球心蔵

阿久悠

河出書房新社 1997.12.15初版発行 \1800


 忠臣蔵とプロ野球をごっちゃ煮にした作品。(^^;スポニチに連載されていた小説の単行本化です。
 主役は阪神タイガース。球団名と何故か外国人選手はそのまんま実在のネーミングを使っていますが、日本人は全部架空の名前で登場しています。ま、名前が架空なだけで読者は頭の中では実在の人物を思い浮かべることでしょう。(笑)
 最下位の決まったタイガースが100敗をかけてシーズン最終戦を巨人と闘うところから話が始まるのですが、最後、タイガースの監督村雨烈(村山実だ!)が巨人の監督長与太陽(長嶋ぁぁ・・・)をなぐったから、さぁ大変。タイガースをつぶせとマスコミが大騒ぎします。<本当にマスコミがしそうなことだから笑える。
 そう、村雨が浅野内匠頭で、長与が吉良上野介って設定です。で、大石内蔵助は誰かっていうと、岡安良雄(どうやら岡田がモデルです)。で、そこからタイガースが再生して翌年優勝する・・・と簡単に書いてしまえば、そんなお話です。
 まぁ、実際の野球はそんなに簡単にいかんだろうと思ってしまいますが、奇想天外で結構楽しく読めるお話でした。
 登場人物の中でつい応援してしまうのが、架空の人物である沢野勘平。不祥事で追放処分になっていたのですが、タイガースに復帰するためにトレーニングを欠かさないという人物です。実はこれも震災のときに助けた女の人のためにやっていることなのですが・・・。
 タイガースのスターである新治剛(新庄やね)と同期のライバルで、春のキャンプにテスト生として参加したときは、思わず頑張ってほしいと思ってしまいました。でも、その結果は・・・。ま、それは読んでみて下さい。
 この本を読みながら、つくづく思ったのですが、現実世界のタイガースの巨人戦で伝説とは言わないまでも劇的な試合をしないとチームの成績も上がらないんじゃないかなぁと感じました。この小説では、4月17日を記念日(もはや伝説と化してしまった3連発の試合のあった日)と称していましたが、本当にそんな感じですよね。
 思い起こせば、1985の優勝は記念日の試合でしたし、1992に優勝争いをしたときのターニングポイントになった試合は開幕直後の亀山のヘッドスライディングだったと思います。どっちも巨人戦なんですよ、実際のところ。
 ということは、タイガースの浮沈は開幕最初の巨人戦に全てかかっていると言っても過言ではありません。1998トラ年は4月17日こそ試合が予定されていませんが、18、19日と東京ドームで2連戦が予定されています。注目ですね。結果は果たしていかに・・・??


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