ベースボールと野球道

玉木正之/ロバート・ホワイティング

講談社現代新書 1991.05.20第1刷発行 \600(当時)


 R.ホワイティングと玉木正之のコンビが放つ日米野球比較もの。
 「和をもって日本となす」をもっとわかりやすい形で、項目別にまとめたと言えばイメージが湧くでしょうか?406項目の「野球」と「ベースボール」の違いを並べていったという本です。
 現在は野茂を代表として日本人のメジャーリーガーが誕生していますが、この本が出版された頃はかのB.ホーナーの「地球の裏側に別の野球があった」という歴史的な(^^;)言葉に代表されるように、多くの人の心の中には日本とアメリカでは野球の質が違うんじゃないかという気持ちがあったはず。
 まぁ、おそらくは誤解の部分もあるんだろうし、国民性の違いなんかも厳然としてあったんでしょうね。当時はいまほど、大リーグの試合を観る機会はなかったですしね。
 で、そんなこんなを2人の著者たちが出し合ってできたのが、この本というわけです。
 日米の違いが400項目以上ということですが、中には日米の野球用語の違いという反則ワザみたいな項目がいくつかあったりするんですよ。(笑)<日本では和製英語が幅を効かせているという言い方ももちろんできるんですが・・・。
 無理矢理こじつけたような部分もあったり、アメリカ映画によく見られるような間違った日本観もいくつか目についたりと、日米の著者で出し合った割にはアメリカ寄りの視点が気にはなるんですが、ある意味、メジャーリーグの手引きとして読むと結構役にたつと思います。本当の野球「英語」の勉強にもなりますし。
 さて、当時と現在では、日本の野球、アメリカのベースボールを取り巻く環境もだいぶ変わってきました。メジャーリーグの球団が日本の高校生を獲得するような時代だもんなぁ。いま、同じような趣旨で違いを並べるとどれくらいになるでしょうね?興味深いところです。<日本の野球道はあんまり進歩がないような感じですけどねぇ。(^^;
 もうひとつ、この本が最初に出版されたときから7年の歳月を感じさせるのが、野茂の写真が載っているページの横についている説明。もちろん、近鉄のユニフォームを着て投げている写真なのですが、その横には「野茂のトルネード投法は、日本のプロ野球では珍しいメジャーリーグ・レベルの個性あふれるピッチングである」。
 たしかに野茂はプロ野球の中でも1,2を争う投手でしたし、ここの説明はアメリカの方が「個性を尊重するんだよ」と言いたかったのかもしれませんが、当時、まさか本当にメジャーリーグで大活躍するなんて思ってもみなかったでしょう。
 7年後のいま読んでみると、また違った面白さがあるかもしれません。


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