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投稿日: 2015/06/01(Mon) 01:56
投稿者Ken
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タイトルミカ書〜マラキ書

『ミカ書』

 ミカはミカイヤの短縮形で、バイブルに登場する最も重要なミカイヤといえば、ラモト・ギレアドの戦いの直前に、ユダのヨシャファトがイスラエルのアハブに薦めた預言者であろう。

列王記一22章8節:イスラエル王はヨシャファトに言った、君はイムラの子ミカイヤに主の意志を尋ねよというが、彼は私に不吉な予言しか言わないから、私は彼を嫌う

 ただし、このミカイヤがミカ書の著者のはずはない。ミカイヤは前八五四年のラモト・ギレアドの戦の時にいたイスラエル人だが、ミカ書の著者はアハブの死後一世紀ほどの時代に活動したユダ人である。

ミカ書1章1節:ヨタム、アハズ、ヒゼキヤ王の時代、モラシュト人ミカは主の言葉を受けた

 ミカはイザヤ、ホセア、アモスの同時代人で、モラシュト人つまりエルサレムの東南四十キロに位置するモレシェト・ガト市の住人だったことになる。サマリアの滅亡を予言しているから、少なくとも初期の予言は前七二二年にサルゴンがこの町を破壊するより前になされたのだろう。一方で、ユダの祭司たちの腐敗も激しく叱責している。

ミカ書3章12節:君らのせいでシオンは畑となって耕され、エルサレムは小山になり、

 のちにエレミヤがエルサレムの滅亡を予言したことで殺されそうになったとき、彼の支持者はミカが同様の予言をしても殺されなかったことを挙げて弁護している。

 エルサレムの滅亡後に現れる救世主についても、予言がある。

ミカ書5章2節:汝ベツレヘム・エフラタよ、ユダの衆の中では小さくとも、系譜は古く永く、汝よりイスラエルの統治者は現れ、

 もっとも、この部分はバビロン捕囚時代の加筆と思われる。今は没落した(ユダの衆の中で小さな)ダビデ王家の子孫が再び王となるということだが、捕囚時代にそれを言えば謀叛人になるから、ダビデの故郷ベツレヘムの名を出して、ユダヤ人だけに分かる表現をしたわけだ。ところが、やがてこれが字義通りに解釈され、未来の救世主はベツレヘムで生まれると信じられるようになる。



『ナホム書』

 わずか三章のナホム書は、アッシリアの都ニネベがやがて滅びる喜びを歌い上げる。

ナホム書1章1節:ニネベについて、エルコシュの人ナホムが見たもの

 ニネベの崩壊が時間の問題として書かれているので、カルデアとメディアの連合軍がこの都を陥落させた前六一二年からそれほど遡った時代ではないだろう。

ナホム書2章4節:戦馬車は街路を疾駆する
ナホム書2章6節:川の水門は開き、王宮は崩れ去る
ナホム書2章7節:そしてフザブは囚われて去る

 フザブの正体は分からない。女性名なので、ニネベの別称か、アッシリア神話の女神か、もしくは王妃の名かもしれない。



『ハバクク書』

 預言者ハバククの正体はまったく不明。ユダの罪を罰するために神が遣わすのが、アッシリアではなくカルデアなので、時代的にはニネベの陥落からユダ王国の滅亡までの間と思われる。ハバククはユダの罪を神に訴え、神は必ず罰が下ると保証を与えている。

ハバクク書1章6節:私はカルデア人を用いる



『ゼファニヤ書』

 預言者の中ではゼファニヤの系譜が最も詳しく語られている。

ゼファニヤ書1章1節:ヨシヤ王の時代のゼファニヤ、その父はクシ、その父はゲデリヤ、その父はアマリヤ、その父はヒゼキヤ

 ヒゼキヤがユダのヒゼキヤ王なら、預言者ゼファニヤは王の玄孫になる。ヨシヤもヒゼキヤの玄孫だから世代的にも一致するし、王と預言者はまたいとこの関係になる。イザヤと同じくゼファニヤも王族だったのだろう。ただしゼファニヤが宮廷にはびこる異教を非難する一節がある。

ゼファニヤ書1章4節:この場所からバアルを一掃する

 少なくともこの部分はヨシヤの改革よりも前だろう。この頃にはアッシリアの凋落が混乱を引き起こしており、ゼファニヤには審判の日が近づいていると見えたに違いない。

ゼファニヤ書1章14節:主の偉大な日は近い
ゼファニヤ書1章15節:それは怒りの日、災いの日、荒廃の日、闇の日、



『ハガイ書』

 ハガイの活動時期ははっきりとしている。

ハガイ書1章1節:ダレイオス二年、主の言葉がハガイを通じて、ユダの総督ゼルバベルと祭司長ヨシュアへいたった

 ダレイオスの即位は前五二一年なので、その二年は前五二〇年になる。ユダヤ人は十七年前にエルサレムへ戻っていたが、地元民の抵抗で神殿はまだ再建されていなかった。よってハガイの使命は政治指導者のゼルバベルと宗教指導者のヨシュアを動かすことだった。ダレイオスの援助もあり、神殿は再建された。

 また神はハガイの口を借りて、救世主の名を言わせている。

ハガイ書2章22節:諸国の王を追放し、
ハガイ書2章23節:汝ゼルバベルを選ぶ

 ゼルバベルはダビデ王家の子孫で、神殿再建時のユダヤ人の指導者だから、当然ともいえるが、もちろんこの予言は実現しなかった。

 このただ一度の予言のあと、ハガイは消える。彼は破壊前の神殿を見たと思われる記述があるので、すでにかなりの高齢だったはずである。

 救世主と名指しされたゼルバベルもそれ以後の登場がなく、ペルシャ帝国から危険視されたのかもしれない。これ以後のユダヤの指導者は祭司長ばかりで、王権の復活は四百年後のマカバイを待たねばならない。



『ゼカリヤ書』

 ハガイと全く同じ年に預言者ゼカリヤの活動は始まった。

ゼカリヤ書1章1節:ダレイオス二年、主の言葉がゼカリヤにくだり、

 二人が時を同じくして予言活動を行った記述もある。

エズラ記5章1節:その時、ハガイとゼカリヤがユダヤ人に向けて予言を行い、

 ただしゼカリヤの方は、少なくとも前五一八年までは活動していた。

ゼカリヤ書7章1節:そしてダレイオス四年、主の言葉がゼカリヤにくだり、

 ゼカリヤはユダの敗北の苦しみと、やがて訪れる復活を語るが、運命の転換をこのような言葉で語っている。

ゼカリヤ書3章1節:天使の前に立つ祭司長ヨシュアと、彼を妨げるべく右に立つサタンの姿を示された
ゼカリヤ書3章2節:主はサタンに言われた、サタンよ、私はお前を責める
ゼカリヤ書3章3節:いまヨシュアは汚れた衣をまとい
ゼカリヤ書3章4節:主は言われた、汚れた衣をとれ、私がお前の衣を替える

 ヨシュアはユダヤ人を、汚れた衣は罪を、神が与える清らかな衣は復活を表すのはいうまでもないが、注目すべきは、ペルシャの影響下に入って二十年足らずで、神と対立する悪魔サタンの観念がユダヤ教に入っていることだろう。

 ゼカリヤも来たるべき救世主を語る。

ゼカリヤ書3章8節:聞くがよい、ヨシュアよ、私がしもべの枝を連れてくる

 ダビデ王家から新たに伸びる「枝」とは誰かといえば、

ゼカリヤ書6章12節:見よ、その者の名は枝、その者は主の神殿を建てる

 神殿を再建したのはダビデ王家のゼルバベルだから、ゼカリヤもハガイと同様、救世主たる王はゼルバベルだと言っている。その名が現れないのは、予言が実現しなかったので、後世の編者が消したのではないか。

 ゼカリヤ書は十四章からなるが、初めの八章とあとの六章は、文体も、見て取れる背景も大きく異なる。

ゼカリヤ書9章1節:主の言葉がハドラクとダマスカスの運命を、

 ハドラクもダマスカスもシリアの町である。この一節に始まるゼカリヤ書第9章は、シリアとペリシテの地が、征服者の軍勢に席巻されてゆく様を描いているが、これはどうしてもアレクサンダー軍としか思えない。ネブカドネザルにも屈しなかったティルスでさえ、この時破壊された。そしてユダヤ人が絶対の存在と考えていたペルシャ帝国がひとたまりもなく崩壊した。ユダヤ人は、これこそ神が遣わした軍隊だと思ったであろう。ただ、それが異教徒の王となると、真の救世主は軍事的成功者とは異なる形で現れねばならない。

ゼカリヤ書9章9節:歓喜せよ、シオンの娘もエルサレムの娘も、王の到来を見よ、彼は正しく、救いをもたらす。慎ましく、驢馬の子にまたがり、
ゼカリヤ書9章10節:異教徒に平和を説き、彼の王国は海から海へ川から地の果てまで、

 ところが、これに続く箇所は、アレクサンダーよりさらにのちの時代を背景とするようだ。

ゼカリヤ書9章13節:私はシオンの子等を立てる、ギリシャの子等と戦うため、
ゼカリヤ書10章11節:アッシリアの誇りは倒れ、エジプトの王笏は離れゆき、

 「異教徒に平和を説いた」精神は失われ、憎悪が復活している。アッシリアはシリアの間違いで、ここではアレクサンダー帝国から分裂した二つの国が滅びると言っているのだ。
 異教徒がエルサレム軍に大敗する予言をもって、ゼカリヤ書は終わる。



『マラキ書』

マラキ書1章1節:イスラエルについて、マラキが伝えた主の言葉

 マラキは「我が伝令」という意味で、これが著者の名ではなかろう。なによりも、伝令の名はちゃんと与えてある。

マラキ書4章5節:見よ、恐るべき主の日の前に、私は預言者エリヤを遣わす

 活動時期の特定は難しいが、前四六〇年頃という説が有力なようだ。ハガイやゼカリヤが予言したゼルバベル王は実現せずに終わり、ネヘミヤの活躍はまだ先で、ユダヤ人が意気消沈した時期に、主の日は必ず来ると言い続けたのだろう。


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