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投稿日: 2014/04/12(Sat) 21:25
投稿者Ken
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タイトルRaces and People (4)

「Races and People」は、中学生や高校生でもしっかりと理解できるように書かれ、社会的主張を別にしても、遺伝についての優れた教科書になりうるのですが、惜しむらくは、1950年代の知識をベースにしているため、今の私たちが読むと、誤りもまた認められるのです。私が気づいたものを挙げておきましょう。

まず、人間の細胞核には24対48本の染色体が存在すると述べられていますが、正しくは23対46本です。染色体は非常に観察が難しく、そのままでは顕微鏡でも見えないので、染料で着色して(名称の由来ですね)観察しました。23対とか46本といっても、整列しているわけではなく、ごちゃごちゃに集まっているのです。昔の研究者が、数え間違ってもふしぎではありません。

つぎに、染色体上の遺伝子の構成物質は「核蛋白」であると述べられています。これは、あるいは全くの誤りとはいえないのかもしれませんが、現在はもちろんそんな言い方はしません。遺伝子を構成する物質は欠酸素リボ核酸つまりDNAであることは、万人が知っています。また遺伝子が細胞内で複製されるメカニズムも、当時は不明でしたので、本書でも「分かっていない」と書かれています。

アジモフは人類の集団ごとに血液型の構成比率が異なること、特にB遺伝子が中央アジアを頂点にして、そこから遠ざかるほど減ってゆくことから、人類の発生と分散を次のように推測しています。

〜〜すなわち、人類発祥の地は中央アジアである。そして人類には当初からA型、B型、AB型、O型の血液型がそろっていたのだが、人類分散の過程で、偶然の作用から一部の血液型が存在しない地域ができた。例えば、シベリアからアメリカへ渡ったのは、偶然にO型だけの集団だった。またオーストラリアの先住民(アボリジナル)の祖先になった移住者は、偶然にO型とA型だけの集団だった。B遺伝子は、もともとO遺伝子やA遺伝子よりも数が少なかったために、ごく少数の集団が分かれて移動すると、最もなくなりやすいのである。〜〜

もちろん、人類が中央アジアで発生したというのは、全くの誤りで、人類発祥の地はアフリカしか考えられません。では、地域による、血液型の構成比率の違いは、現在ではどう説明されるのでしょうか?

人間の血液型の発生には、常に2つの説がありました。1つは、原始の人類はO型だけだったのが、後にA型が、さらに後にB型遺伝子が発生した、というものです。世界の中で、O型が最も数が多く、広範に分布し、A型がこれに次ぎ、B型が最も地域的に集中していることが、その理由でした。O型=狩猟民族、A型=農耕民族、B型=騎馬民族という想像をする人もいます。

もう1つは、人類には初めからすべての血液型があったという説です。その根拠はABO式の血液型は人類以外の生物にも見られるからで、血液型が人類が発生するはるか前から存在したに違いない、というものです。アジモフはこの考え方で、世界各地で構成比率が異なるのは、偶然の作用であるといいます。

私自身がネットで調べた限りでは、やはりABO式の血液型は、人類の発祥当初から存在した、という考え方のほうが、広く支持を得ているように思われます。それなのに、世界各地で血液型の構成比率が異なるのは、アジモフがいうような偶然の産物ではなく、特定の病気に対する耐性が、血液型で異なるせいではないか、という説が報告されています。例えば、O遺伝子を持つ人は、コレラやペストへの耐性が弱いが、梅毒には強い。それゆえ、コレラやペストが存在せず、梅毒が存在した南北アメリカで、圧倒的な多数を占めるようになった、というものです。言い換えれば、本書執筆当時のアジモフは、血液型には自然選択による淘汰が働かないという前提に立っていますが、その前提が誤りである、ということです。

続く


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