ミスター・ルーキー

MR.ROOKIE

2002 『ミスター・ルーキー』製作委員会 監督/井坂聡



 タイガースを舞台にした映画ということで、タイガースファンの間でも賛否両論巻き起こしつつ、実在のタイガースの躍進にも支えられ盛り上がりましたね。

 公開初日に観に行ってきました。関西ではかなり観客も盛り上がったということなのですが、私が行ったのは都内とは言え郊外の映画館。さすがに観客は少なかったです。ざっと20人くらいだったでしょうか。じっくり鑑賞できて良かったですが・・・。
 チケット窓口でもらったフィールドオブナインのミスター・ルーキーのカード(←)も、後から聞くと限定品だったようで、空いてたからかなと、ちょっと得した気分です。フィールドオブナイン、やったことはないのですが、このカードもちゃんとゲームで使用できる代物です。

 タイガースファンということを抜きにして、素直に面白かったですね。日本の野球映画としては、もう文句なしでしょう。もちろん、いろいろと粗はあると思うし、話の展開ももう少しどうにかできそうなところはありましたが、「野球のシーンが本物」という一点だけ取っても評価できると思います。
 設定はリアリティないけど、それを本物の野球シーンが力づくでねじ伏せているといった感じでしょうか。

 甲子園の存在感も、この映画の魅力たりえています。映画の最初と最後に空撮で闇に浮かび上がる甲子園は、それだけでも感動もの。大原幸嗣(長嶋一茂)が、タイガースのテストを受けるためにグラウンドに入るシーン、大原の目線で甲子園のグラウンドが広がっていく映像は、本当にゾクゾクしました。

 賛否両論あったのは、主演の長嶋一茂起用でしたが、個人的には全く問題なしです。むしろ、一茂が出てくれたことで、本当の野球映画足りえたわけですから。いくら野球の技術を持った役者がいたとしても、「プロの体つき」はやはり違います。そういう意味で、一茂をはじめとして、駒田徳広や嶋尾康史といった元プロ野球選手をメインに起用したことは、この映画のポイントでしょうね。
 ただ、個人的にはバースを現役で出したのはどうかなという感じです。大原がまだ後ろ向きに感じる物語前半ならまだしも、過去を振り返るのはこの映画の主旨、特にあの試合展開の中では、ちょっと浮いていたような気がします。それに、タイガース映画としてタイガースファンへのサービスと割り切るなら、それも考え方でしょうが、「野球映画」として評価する場合にはネックになりかねませんねぇ。

 でも、このバース登場の場面、DVDで見返したところ、あることに気づきました。バースがバッターボックスに入ってから打つまで、まさに生で球場で観ているが如く、球場音声のみで、一応ノーカット風(編集は当然してると思いますけど)に展開していくんですよね。バース登場にばかり目が奪われていましたが、こういうところにも「本物志向」があって、ちょっと嬉しくなってしまいました。

 ストーリーの方は、もうベタベタでラストも予想通りだったのですが、そこは予定調和ということで・・・。一度諦めた夢がまた手の届くところに戻ってきたとき、それでも現状の生活を壊す勇気はなく二足の草鞋を履くことになる主人公の大原。結局、どっちつかず(とはいえ、野球で結果は残すんですが)になって破錠していくわけですが、この辺りの大原の情けなさってのは、一茂のキャラクターそのものって感じでハマってます。
 また、内容が内容だけに、大原以外にも登場人物のキャラクターがデフォルメされていて、それぞれがいい味を出しています。で、それが違和感なく日常と同化しているのが、さすが大阪だなぁとも思いましたが。この話はタイガースや大阪が舞台じゃないと成り立たないでしょう。いや、マジであんな人もこんな人も大阪にはいそうですもん。

 唯一残念だったのは、タイガース以外のセ・リーグ5球団のうち、ジャイアンツだけが協力してくれなかったこと。他チームが優勝するような映画に協力はできんということらしいのですが、「ミスターベースボール」ならええんかぃ!って思いましたね。他のチームはちゃんと協力してくれただけに本当に残念です。
 まぁ、ガリバーズ=ジャイアンツと脳内補完すればいいだけかなとも思いますが。

 映画館で、映画が終わったとき、小学生の子供たちが口々に面白かったと言っていたのは、ちょっと嬉しかったですね。彼らがタイガースファンかどうかはわかりませんでしたが。

(2003.3.2記)


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