生徒とともに

「人に教えたらええ勉強になるよ」っていう言葉をよく聞く。普遍的な意味で確かにそうだ。自分のやってきたことの確認作業にもなる。ところが、私の場合はそれに輪をかけて「ええ勉強させてもろてます」と言いたい。本業のクラシック以外を教えることが多いから、にわか勉強であっても、まず自分が練習しておく必要に迫られている。フォークのコードストロークとスリー・フィンガーはまあ、フォーク世代の私としては、昔取った杵柄っていう感じ。CDと楽譜さえあれば流行りの歌でも楽ちん。


生徒がやりたいことにつれて
かじった音楽のあれこれと苦労話

【タブ譜】線が6本あるので、5線譜とよく間違って読みにくかった。一番初めはタブ譜を五線譜に書き直して弾いていた。

【変則チューニング】岡崎倫典の本で練習。タブ譜が読めるようになっていたので、なんとかこなせた。

【ブルース】「いちばんやさしいブルースギター」とかいう本を買ってきて、まあ弾くことはできたが、音があまりにもきれいすぎる。押さえ方やピックの角度などを研究してそれらしい音は出たが、コードやスケールがわかったところで使い物にならない。せいぜいクラプトンのアンプラグドの楽譜を弾く程度。ジョン・レンボーンのビデオ教則本も練習した。ロバート・ジョンソンのCDも聞いたなあ。日本人の歌にもブルースの影響が見られる歌を区別できるようになったのが最大の効果か・・・。

【ラグタイム】スコット・ジョップリンの「The Entertainer」はあまりにも有名。生徒があまりのめり込まなかったのが幸い。(汗)

【ピックでアルペジオを弾く】これが一番冷や汗かいた・・・。フィンガリングはお手のものなんだけど・・・。

【ジャンゴ・ラインハルト】極めつけ!!ここまで来るとは想像もしてなかった。ある日生徒が「これ、教えて!!」と嬉しそうに持ってきた本が、「ジャンゴ・ラインハルト」。雑学というのか、名前は知っていたし、難しいというのも知っていたから、「ちょっと待ってな〜〜〜!」と半年くらい先に練習した。おかげでピック奏法がたいぶマシになってきたぞ。生徒と二人で2重奏して記念に録音した。ノロノロした演奏だが、これで最大の努力。この時セカンドギターの弾くコードがかなり特殊だったので、必死で探った。で、どうもジャズを知らんとアカンみたいやなあって言いながら・・・

とうとう【ジャズ】へ突入。しかし、ジャンゴのコードとはほど遠い。本を読んだりしながら、特殊なことがわかる。そのままジャズコードを探るべく、ぼちぼちとジャズの世界へ。最終的に、ジャズはやっぱりジャズの先生に習うのが一番いい。アドリブなんて私には無理だわ。しかし、スケールとかコード理論とかクラシックで培った練習が応用できることがあるので、それも必要な練習だとわかる。ジャズはさらに奥深い。

クラシックを教えるのが一番楽だ。私の歴史があるからね。

しかーし!面白いことがあった。カルリの二重奏「ラルゴとロンド」を練習した時のこと。この曲は何年も前に一度弾いていて今回2度目。セカンドにある複雑なアルペジオに前はてこずっていたが、今回譜を見直してみると、ただのディミニッシュコードのアルペジオだったのだ。すんなり弾けるようになる。これは間違いなくジャズを練習したおかげだ!!!



2003.3.1.