走塁妨害での進塁


【状況】
2002. 5.11 ジャイアンツ×タイガース 6回戦(東京ドーム)
 6回裏、1点を追うジャイアンツの攻撃。1死後、打撃妨害とショートエラーから2、3塁の一打同点のチャンスの場面で、川相がレフト前へヒットを打ちます。当然、3塁ランナーはホームインで同点になります。さらに逆転のランナー仁志が3塁を回ろうとしたところで、三塁手の片岡と接触し転倒しました。
 走塁妨害か?と思われ、事実、一塁ベンチからは原監督が抗議に出ますが、ホームインは認められませんでした。

実際に走塁妨害は取られたようですが、どうしてホームインは認められないのか?


【調べてみると】
 このプレイはちょうど3塁内野指定で見ていたので、打球、野手、そして走者の動きが非常によくわかりました。
 特にこのときの2塁走者の仁志は逆転のランナーでしたから、否応無しに注目していました。

 まず、川相の打球が三遊間を抜いたとき、レフトのホワイトがかなり前に出てきていたので、とりあえず二塁ランナーの生還は無理だとわかりました。実際にホワイトがダッシュで前進してきて打球を捕球したとき、仁志は3塁を回るか回らないかという位置でした。
 そして、そこで問題のプレイが起こったというわけです。

 確かに片岡と仁志は接触していましたから、走塁妨害であることには間違いありません。それでも、絶対にホームへは帰って来れないタイミングだっただけに、これでホームへの生還が認められたら、(逆転だっただけに)割りにあわんなぁと思いました。
 このときは単純に「走塁妨害が認められたらテイクワンベース」と思っていたので、逆に言うと、あのタイミングで走塁妨害を取るのかどうかを気にしていました。

 その後の動きで、どうやら得点は認められていないようだということと、原監督が「守備妨害ではないか」ということで抗議をしていることはわかりました。

 そして、実際の判定は上記のように「走塁妨害だが仁志は三塁ストップで試合再開」でした。

 守備妨害(オブストラクション)のルールを見てみましょう。

(7.06) オブストラクションが生じたときには、審判員は“オブストラクション”を宣告するか、またはそのシグナルをしなければならない。
(a) 走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われている場合、または打者走者が一塁に触れる前にその走塁を妨げられた場合には、ボールデッドとし、塁上の各走者はオブストラクションがなければ達しただろうと審判員が推定する塁まで、アウトのおそれなく進塁することが許される。
 走塁を妨げられた走者は、オブストラクション発生当時すでに占有していた塁よりも少なくとも一個先の進塁が許される。(以下略)
(b) 走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われていなかった場合には、すべてのプレイが終了するまでは試合は続けられる。審判員はプレイが終了したのを見届けた後に、はじめて“タイム”を宣告し必要とあれば、その判断で走塁妨害によってうけた走者の不利益を取り除くように適宜な処置をとる。


 結果から判断すると、走塁妨害があったとしても審判の判断で走者の処遇が決まるようです。ただし、(a)項と(b)項では、その結果は違うように思います。そのプレイが「走塁を妨げられた走者に対して行われたプレイか否か」が、ポイントです。
 ここで、よくわからないのが、今回のケースでの外野からの返球行為が、二塁走者に対して行われたプレイなのかどうかです。仮に(a)項が適用されるとして、仁志と片岡の接触が3塁を回ったところで行われていたとしたら、ホームインが認められると解釈できます。一方で(b)項が適用されるなら、今回のケースでは3塁ストップでも「走者の不利益」はないと判断できるので問題はないでしょう。

 そう考えると(b)項が適用されたと考えればいいのでしょうか。実際にこのプレイでは、ホワイトから藤本への中継プレイで一旦プレイが終了してますから、「仁志に対してのプレイ」ではなかったと解釈するのは可能です。(打者走者の二塁進塁を止めるという意味あいを持ったプレイです)

 こういうプレイは滅多に見ないと思っていたのですが、全く同じようなプレイが9.15の東京ドームでのジャイアンツ対タイガース戦で、今度は攻守を逆にして起こりました。9回表1点ビハインドの場面のタイガースの攻撃、一死1、2塁から代打関本がレフト前ヒットで、二塁ランナーのアリアスが3塁を回ったところで三塁手川相とぶつかりました。
 このときは、レフトの清水から直接ホームへ返球がありましたが、審判は(b)項を適用して、アリアスは3塁ストップという判定を下しています。確かにホームは微妙なタイミングでしたから、(a)項を適用して「オブストラクションがなければ達しただろうと審判員が推定する塁」としてホームはなかったという判断もありうると思います。ただし、あくまでも微妙なタイミングでしたから、それをこの時点で判断するのは不可能でしょうし、だとすれば、(a)項の後段「オブストラクション発生当時すでに占有していた塁よりも少なくとも一個先の進塁」が認められてしかるべきだったと思います。
 あくまでも、この場合は「アリアスに対してのプレイ」という意味で、前回のケースとは異なると思うのですが、実際は前回同様(b)項が適用されました。

 いずれにせよ、「走塁を妨げられた走者へのプレイか否か」は、この2つのプレイでは灰色ですね。審判は違うと判断したようですが、どうもしっくりしないというのが本音です。

(2002.9.23記)


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