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TVシ リーズ「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」鑑賞記


第2シリーズ(1973年放送)

第14話
「ホームズの挑戦」HERLOCK SHOMES LANCE UN DEFI
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、フロリアニ)
アンリ=ヴァルロジュー(ショルメス)
ソフィー=アガサンスキー(ナタリー)
ロジェ=カレル(ゲルシャール)
ベルナール=デュラン(ドルー=スビーズ)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)
イヴェ=バルザック(ウィルソン)

メインスタッフ
脚 本:クロード=ブリュレ
演出:ジャン=ピエール=ドゥザニャ

ストーリー
ド ルー=スビーズ伯爵の所有する「王妃の首飾り」が、身に着けていた女優ナタリーの体からまんまと盗み取られた。警察は名探偵ホームズ(ショルメス)に調査 を依頼、真相を解き明かしたホームズと伯爵の前にフロリアニ公爵ことルパンが現れ、自分がむかしスビーズ家でこき使われていた女性の息子であり、金持ちへ の復讐が盗みの動機だと明かす。そしてホームズに「ティベルメニルの城館」の秘密の地下通路を4日以内に見つければ宝石を渡すと挑戦状を突きつけた。挑戦 を受けてたったホームズは軍隊が厳重警戒する城館におもむき、謎を解こうとする。
原作との比較
序章 部分はルパンの少年時代のエピソード「女王(王妃)の首飾り」の設定を現在に移して流用し、大半は「おそかりしホームズ」のストーリーが、形を変えつつも ティベルメニルの暗号解読など原作を生かしつつ使われている。原作では登場しないゲルシャール(ガニマール)も道化役でからんでいる。
感想
原作 短編二本を合成流用した回だが、ルパンが少年時代を語るくだりやティベルメニルの謎解きなどは原作そのまんまなので、原作ファンにもけっこう楽しめる。こ の回再登場のホームズ(ショルメス)はなぜか口ひげを生やしての登場で、全体的にコミカルに なっている。ウィルソン役はなぜか変更。

第15話
「ルパンのバカンス」ARSENE LUPIN PREND DES VACANCES
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、ルノルマン)
ロジェ=カレル (ゲルシャール)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)
クロード=ドゥグリアム(ドロレス)
ダニエル=サルキ(ルデュック)
ジャック=デュバリ(ケッセルバッハ)
メインスタッフ
脚 本:ナタン=グリゴリエ
演出:ジャン=ピエール=ドゥザニャ

ストーリー
エト ルタで休養中のルパンの目の前で老刑事ルノルマンが崖から転落死した。ルパンはルノルマンになりすましてカンヌへ赴き、インカの遺物の収集家で展示会に出 品する富豪ケッセルバッハの家に深夜忍び込んで宝物のありかを聞き出そうとする。ところがその後でケッセルバッハが何者かに殺され、名刺が残されていたこ とからルパンに殺人の嫌疑が。ルノルマン警視の立場でルパンは捜査を進めつつ、ケッセルバッハの未亡人ドロ レスに接近する。
原作との比較
登場 人物の名前と序盤の設定から「813」が原作であることは明白だが、やはり明るく楽しい短編作品として大きく改造されている。ルノルマンの設定が国家警察 部長ではなくゲルシャールと同じ警視に変更され、ケッセルバッハもなぜかインカ遺物の収集家に変更されている。また原作にはない、いわゆる「ルパンファッ ション」での登場場面が二度ある。
感想
「813」 はルパンシリーズ中の名編だけにこういう形で映像化されちゃったのはやや残念。それでも原作ファンはむしろ 原作からの改造の仕方にニヤニヤしながら楽しめること請け合い。作り手のその辺をわかっててやってる気もする。劇中ルノルマン(ルパン)が「カンヌで映画 祭をやるといい」と言って笑われるくだりもニヤニヤものだ。それとルノルマンの変装がシリーズ中最高の化けっぷりで注目。

 第16話
「奇巌城〜ジェーブル伯爵邸の怪事件」LE MYSTERE DE GESVRES
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン)
テレーゼ=ラオタール(レイモンド)
ロジェ=カレル (ゲルシャール)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)
ベルナール=ジロード(ボートルレ)
ポーリーヌ=ラリュー(シュザンヌ)

メインスタッフ
脚 本:アルベール=シモナン
演出:ジャン=ピエール=ドゥザニャ

ストーリー
深夜 のジェーブル邸にルパン一味が侵入、執事が殺害され伯爵は負傷。そして伯爵の姪レイモンドはルパンを銃で狙撃し命中させたかに見えたが、ルパンの姿は 見つからない。しかも何も盗まれたものがなく、謎は深まる。現場にやってきた青年新聞記者ボートルレは事件の意外な真相を解き明かしていく。
原作との比較
「奇 岩城」の前半部分に限定すればかなり原作に忠実。高校生探偵ボートルレが新聞記者の設定だが、これはボートルレの原型であるルルーのルールタビーユに「先 祖がえり」した形。ルパンとレイモンドの関係は大幅に変更されており、話自体は次回に続いているもののレイモンドの登場はこの回だけとなった。なおボート ルレとシュザンヌが「できちゃう」展開はドラマオリジナルだが、偶然(?)にも永井豪&ダイナミックプロの漫画版でも同じ展開がある。
感想
名作 「奇岩城」の序盤がかなり忠実に映像化されているので原作ファンは喜べるはず。ボートルレが青年新聞記者になってしまったことには抵抗を覚える人も多そう だが、原作でも感じる小生意気な雰囲気はよく出ている(笑)。むしろ泥棒に入るルパンが原作とは異なりいわゆる「ルパンファッション」になってるのに違和 感が…

第17話
「奇巌城〜エギーユの秘密」LE SECRET DE L'AIGUILLE
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、ボナール、ラヴィル)
カトリーヌ=ルーヴェル(ジュヌビエーブ)
ロジェ=カレル (ゲルシャール)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)
ベルナール=ジロード(ボートルレ)
アンリ=ヴァルロジュー(ショルメス)

メインスタッフ
脚 本:アルベール=シモナン
演出:ジャン=ピエール=ドゥザニャ

ストーリー イギ リスのロンドンに現れたルパンはロンドン塔から宝石・財宝とともにウィリアム征服王にまつわる羊皮紙の古文書を盗み出した。宿敵のゲルシャール警視、そし て名探偵ホームズ(ショルメス)、さらに青年記者 ボートルレの三人はルパンに導かれるようにしてエトルタの海岸にやってくる。そこにそびえる「針の岩」にはある秘密が…
原作との比較
前回 に続く形で「奇岩城」の後半部分が原作として使われているが、ルパンがロンドンで活動するなどストーリー自体はオリジナルといっていい。ホームズ (ショルメス)がルパンに監禁され、ゲルシャールがひたすら道化役、ボートルレだけが一目置かれて奇岩城内部を案内されるあたりは原作に近い。この回のみ 登場のヒロインの名前が「ジュヌビエーブ」なのだが、これは「813」登場の彼女から拝借したか。
感想
前回 に比べると原作から完全に離れており、その点では原作ファンとしては残念。ただエトルタの「針の岩」のすぐそばでのロケシーンが豊富で「奇岩城」現地 の観光気分で楽しむこともできる。またシリーズのレギュラーライバルであるゲルシャール、ショルメス、ボートルレ揃い踏みは豪華そのもの。

第18話
「黒い帽子の怪人」L'HOMME AU CHAPEAU NOIR
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、ダヴナック)
ニコール=カルファン(カトリーヌ)
ロジェ=カレル (ゲルシャール)
カリン=ペーターゼン(ジュリエット)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)
アンリ=ヴァルロジュー(ショルメス)
メインスタッフ
脚 本:クロード=ブリュレ
演出:ジャン=ピエール=ドゥザニャ

ストーリー
ルパ ンが心臓発作で急死!大々的な葬儀が行われ宿敵のホームズ(ショルメス)やゲルシャールも参列してその死を悼んだ。しかしそれはルパン一流の芝居で死を 装って身 を隠しただけだった。ある日ルパンの自宅を一人の娘が訪ねてきて、ルパンの正体を知った上で自分が巻き込まれている事件を解決してほしいと頼んだ。飛行機 でノルマンディーに飛んだルパンは、美人姉妹の祖父が残した謎の遺言、館に出没する「黒い帽子の怪人」の謎に挑む。
原作との比較
原作 は「バール・イ・ヴァ荘」。冒頭のルパンの葬儀はドラマのオリジナルだが、「バール・イ・ヴァ荘」の展開自体はそこそこ原作にのっとっている(犯人や 犯行の背景などは一部変更)。ルパンに助けを求めるカトリーヌは第1期シリーズに出ていたナターシャの友人という設定。ベシュ刑事は登場せず、代わりにゲ ルシャールが道化役を請け負っている。ルパンが飛行機を操縦するアクション場面が多いのも特徴で、こ れは「虎の牙」を意識したか(あれはルパンは操縦はしないけど)。
感想
原作 にない部分だが、「ルパンの葬儀」のシーンは作者ルブランや当時のルパン役者ブリュレ(その甥がこの回の脚本を書いている)からの追悼メッセージがあるな ど、スタッフの遊び心が旺盛で楽しい。これも原作とは異なる点だ が、1920年代の飛行機が景気よく飛び回るところはなかなか貴重なはずで、飛行機マニアには受けるのではなかろうか。しかしゲルシャール、ずっとそばに いるくせにルパンに気づけよ(笑)。

第19話
「赤い絹のスカーフ」L'ECHARPE DE SOIE ROUGE
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、バーナビー)
ロジェ=カレル(ゲルシャール)
プリュダンス=アリントン(ジェニー)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)
フランソワ=グエラン(プレヴァイユ)
メインスタッフ
脚 本:クロード=ブリュレ
演出:ジャン=ピエール=ドゥザニャ

ストーリー
赤い 絹のスカーフがトレードマークの歌手・ジェニー=サフィールは富豪プレヴァイユと結婚した。だがプレヴァイユの狙いは彼女が持つ宝石「ジンギ スカンのサファイア」と察したルパンは昔付き合いのあったジェニーを救おうと動き出す。ルパンはゲルシャールの前に姿を現して死が偽りだったことを明か し、自分をえさにサフィール周辺に目を向けさせる。
原作との比較
「ル パンの告白」に収録された同名の傑作短編を原作としているが、設定を拝借しただけの事実上のオリジナル作品となっている。ゲルシャールを空き家に誘い込む トリックや「秘書に弾を抜かせた」とだます展開は原作からアレンジ拝借している。ルパンの連絡先の私書箱が「813」番という遊びもある。
感想
原作 がルパンシリーズを代表する傑作とされているだけにこの回の大幅改変は残念!ただ原作では徹底的に利用されコケにされるガニマール(=ゲルシャール)が最 終的にルパンと協力して事件を解決するという意外なアレンジがあり、この回の見どころ。また原作にない要素でムッソリーニの台頭とかロシア革命後のロシア 人亡命者の描写が時代を感じさせて興味深い。

第20話
「謎の家」LA DEMEURE MYSTERIEUSE
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、デネリス)
マリカ=グリーン(レジーヌ)
エヴェリーヌ=ドレ (アルレット)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)
ジャック=トジャ(メラマール)
グイ=グロッソ(ラブロー)
エリック=クルーガー(ファジュロー)
メインスタッフ
脚 本:ジョルジュ=バルロ
演出:ジャン=ピエール=ドゥザニャ

ストーリー
ダイ ヤモンドをちりばめたドレスを着たモデル・レジーヌが仮面の男とヴェールの女に誘拐され、ある屋敷に連れ込まれてドレスを奪われた。さらにお針子のアル レットも仮面の男に同じ 屋敷に連れ込まれるが、隙を見て脱出に成功する。事件を調査するデネリス男爵ことルパンは女性たちと共にメラマール伯爵の屋敷を訪れるが、なんとその屋敷 は二人が連れ込まれた屋敷そのものだった。だがメラマール伯爵は事件との関わりを完全に否定する。
原作との比較
原作 「謎の家」は長編なので後半かなりの刈り込みがあるが、ストーリーの基本線はかなり忠実に追っており、原作どおりの「キス治療」のギャグも健在。原作では ルパンの偽名は「デンヌリ子爵」だがなぜか変更 されている。ファジュローの登場の仕方がかなり異なり、原作にあるような三角関係ドラマはカットされた。また原作は「バーネット探偵社」の続編で宿敵ベ シュ刑事も登場するのだが、ドラマではこの回かぎり登場の刑事ラブローに変更されている。
感想
大筋 で原作に忠実な映像化になっているのだが、ベシュがいないとやっぱり寂しい(笑)。誘拐犯人がつける仮面が何やら「犬神家の一族」風味なのだが、単なる偶 然でしょうねぇ。

第21話
「八点鐘」LES HUIT COUPS DE L'HORLOGE
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、セルニーヌ)
コリーヌ=ル・プレン(オルタンス)
フランソワ=メストル(エーグルロッシュ男爵)
ピエール=ロンダシェ(ゲタン)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)

メインスタッフ
脚 本:ロベール=シャパオン
演出:ジャン=ピエール=ドゥザニャ
ストーリー
エー グルロッシュ男爵の姪・オルタンスは男爵邸に狩猟に来ていた自称ロシア貴族セルニー ヌ公爵に誘われ廃墟となっている城館に入り込んだ。入った途端に大時計が8時の鐘を鳴らし、その中には望遠鏡が隠されていた。叔父のもとから逃げたがって いたオルタンスはゲタンという男と駆け落ちを試みるが、セルニーヌが車のタイヤを銃撃して阻止。何度か廃墟を訪れたセルニーヌとオルタンスは、城館のテラ スから双眼鏡を覗くうち向かいの塔のてっぺんに二つの白骨死体があるのを発見する。
原作との比較
連作 短編集「八点鐘」のうち、第一作の「塔のてっぺんで」のみを映像化しており、時間に余裕もあるので原作に忠実でありつつも、狙撃によるパンク場面を再利用 して笑いをとったり決闘場面があったりと話がふくらまされている。本来「八点鐘」のルパンは若い貴族「レニーヌ公爵」に扮している のだが、なぜかドラマでは「813」でルパンが扮したロシア貴族セルニーヌ公爵に変更され、割と年配に変装している。
感想
ト リックアイデア満載で、しかも恋愛小説の香り漂う傑作短編集である「八点鐘」については、それだけでシリーズドラマ化してほしいぐらいなので第一作のみと いうのは残念。第一作に連作の要素を詰め込んでみせた観もある。

第22話
「羽根飾り帽子の貴婦人」LA DAME AU CHAPEAU A PLUMES
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、スターク)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)
ダニー=シーゲル(リディア)
メインスタッフ
脚 本:R&A=ベッカー、ジャック=ロジェール=ナノ
演出:ウォ ルフ=デートリッヒ
ストーリー
ウィー ンのカジノでニセ金を使い大金をせしめたルパン。ところがその帰りに自動車事故にあって記憶喪失になってしまう。所持していたパスポートはアメリカの探偵 やフランス貴族などさまざま。アメリカの探偵だと自分で思い込んだルパンはカジノの事件の捜査に乗り出すが、その中で次第に記憶を取り戻していく。彼の頭 に浮かぶのは「羽根飾りの帽子の貴婦人」と「バッグ」だった…
原作との比較
「カ リオストロの七つの環」に続く二度目のウィーン編で、やはり完全オリジナル作品。登場人物のうち前作の女盗賊タマラの子分たちが再登場(キャストは変更) しており、「カリオ ストロ伯爵夫人」ことタマラも登場する続編の予定で脚本が書かれたと思われるが、タマラ役の女優さんの都合か、別の女盗賊リディアが登場している。
感想
ルパ ンが記憶喪失になっちゃうという意表をつくアイデアが見所のオリジナル作。記憶喪失のアイデアはルブランの非ルパンもの「ジェリコ公爵」をヒントにした可 能性はある。オリジナルものの中ではまぁまぁ面白いほうだが、タマラが登場していればもっと面白かったはず。

第23話
「ロッテンブルクの踊り子」LA DANSEUSE DE ROTTENBURG
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、ルジュラック、スパルミエント)
ダルマー=ヘラー(アメリー)
シャルロッテ=ケール(ジンマーマン)
ハンス=ケトナー(クラウゼン)
ハンス=ハーマン=シャウフス(デンガー)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)

メインスタッフ
脚 本:R&A=ベッカー、ジェローム=グレシー
演出:フリッツ=ウンゲルター
ストーリー
ドイ ツを旅するルパンは橋の上から列車に飛び込み自殺をしようとしていたアメリーという女性を救う。その女性は破産状態で、唯一所有していた名画「サボをはい た踊り子」がニ セモノと鑑定されたあげく何者かに盗まれ、保険金もおりず追い詰められていたのだ。彼女を救うおうと考えたルパンは旧知の同業クラウゼンから情報を収集、 絵画収集家のチリ人富豪スパルミエントに変装して絵画贋作の組織犯罪に迫ろうとする。
原作との比較
また またドイツ編で、ストーリー自体は完全オリジナルだが、絵画がからんで「スパルミエント」とくれば「ルパンの告白」収録の短編「白鳥の首のエディス」が元 ネタとなっているのは明らか。
感想
これ も「原作」である「白鳥の首のエディス」がかなりの傑作だけに、原作どおりのものを見たかったところ。中世の面影を残すドイツの町でのロケが多いのでドイ ツ観光気分にはひたれるのだが、話はかなりこみいっていて分かりにくい。ラストでルパンともども視聴者の意表を突いてくるのは面白かった。

第24話
「怪しげなフィルム」LE FILM REVELATEUR
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、ダッチマン)
マリア=コルバー(ロミー・ハイドカンプ)
マリー=バルジーニ(ブリジット・バレット)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)

メインスタッフ
脚 本:R&A=ベッカー、ジャック=ロジェール=ナノ
演出:フリッツ=ウンゲルター
ストーリー
飛行 船で旅行中にアメリカの映画スター・ダッチマンと出会ったルパンは、彼をだまして行く先を変えさせ、みずからがダッチマンになりすましてドイツに向かう。 ここで行われている宝石展示会にもぐりこんだルパンはまんまと狙いのダイヤを盗み出すが、それはなんとニセモノだった。してやられたルパンは本物のダイヤ を探し回るうち、上映されていた映画の一場面から重大なヒントを得る。
原作との比較
ドイ ツを舞台にした、やはり完全なオリジナルストーリーだが、映画の場面からヒントを得るアイデアは「八点鐘」中の一編「映画の啓示」からの拝借と思われる。
感想
思い つきは悪くないのだが話が少々入り組んでいるため展開がつかみにくい。第1期シリーズの「トンビュル城の絵画」と同じく、当時の映画撮影の現場の模様が再 現されているところが映画ファンとしては興味深かったりする。当時の飛行船旅行の描写も1920年代という時代を感じさせる。

第25話
「ダブル・ゲーム」DOUBLE JEU
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、アルティコフェン)
アンドレア=ダーメン(ヘレン)
ギュンター=スポール(ワグナー警部)
バーンド=ヘルフリッヒ(ゴットリブ刑事)
ロジスラフ=フォン=ヘイデン(ヴィーゼンベルグ男爵)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)
メインスタッフ
脚 本、R&A=ベッカー、ジョルジュ=バルロ
演出:フリッツ=ウンゲルター
ストーリー
バイ エルンの山道で、スポーツカーを運転する女性と出くわしたルパン。その女性、ヘレンが夫と経営する乗馬クラブで調教師オルロンが殺害される事件が発生し、 へレンが疑われたためルパンが探偵役を買っ て出ることに。現場から発見された時計の止まっていた時間から殺害時刻が推定されたが、疑われる男たちはそのときトランプのポーカーをやっていてアリバイ が存在した。ルパンはその推理力を発揮して事件の真相に迫る。
原作との比較
やは りドイツが舞台のオリジナルストーリーなのだが、トランプゲームが殺人事件に絡んでいる点と、ラストのルパンの手口は「バーネット探偵社」収録の「バカラ の勝負」を参考にしている。
感想
怪盗 ルパンというよりも名探偵ホームズのお話。ルパンが泥棒ではなく純粋に殺人事件の謎解きをする話なので、ルパンということを忘れればそこそこよくできたミ ステリドラマとして楽しめる。

第26話
「アンベール夫人の金庫」LE COFFRE FORT DE MADAME IMBERT
おもな出演
ジョ ルジュ=デクリエール(ルパン、トッド、アルマン、パラド)
パスカル=ロベール(イレーヌ・アンベール)
ジャン=ピエール=ランバル(ブノワ=アンベール)
ロジェ=カレル(ゲルシャール)
イヴォン=ブシャール(グロニャール)

メインスタッフ
脚 本:アルベール=シモナン
演出:ジャ ン=ピエール=ドゥザニャ
ストーリー
破産 同然になるほど派手な金遣いをしながら盲目の芸人からも金を盗み取るアンベール夫人に怒ったルパンとグロニャールは彼女をこらしめるべく策謀を開始する。 アメリカ人弁護士に化けたルパンは夫人に多額の遺産が転がり込んできたと言ってだまし、さらに退役軍人の変装でアンベール夫人の夫を暴漢から助け、アン ベール家 に執事として雇われる。夫人が大金持ちになったと信じた銀行家たちは多額の融資を行い、夫人の金庫にはアメリカから多額の遺産である証券がつめこまれる が…
原作との比較
原作 は「怪盗紳士ルパン」中にある同名短編で、もともとは駆け出し時代のルパンがアンベール夫人の財産を狙って策謀をめぐらすが、逆に利用される羽目になると いう失敗談。ドラマ版は設定こそかなり流用しているが(ニセの証券、アンベール氏の夫を助ける芝居など)アベコベにルパンがアンベール夫人にいっぱ い食わせる痛快話に改変されている。原作にない要素としてゲルシャール警視や警視総監などシリーズのレギュラーキャラも再登場している。
感想
第2 シリーズの締めくくりはルパン若き日の失敗談か…と思いきや、原作の展開を逆転させた「お仕置き話」になっていた(原作のカタキをドラマでとった!?)。 次々と別人に変装して登場するルパンの 変幻自在ぶりが楽しく、シリーズ中では珍しく正統派の泥棒ばなしになっているので、これはこれで痛快。最終回ということでゲルシャールら警視総監が再登場 してくれる のも嬉しい。聞くところでは第3シリーズの計画もあったらしいんだけど、残念ながら実現せず、これがデクリエール・ルパンの最終話となった。

第1シリーズを見る
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