Man』からも影響を受けている節があるのだ。」

「本当に、そうだろうか?」

「うーん、ここまで引っ張って創元版銀河帝国の興亡3のあとがきに書いてあるようなこと書いておしまいなの?」

「うーん、私は『星の創造者』の邦訳買って読んだけど、SFというより純文学に近い気もしたしねえ。おもしろかったけど、たぶんアシモフは読んでいないんじゃないかな。自伝にも言及ないし。」

「じゃあ、やっぱ、わからないのか」

「まことさんや第一発言者さんにわからないようなことが私にわかるわけないじゃない」
「じゃあ、タイトルどおりですね」
(1999年06月29日 火曜日 20時45分06秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:04
投稿者名:ヨハン・リー
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第一ファウンデーションのモデル
はじめまして。こないだパソコン買ったばかりの人間です。
とりあえずネット・サーフィンしてみたら、このページ見つけました。「ファウンデーション」ネタだけのHPまであるなんて、やっぱネットは奥が深いですねえ〜。

ところで「ファウンデーション」シリーズが、ギボンの「ローマ帝国衰亡史」をモデルにしているという説はよく言われますが、初期の「ファウンデーション」シリーズは、「旧約聖書」(に描かれるイスラエル民族の歴史)の影響も濃いような気がするんですが、どうでしょう。アシモフはユダヤ系だし・・・。

〈旧約聖書〉イスラエル人は、自分たちは神(エホバ)の祝福を受けている民族であり、どんな危機に遭遇しても、必ず神が助けてくれると信じている(いわゆる“選民思想”ですね)。ただし神の真意は、神の言葉を理解する“預言者”を通じてしか、民に伝わらない。
〈ファウンデーション〉第1ファウンデーション人は、自分たちはセルダン・プランによって未来の第2帝国を築くことになっており、どんな危機に遭遇しても、必ずファウンデーションが生き残れるようにプランが出来ていると信じている。ただしプランの内容はあらかじめ知らされず、一部の有能な指導者がそれを理解するだけである。

〈旧約聖書〉当時の文明国エジプトで奴隷として虐げられていたイスラエル人は、モーゼに率いられてエジプトを脱出し、モーゼの後継者ヨシュアによって辺境のカナンの地にたどり着く。
〈ファウンデーション〉帝国から危険視されていた心理歴史学者とその一団は、セルダンの策で首都トランターから離れ(追放され)、辺境の惑星ターミナスにファウンデーションを設立する。

〈旧約聖書〉約束の地カナンに定住後も、軍事力に勝る近隣のペリシテ人(パレスチナ人)の侵略に、たびたび亡国の危機に陥るが、ダビデ、ソロモンら優れた“預言者”たちの活躍で最後は常に勝利を収める。
〈ファウンデーション〉プランに未来を保証された惑星ターミナスに移住後も、軍事力に勝る近隣の四王国の圧力に、たびたび亡国の危機に陥るが、ハーディン、マロウら優れた指導者たちの活躍で最後は常に勝利を収める。

もっとも歴史上のイスラエル王国は、その後バビロニア(だったと思う)に滅ぼされてしまったので、ベル・リオーズ登場以降のファウンデーション史とはズレてしまいますが・・・。
(1999年12月29日 水曜日 18時46分46秒投稿)

投稿時間:2002/07/15(Mon) 17:06
投稿者名:ろく
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タイトル:
内容は、ないよー
みなさんのお話を感心しながら横で見ていました。
すみません、勉強不足のため自分の意見はありませんが、ふいごのマロウさんの文すっげーおもしろいっす。
(2002年02月20日 水曜日 01時30分57秒投稿)

投稿時間:2002/07/16(Tue) 01:48
投稿者名:TORI
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URL :http://www.ne.jp/asahi/history/science-fiction/
タイトル:
Re: 内容は、ないよー、って、そりゃ無いよ…。
> ふいごのマロウさんの文すっげーおもしろいっす。

というろくさんのカキコにひかれて読んで見ました…。そりゃ無いよお(^^)。上手い!!

投稿時間:2002/07/17(Wed) 17:42
投稿者名:ジムノ
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タイトル:
通りすがりに
大変面白いサイトですね  すばらしい!
もうどこかに出てるかもしれませんが  ファウンデーション最初の危機は
カノッサの屈辱ですね  
シリーズ全体を貫くひとつのモデルはないかもしれませんが
ひとつひとつのエピソードについては出典があるかもしれないとおもいます
フランス、ルイ王朝時代の政治史とか(具体的に出てこなくてすみません(^^;

投稿時間:2003/07/01(Tue) 06:02
投稿者名:ふむ
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ファウンデーションのモデル
それをどこか一つの国に求める必要があるのか非常に疑問です。
それは非常にナンセンスです!
アシモフは歴史を流れで捉えたのであって、
決して国で捉えたわけではありません。
彼はもちろんローマも学び…
また中国も学んだでしょう。
そのどちらか?もちろんどちらもでしょう。
欧米を含む世界の過去から現在までの歴史は当然知っていたでしょう。
宗教→貿易→軍事という流れは非常によく見られる歴史の一つの普遍的な法則と言えるでしょう。
一つ限定する必要はないんです。
むしろより沢山の国やより長い歴史を参照にすればするほど歴史は流れで捉えやすくなるのです。