最後の夏一九七三年 巨人・阪神戦放浪記

山際淳司

マガジンハウス 1995.07.20第1刷発行 \1400


 故・山際淳司氏の遺作であります。
 副題でわかるように、シーズン最終試合で巨人のV9が決まった1973年の阪神−巨人の闘いぶりをいろいろな角度からとらえたノンフィクションです。山際節が相変わらず冴えています。(^^)
 この年は個人的には非常に思い入れがあって、なんと言っても本格的にタイガースふぁんになった年と言っても過言ではないでしょう。それまでは、あまり野球という競技自体、興味がありませんでした。
 決定的にタイガースを応援するようになったのが、この年の8月30日の甲子園の試合。江夏の延長11回ノーヒットノーラン&自らのサヨナラ本塁打という劇的な試合を見てからなのです。もちろん、この試合のこともこの本には書かれています。
 ただ、当時は野球自体をまだよくわかっていなかったので、江夏や田淵に憧れていたり、なんか優勝争いをしているんだなぁくらいにしか思っていなくて、ペナントの流れ自体よくわかってませんでしたね。<いま思い起こせば、優勝争い云々よりも三振奪取とかホームランとか重視でしたね。タイガースふぁんの資格充分や。(笑)
 ただ、ポイントになる試合はよく覚えていて、この本に出てくる池田が転けてしまった試合とか、10月に入ってからの巨人との10対10の試合とか、129試合目の中日との試合とか、最後の試合とか・・・よく覚えています。
 そういう試合を含めたこのシーズンの追体験という意味で、また当時は全く知らなかったタイガース内部の人間関係(^^;)とか、グイグイ読んでしまいました。
 もちろんタイガースふぁん以外の方でも、当時を知らない人でも、おもしろく読めると思いますよ。
 私が「なるほどぉ〜」と思ったのは、巨人の「管理野球」の正体。これは目から鱗でした。川上監督の作戦参謀だった故・牧野コーチを見る目が変わってしまいました。一度読んでみて下さい。(^^;;
 さてさて、この本の題名の「最後の夏」なんですが、この「最後」って意味がよくわかんないんですよ。何が最後なのか・・・。
 と思ったら、原題は「流転の夏」だったみたいです。これだと意味はわかるんですよね。このシーズンの巨人と阪神の迷走ぶりは「流転」と呼ぶには相応しいですから。
 おそらく、出版社の方で、山際氏の最後の作品だからということで「最後の夏」にしたんじゃないかなぁと邪推しているんですが・・・。絶対「流転の夏」の方がセンスいいですよ。文庫本化するようなことがあったら、是非元に戻して下さい、マガジンハウス様。。。(笑)


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