ドラフト制度に文句があるか

蕪木 和夫

風塵社 1994.11.15 発行 \1500


 かつては(^^;)プロ野球の一大イベントだったドラフト。
 この本は、ちょうどドラフトの逆指名と、FA制が制度化された年に出されたものです。この2つの制度改正には、何か釈然としないものを感じていただけに、本屋で題名を見た瞬間に買ってしまった・・・。
 いまの逆指名は制度として非常に中途半端であることから批判されることも多いのですが、結局以前の制度(くじ引き)に対する一部の球団の不満から導入された方式です。そして、そのドラフト批判も、決して論理的なものとは思えなかっただけに、この本「ドラフト制度に文句があるか」は、まさに私の当時の心境を代弁した題名だったわけです。

 この本はまずプロ野球の歴史の中での巨人が引き起こした事件について書かれています。上記の一部の球団というのは、まぁ巨人が中心であることは、誰も否定はしないでしょうし、おそらく本の題名も、そのような巨人、そしてそれを取り巻く人々に対して発したい言葉から決められたものなのでしょう。
 そして、そういう背景にたった上で、この本を読み進めていくと、ちょっと目から鱗なことが書かれています。巨人はドラフト制度の導入によって弱くなったというイメージが、実は誤りだったこと。つまり巨人でさえドラフトでいい選手をたくさん獲っている、ドラフトの恩恵を受けていたという事実・・・。
 巨人は、素材のいい高校生をドラフトで獲り、確実に育ててきていました。確かにその観点から見れば、いまの逆指名ドラフトだと、逆に巨人は自分で自分のクビを締めているような感があります。

 半分以上のページは、第1回から第29回(平成5年、最初の逆指名ドラフト)のドラフト指名選手の表で占められています。資料的には、非常に重宝しています。各選手のプロでの成績、それによるランクがつけられており、そのポイントで、果たしてどのチームがドラフトで成功しているかの順位付けをしています。いま計算すると、確実に順位は入れ替わっていそうですが、そういう目でドラフト制度を冷静に見なおしてみるのも、おもしろい発想だと思います。
 いくつかの年のドラフトについては、コメントがついているのですが、できうることなら、全ての年のドラフトについてのコメントが欲しかったところですね。

 書かれていること全てが正しいとは思えないところもあるのですが、ちょっと視点を変えて見てみると、思い込んでいたイメージとは、ちょっと違う面もあるなぁ、1つの見方で全てを判断しちゃいかんなぁ・・といったことを教えられた1冊でした。


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