パソコンが野球を変える!

片山宗臣

講談社現代新書 2000.4.20 第1刷発行 \660(税別)


 いまや、すっかり有名になってしまった「アソボウズ」の成り立ちから、その内容についてを、詳しく紹介した本です。って、はっきり言って、「アソボウズの宣伝本」の一言で終わってしまうかも。(^^;

 昔から、自分たちの野球の試合にはスコアをつけていましたし、最近になってプロ野球観戦でもスコアをつけているのですが、確かに「パソコンでスコアつけられたら、面白いだろうなぁ」という発想はありましたね。で、それを実際にシステムとして組み上げて、商売にしてしまったのが、アソボウズというわけです。

 よくアソボウズのシステムで、目に触れるのは、スコア解析のチャートです。これは雑誌でも見かけますし、インターネットでも見ることができます。この本で初めて知ったのは、このスコア解析以外にもビデオによる動作解析のシステムもあったということです。
 これにスコア解析を組み合わせることで、絶大な威力を発揮するわけです。

 個人的に、パソコンを使おうが、使うまいが、相手のデータを分析して試合に活かす野球は、推理力を刺激して好きなんですよ。要はデータがあっても、それをいかに分析し、実戦で使っていけるかを想像するのが楽しいわけで、そこに至る過程にパソコンが使えるなら、どんどん使っていけばいいと思うわけです。
 だけど、読んでいて、こりゃやり過ぎだろうと思ったエピソードが1つありました。
 動作解析でサインを出すコーチのブロックサインを解析、そこにスコア解析を組み合わせると、あっという間にサイン解読が可能になるという話です。異論はあるでしょうが、サイン解読ってのもプロ野球であれば有りだと思います。思いますが、これはあまりにも安直ですね。確かに、このシステムを使えば、それは簡単にできるのは想像できますし、こんなこともできますよ、と言うのは構わないのですが、あまりにも簡単にこのような情報を得ることには懐疑的だし、使って欲しくはないというのが、個人的意見です。極端な話、素人でもシステムを揃えさえすれば、サイン解読ができるということです(現にアソボウズは野球に関しては素人集団です)し、それは明らかにおかしな話です。

 どうしても、こういう解析は、相手の傾向、弱点等を見つけることに主眼が置かれがちになると思うのですが、逆に自チームに対して、データや動作解析を利用することで、レベルアップする方向に持っていくのにも有用ですね。
 まだまだ、コンピュータを十分に活用できているチームも少ないようです。アソボウズのシステムは、確かに素晴らしいと思いますが、それに留まることなく、各チームが独自システムを確立していくと、さらに野球が面白くなってくるんじゃないでしょうか。


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