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「特捜班ビクトール」(長編)
VICTOR,DE LA BRIGADE MONDAINE

<ネタばれ雑談その2>

☆「ビクトール」の舞台を追跡調査

 『特捜班ビクトール』は、これまでのルパンシリーズの多くと同じく、ほとんどパリを舞台に展開されている。だが事件の発端となった国防債券の盗難が起こったのは、フランス東部アルザス地方の中心都市・ストラスブールだ。アルザス地方と言えば『813』や『オルヌカン城の謎』でも触れられたようにフランスが普仏戦争(1970-1971)で ドイツに奪われ、その奪回を国民的悲願にしていた地域だ。第一次大戦後にその悲願は達成され、アルザス・ロレーヌはフランス領に復帰している。本作冒頭で この都市の名前が出てくることで第一次大戦後の話なんだとすぐに分かる仕掛けだが、この小説の執筆後わずか7年後に再びドイツに奪い返されることになって しまう。この小説発表の年、1933年はドイツでヒトラー内閣が成立、第二次世界大戦に向けてのきな臭い雰囲気が次第に漂い始めた時期なのだ。

 事件の発端はストラスブールだが、物語の発端はパリ市内・クリシー通りの映画館「シネ・バルタザール」だった。クリシー通りといっても長いのだが、ビクトールとオディグランが女を追跡してクリシー広場に来ているのでだいたいの位置は推定できる。
 ドートレー男爵の愛人・エリーズ=マソンの住居があり、殺人事件の現場となってしまうのがボージラール通り。ドートレーのセリフにもあるようにセーヌの南側、リュクサンブール公園のすぐそばにある。そのドートレー男爵はパリの北駅からサン・ラザール駅へタクシーで向かうのにわざわざエトワール広場を経由しているが、これがいかに不自然なことであるかは地図を見れば一目瞭然だろう。



 物語中盤、いよいよ目標のアレグザンドラに接近したビクトールの大活躍の舞台となるのが、シャンゼリゼ通りにある豪華ホテル「カンブリッジ」だ。シャンゼリゼだってかなり長いのだが、本文中のセリフから裏にポンティユ通りがあると判明するので、おおよその位置は推定できる。もちろん架空のホテルだと思われるが。
 モーレオン警視が国際ギャング団を追跡して手入れをしたバーは、そのカンブリッジ・ホテルからほど近いマルブフ通りにあった。余談ながら、このマルブフ通りを囲むシャンゼリゼ・ジョルジュ5世・モンテーニュの三つの大通りに囲まれたほぼ正三角形の地域は俗に「金三角(Triangle d'or)」と呼ばれているそうで(笑)。
 
 ビクトールが居住しているのはテルヌ地区(quartier des Ternes)。テルヌ通りとモンソー公園に挟まれた地域で、ビクトールはここに老いた下男一人と共に住んでいた。この下男の正体も気になるところだが、ラストで一緒に姿をくらましている点からもビクトールの正体を承知の上で一緒に暮らしていたと思しい。女性だったらビクトワールで決まりなのだが、男性なのでシャロレ父かな?などと勝手に想像している。
 そのテルヌ地区からパリ市街を出たヌイイ地域のルール通りのはずれに、偽ルパンことアントワーヌ=ブレサックの隠れ家の一つがあった。そしてクライマックスでブレサック、ビクトール、アレグザンドラが潜入するギリシャ人の屋敷はブーローニュの森に面したマイヨ通りにあった。

 ビクトールとアレグザンドラの待ち合わせ場所となり、「ルパン」とビクトールの出会いの場所ともなり、ラストの「本当の姿」(?)をルパンが見せるシーンなど、物語中でたびたび舞台となるのがリボリ通りサン・ジャック広場。ここには「サン・ジャック塔」と いう有名なゴシック調の塔が建っていて、『ビクトール』本文もよく読むとこの塔がさりげなく描写されている。この塔はもともとここにあった教会の鐘楼とし て16世紀に建てられたもので、17世紀に有名な哲学者・科学者であるパスカル(Blaise Pascal、1623-1662)が気圧の実験を行ったことでも知られる。フランス革命後に教会が取り壊されて塔だけ残ってしまい、19世紀中ごろのパリ改造の一環 として塔の修復再建と周囲の公園化が進められて今日に至っている。

 物語のもう一つの中心舞台となっているのが、パリ西部郊外のガルシュ周辺だ。『813』でもこの地域がしばしば登場していた。
 国防債券の行方を追いかけるビクトールはサン・クルー駅で降り、さらにガルシュのカフェに拠点を構えて、ヴィル・ダブレーマルヌ・ラ・コケットボークレッソンといった周辺地域を捜査する。そしてサン・キュキュファの森の近くの「ラ・ビコック荘」で殺人事件に出くわすことになる。現場から逃走した人物はラ・セル・サン・クルーからブージバル経由でパリで戻ったと推定されている。

 捜査線上にのぼってくるドートレー男爵の家はガルシュの、サン・クルー公園を見渡せる場所にある。ドートレーが「ガルシュで列車に乗り遅れたので25分ほどかかるセーブル駅から列車に乗った」と 供述しているくだりがあるが、この「セーブル駅」はガルシュとはサン・クルー公園をはさんだ反対側にある「セーブル・ヴィル・ダブレー駅」のことではない かと思われる。この駅はサン・クルーで分岐する路線上にあり、ガルシュ駅ほど顔見知りはいないのでアリバイ主張には好都合だったと思われる。

  なお、「ラ・ビコック荘」の殺人事件について、ベルサイユから予審判事が来ることになっていたが取り消しとなり、「セーヌ県」の検事局で予審が行われるこ とになったという記述がある。セーヌ県というのはパリとその周辺地域を統括する地方自治体で、1968年に四分割されるまで存在していたもの。確かにこの 辺りは地理的にベルサイユからも近いのだが、ルパンも関わると予想される重大事件ということでセーヌ県検事局で扱うことになったのかもしれない。


☆戦間期の世相

 先述のように『特捜班ビクトール』は本来1922年ごろの話のはずだが、そこに描かれているパリの模様は第一次大戦終結からしばらく経ち、なおかつ迫りくる第二次大戦にまだ気づいていない1930年代初頭のものと考える方がしっくりくると思われる。

 ヒロインのアレグザンドラ=バジレーエフは30歳のロシア亡命貴族。その家族は「非常委員会(チェカ)」に虐殺された設定になっている。「チェカ」とは、ロシア革命で社会主義政権を打ち立てたレーニンら「ボリシェヴィキ」が、革命直後の内戦期に「反革命勢力」を徹底的に弾圧するために組織した秘密警察で、貴族や地主、聖職者ほか「反革命」の疑いをかけた者を証拠もろくにないまま逮捕・処刑してまわった悪名高い組織だ。この組織はその後のKGBへとつながって行く。
  そんな中でアレグザンドラはとうに死んだものとみなされて命を拾い、パリに亡命して家族が移してあった莫大な財産を気ままに使いながらホテル住まいで優雅 な生活を送っている。こうしたロシア亡命貴族はパリに少なからずいたようだが、優雅だが退屈な人生に刺激を求めて「ルパン一味」に加わってしまうという設 定は、ロシア革命が一段落した時期だからこそ書けたのかもしれない。ルパンは出てこないルブランの長編小説『真夜中から七時まで』でもパリにおけるロシア亡命者たちの生態が描かれているので、その雑談も参照されたい。


 第一次大戦の記憶も少し遠くなっているかな、と思える記述が他にもある。ドートレーの乗ったタクシーが「傷だらけででこぼこのぽんこつクーペで、マルヌ川の勝利に協力したのではないかと思うような年代物」と表現されているのだ。
 「マルヌ川の勝利」とは、第一次大戦の初期に戦われたいわゆる「マルヌ会戦」(1914年9月)のことで、ベルギー領を突破してフランスへ侵攻、一気にパリ占領を目指したドイツ軍を、フランス軍が反撃して打ち破り、ドイツ側の短期決戦構想を挫折させた戦いだ(詳しくは『オルヌカン城の謎』の雑談参照)。 この戦いに際してパリ防衛のためにパリじゅうのタクシーがかき集められて戦場へ兵士・物資の輸送を行って勝利に貢献し、フランス国民の団結の象徴となった ことでも有名なのだが、その栄光のタクシーも「年代物のぽんこつ」扱いで出てくるのだから、やっぱりルブランは1930年代の気分で書いちゃってるんだと 思う。右の写真がマルヌ会戦に貢献したタクシーの一台として保存展示してあるものだ(Wikipediaより拝借)

 主人公ビクトール刑事が所属しているのは「司法警察(police judiciaire)」。これは『813』の雑談でも触れているが、本来はパリ警視庁内において検事局を補佐するために捜査を行う“特捜班”的存在であった「シュールテ」(ややこしいことに「国家警察部」とは別物)が1913年に改組されて「司法警察」と名を改めたものだ。だから管轄はパリ周辺のみだと思われる。
 「特捜班」と訳される原題の「brigade mondaine」だが、直訳すると「世間チーム」みたいになってしまう言葉で、そのせいか南洋一郎は「まえがき」の中で原題を「平凡な刑事ビクトール」と紹介している(それでいて本文中では「特捜隊」という言葉を使っている)。 しかし仏語辞書を引いてみると「mondaine」は「世間、社会、社交」を意味する言葉で「警察」とくっついて「Policier mondaine」で「風紀警察」の意味となり、麻薬取締班など特殊チームを意味する言葉になるという。本文を読む限りではビクトールが特別捜査班に所属 しているようにはあまり見えないのだが、国防債券およびルパンを追うために特別班が組まれていた、ということなんだろうか。

 物語の冒頭、ビクトールは尾行に失敗した腹いせに映画館「シネ・バルタザール」に入り、評判ではあるが荒唐無稽な筋書きの「刑事ものの映画(探偵ものの映画)」を見ている。本文中からは断定できないのだが、これは1930年代初頭当時に流行し始めていたトーキー映画(発声映画)なのではないかと感じられる。無声映画では字幕で筋やセリフを説明していたのだが(フランスでは日本のような「活弁士」はいなかった)、なんとなくこの「探偵ものの映画」は字幕説明ではないような感じがあるのだ。
 そう思える根拠のひとつに、『特捜班ビクトール』発表の前年の1932年、ハリウッド製のトーキー活劇映画「アルセーヌ・ルパン」(ジョン=バリモア主演)が 公開されているという事実が挙げられる。戯曲『アルセーヌ・ルパン』を下敷きにしたこの映画はかなり評判になったようだし、恐らくルブランも鑑賞している だろう。ビクトールが見た「評判ではあるが荒唐無稽な筋の探偵もの映画」って、ちょうど公開直後だったルパン映画を原作者自身があてこすっているのではな かろうか、とちょっと楽しい想像をしちゃうのだ。
 このジョン=バリモア主演の「アルセーヌ・ルパン」はヒット作ではあったようで、1938年に続編的存在の「アルセーヌ・ルパンの帰還」(“Arsène Lupin Returns”、メルヴィン=ダグラス主演)が公開されている。この「帰還」は死んだと見せかけて引退し、泥棒から足を洗って穏やかに暮らしていたルパンが、「復活」して暗躍する偽物ルパンを相手に…という筋書きになっており、『特捜班ビクトール』(英訳題は“Return of Arsene Lupin”)を意識したのではないかと指摘されている。『虎の牙』雑談でも書いたことだが、アルフレッド=ヒッチコック監督の「泥棒成金」も、かつて有名な宝石泥棒だったが対ドイツのレジスタンスで活躍、今は足を洗って引退した男が、自分とそっくりな手口の宝石泥棒の跳梁に挑むというよく似たストーリー、かつルパンを彷彿とさせる主人公となっている。


☆アリバイ崩しと希少切手と

  この小説はミステリ的に見ると、国防債券が次々と人手を渡り、あげくに殺人事件が発生、その容疑者に完璧なアリバイがあり…という、「アリバイ崩し」が主 眼となっている。結論から言うと証言者の「勘違い」であるわけだが、よく読めば手がかりは読者にさりげなく渡されており、多数登場する人物たちの複雑な人 間関係から真相を解き明かすという、心理小説出身のルブランらしいミステリ趣向になっている。内容的にはかなり「大人」な趣向となっており、偶然の事故か ら始まった関係がしっかり「縁結び」になってしまうという皮肉なオチは、多少の偏見と自覚して書かせてもらうといかにもフランスチック(笑)。
  ただ料理の仕方がうまいとは正直言いかねる出来で、読んでいても謎解きの快感はあまりない。とくに「偽ルパンの仮面を剥ぐ」というもう一つの要素との絡み にいささか無理があり、読んでいてすっきりしないのだ。もしかするとルブランは本来ルパンものではない大人なムードの推理物を構想していたが、新聞・出版 側の要請で「ルパン復活」という要素を付け加えたためにこうなってしまったのではないかと僕は感じている。

 素晴らしいアイデアなのだが、あまりにさりげなく使われているので気に留める読者も少ないかもしれない、と思えるトリックがある。偽ルパンが狙う「一千万フランのALB書類」の正体だ。一千万フランという莫大な財産がどこにどうやって隠されているのか、が謎になっていて、ブレサックは「ALB」を「アルバニア」と解釈して失敗する。だがルパンは「ALB」とは「アルバム」の略であり、そこに「市価一千万の珍しい切手のコレクション」として一千万フランが隠されているということを看破する。そして国防債券の方は国家に返還しつつ、こちらの切手コレクションの方は久々の仕事の報酬としてちゃっかりいただいてしまうのである。
  映画に詳しい方は、「莫大な財産を希少切手に変えて隠していた」というトリックに思い当る方もいるだろう。あちらもミステリなのでそのタイトルは伏せる が、かなり有名な女優が出演した代表的サスペンスなので、ちょっと調べればすぐわかる。ここで気になるのはこのトリックを最初に思いついたのがルブランな のかどうかという問題だ。これはミステリ史を詳細に調べてみないといけないので断言は控えるが、本作でのこのアイデアは、うまく使えばそれだけで傑作ミス テリが一つでき上がるほどのものだっただけに、使われ方が少々残念でもある。

  ところで今なお世界的にマニアが存在する「切手収集趣味」だが、19世紀半ばにイギリスで世界最初の切手が発行された直後から「収集趣味」が早くも発生し ていたらしい。特にルパンの時代、20世紀初頭が切手収集熱のピークだったとの意見もあるようで、物凄い高値のつく切手が実際に登場してきたからこそ、こ のトリックが思いつかれたのだろう。
 なお、ルパンご自身も切手の題材に選ばれたことがある(右写真。1996年フランス発行のもの)


☆いろんな『ビクトール』

 ルパンシリーズでは末期に属し、知名度も決して高くない『特捜班ビクトール』だが、意外に多メディア展開されている。

 永井豪・安田達矢とダイナミックプロによる『劇画怪盗ルパン』(1984)では最終の第10巻が「ルパン再現」だ。 この劇画版は保篠龍緒版を「原作」としているので「ルパン再現」とくれば『特捜班ビクトール』のこと。ところが「再現」という邦題を生かそうとでも思った のか、なんと冒頭でルパンがアフリカの奥地で部下の裏切りにより死亡、その後パリで死んだはずのルパンにより裏切った部下たちが怪死を遂げて行く…とい う、なんともビックリはお話になっている。宿敵のガニマール警部も登場していて、その部下に新米青年刑事のビクトル(これがいかにもギャグ系の永井キャラ!)が出てくるので、一応「特捜班ビクトール」を下敷きにしたらしいとは分かるのだが、ストーリーは完全なオリジナルだ。「エコー・ド・フランス」紙の美人記者・パトリシアなんてキャラまで登場するが、これは明らかに「ルパンの大財産」からの借用だ。

 本国フランスにはバンド・デ・シネと呼ばれるフランス版コミックがあり、主に児童向けにルパンやホームズ、ルールタビーユなどのコミックシリーズが出ている。ルパンものは現時点で6作が発売されているが(詳しくは「漫画に見る怪盗ルパン」参照)、その第6作目が『特捜班ビクトール』(1994)だ。このシリーズ、それ以前の5巻までは漫画家ジャック=ジュロンが担当しているのだが、5冊目の上梓後に急逝、「ビクトール」はエルウィン=ドレゼという人が漫画を担当している(シナリオは前5冊と同じ人)。それまでのものと比べるとかなりコミカルな雰囲気に変わった。
  このフランスコミック版は5冊までは偕成社から日本語版が発売されているのだが、少し遅れて出た「ビクトール」は日本語版が出ていない。最近僕はフラン ス・アマゾンで直接注文して原書を入手、ようやく読むことができた。もちろん全編フランス語なのだが、そこは漫画なのでなんとなくわかるというもの。読ん でみたところ大筋で原作通りなのだが、ラスト数ページ分、ブレサックが逮捕されてからオリジナルストーリーが追加されていて、いったん姿をくらましたビク トールが国防債券を引き渡すためになぜかエドゥアン主任警部を呼び出し、クラ イマックスが彼との対決という形に変更されている。またドートレー男爵のくだりも児童向けということもあってか深入りせずに簡単に済ましているように見え る。本物ではなく偽物のルパンの方が「モノクル」をかけて登場しているのは、やはりルパン=モノクルというイメージは定着しているということか。

 児童向けと言えば、南洋一郎のポプラ社版では『ルパンの大冒険』という何のひねりもないタイトルで「ビクトール」がリライトされている。
 『大冒険』ではビクトールはなぜか「年は若いがすごく冴えている刑事」になっていて、年代的なことは一切無視されている。ドートレー男爵夫妻の部分はおおむね残しつつ、かなりぼかした書き方であり、あの皮肉なラストもカットされた。国防債券だけでなく一千万フランのほうも孤児院に寄付してしまうのはお約束といったところ。

 続いてTVドラマ版について。1971年のジョルジュ=デクリエール主演のドラマシリーズでは、いきなり第2話が『特捜班ビクトール』となっている。
  冒頭でアラン=ドロンを思わせる美男子の「ルパン」が派手な銃撃戦で登場、これに対しアフリカ帰りの変人中年オジサン刑事のビクトールがフランスに召喚さ れて彼と対決、というストーリー。視聴者がすでにラストのドンデン返しを知ってる前提で作っているのが明らかで、デクリエール扮する「ビクトール」のコミ カルな演技が見どころだ。ビクトールが泥棒テクニックを生かし、ロシア女性のナターシャに接近しルパン一味にもぐりこむ展開はかなり原作に近い。だが宿敵 のゲルシャール(ドラマ版におけるガニマール)や警視総監が登場、オリジナルのコメディシーンたっぷりの内容となっている。原作のアレグザンドラにあたるナターシャはこれ一作では終わらず、続く「ルパン対ホームズ」「ルパン逮捕される」にも登場する短期レギュラーキャラクターとなった。

 最後に小ネタを。
 2004年春にとある日本の家電メーカーが「快録LUPIN(カイロクルパン)」というネーミングの家庭用録画機シリーズを発売したことがある(左図がそのロゴ。VHS、DVD、HDD複合でいろいろあった)。イメージキャラクターの菊川怜がシルクハットにマントの、いわゆる「ルパンファッション」をしていたっけ(そういえばモノクルはしてなかったかな)。「快録LUPIN」のネーミングについては、「聞き覚えがあり、親しみやすく、一度聞けば頭に残るネーミング」をコンセプトに、怪盗ルパンにちなんだと発表されている。また「単なる泥棒ではなく、「盗みの美学」のこだわりを持つ彼にちなみ、「盗る」→「録る」をもじってつけられた」のだそうで。その翌年にルパン百周年記念映画「ルパン」の公開があり、その時もちょっとタイアップして宣伝をしていた覚えがあるので、もともとルパン百周年を意識したものであったかもしれない。もしかして社内にルパンマニアがいたとか(笑)。
 で、なんでここにその話をするかといえば…、そう、発売したのはズバリ「日本ビクター(Victor)」なのだ(笑)。まぁ単なる偶然なんだろうけど、ビクトールにまでひっかけるオチがあったとすれば凄い話である。


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