野村ノートの読み方

角盈男

カッパ・ブックス 2000.5.30 初版1刷発行 \819(税別)


 野村監督がタイガース監督に就任して、「野村の考え」なる教本を執筆して、タイガースの選手に配布しました。門外不出、マル秘資料として、外部に洩らさないということになったのですが、果たしてどんなことが書いてあるのか、非常に興味津々でした。

 この本は、角氏がスワローズのコーチ時代に野村監督の「授業」をノートに取ったものを項目別に書き起こし、解説を加えたものです。野村の教えの部分については、明らかに板書したものを、そのまま書いただけだなぁという感じ。(笑)
 しかも、技術論は全くなくて、ほとんどが精神面や野球への取り組み方に関する項目だけですね。まぁ、洩れ伝え聞く野村監督の講義内容は、そういうことがメインのようですから、基本的にはタイガースでも、同じことを話しているんでしょう。

 この本にも書かれているのですが、タイガースに来て教本を作ったことは、野村監督にとって失敗だったかもしれないなぁと感じました。確かに、今回は「時間がない」という制約があり、より効率的に教えるためには、教本を作らざるを得なかったのでしょうし、タイガースに来て、これまでと違う色を出したかったという意味合いもあったのでしょうが、やはり「書く」という行為は、「読む」「聞く」ことよりも、知らず知らずのうちに潜在意識の中に刷り込まれていくはずです。
 よく、スワローズの選手は、自分で書きこんだノートを何冊も持っていて、それを何度も見返しているということを言っているのを聞くことがあるのですが、果たしてタイガースの選手の頭にどれだけ「野村の考え」が刷り込まれているのでしょうか。結果から言うのではなく、過程から考えても、かなり怪しいような気がしてきました。(^^;

 野村監督の講義内容自体は、特に特別なことを言っているわけでなく、極々当たり前のこと、基本を教えているということがわかります。ただ、それを改めて言うこと、意識させることが重要で、きちんと言葉にして説明し理解させるということに意味があるんでしょうね。


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