シューレス・ジョー

W・P・キンセラ/永井淳訳

文春文庫 1989.11.10 第1刷発行 \520


 映画「フィールド・オブ・ドリームス」の原作です。
 私は映画を見てからこの原作を読んだのですが、映画通りの部分とちょっとイメージ違うかなという部分がありました。ま、当然のことではありますが。
 基本的に映画は、この原作にほぼ忠実に映像化しているのですが、この原作の方がファンタジックな感じがしますね。
 もちろん、映像で見るのと、文字を読むのとは、その時点で大きく違うのですが、原作を読むと映画では感じることのできなかった部分まで想像が働くものです。
 まず、イメージ的に違うと感じた大きなところは、そのメインステージとなるべき、あの野球場の描写です。
 映画では、1人であんな立派な球場を作れるんかいな?と思うくらい見た目も素晴らしいグランドだったのですが、原作はまぁそれなり・・・のグランドのようです。
 グランドの見栄えは違うけど、そこにこめられた人々の思いは変わりません。原作版のあの球場も非常に好きですね。ホントにあれば是非見に行きたいものです。
 小説の映画化では、時間的な問題もあり、部分的に省略される部分もあるので、映画だけしか見ていない人は是非、この原作を読むことをお勧めします。
 もちろん、映画見てないという人にもお勧めですね。(^^;
 映画にも小説にも出てきた人物で、ムーンライト・グラハムって人、凄く好きなんですよね。
 元大リーグの選手なのですが、ただ1イニング守備固めで出場した記録しかない選手で、引退後、医者として名を残します。その街では赤ひげ先生みたいな人でみんなから慕われているんです。
 で、実はこの先生は数年前に死んでしまっているのですが、天の声(?)に導かれてムーンライト・グラハムを探す主人公の前に現れて「打席に立ちたかった」という夢を語ったりします。
 そして若き日の姿で夢の球場で、シューレス・ジョーらと野球をするグラハム。それだけでもワクワクしますが、主人公の娘がベンチから落下して気を失ったときに、グランドから出て再び医者として対処する・・・。
 なんかいいですね。人となりが感じられるエピソードです。
 原作にしか出てこないキャラクターとしては、主人公に土地を打ったエディという老人もいいですね。
 かつてシカゴ・カブスでプレーしたという昔話が好きな人なのですが、実はこの話は嘘だったようです。
 でも、本当に野球が好きなんだなぁと思わせる人物でした。夢の球場でも、自らの目の前できっちり登板して、夢を果たします。
 最後、エディは突然死んでいたのですが、かねてから語っていたように、カブスのユニフォームを着て亡くなっていました。
 これ以外にも野球好きな人たちが、野球に対する想いをいろいろと語っています。そして動いています。
 野球が好きな人には是非読んでほしい1冊ですね。


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