ボークでの進塁


【状況】
2001. 3.31 ジャイアンツ×タイガース 2回戦(東京ドーム)
 5回表、1点を追うタイガースの攻撃。1死後、上坂がセンター前ヒットで出塁します。次打者、今岡に対するメイを、上坂が自慢の足で牽制します。再三、気にして牽制球を投げるメイですが、上坂は完全にメイの癖を見切っていたのか、自信を持って盗塁のスタートを切りました。
 そのときメイが一塁へ牽制、形の上で飛び出してしまった上坂は、構わず2塁へ走ったので、一塁手の清原は2塁へ送球。その送球が悪送球になって、上坂は一気に3塁を落とし入れました。
 が、このとき、ニ塁塁審がメイのボークを宣告して、3塁に達していた上坂は2塁へ戻されてしまいました。

守備のミスで3塁まで進んだのに、どうして2塁に戻されてしまうのか?


【調べてみると】
 明らかに守備側のミスで余裕で3塁へ進塁できたのに、ミスがあったが故に2塁へ戻されてしまったというケースです。一瞬、審判の判断ミス?とも思ったのですが、ここがルールの面白いところで、正しい判断だったようです。

 おなじみ、公認野球規則8.05、ボークの項を調べてみました。

 まず、【付記一】を見てみましょう。
 投手がボークをして、しかも塁または本塁に悪送球した場合、塁上の走者はボークによって与えられる塁よりもさらに余分の塁へアウトを賭して進塁してもよい。

 投手がボークをしたとしても、それが悪送球になった場合は、ランナーはさらに進塁を試みてもいいということになります。
 この悪送球の定義は、さらに【注ニ】に書かれています。
 本項[付記一]の“悪送球”には、投手の悪送球だけではなく、投手からの送球を止め損じた野手のミスプレイも含まれる。走者が、投手の悪送球または野手のミスプレイによって余塁が奪えそうな状態となり、ボークによって与えられる塁を越えて余分に進もうとしたときには、ボークと関係なくプレイは続けられる。

 つまり、もしあの場面でメイが一塁に悪送球していたり、清原が後逸していたとしたら、上坂は3塁へ進んでもいいことになるのですが、清原がメイの送球を捕球した時点でボークが宣告されてプレイが止まることになるので、上坂は二塁に戻されることになります。
 また、仮にメイの牽制がボークでなかったとしたら、単純に清原からの送球がエラーということになり、3塁への進塁は認められることになっていたわけです。ジャイアンツ側からすれば、「ボークになって助かった」という珍しいケースでした。

 テレビで見ていて、ちょうど上坂が二塁に達した時点で、ニ塁の塁審がボークを宣告していましたね。ナイスアングルで非常にわかりやすかったです。
 また、上坂にしてみても、完璧にメイの癖はわかっていたんでしょうね。完全にホームへ投げるフォームだったから、2塁へ走ったようです。で、なければ、あのときのメイのボークも清原の送球も起こり得なかったでしょう。
 メイは完璧に走られたことで、かなり動揺していました。ボークで助かったにも関らず、よりピンチな感覚に捕らわれてしまったように感じました。

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