自責点


【状況】
2003. 3.30 ベイスターズ×タイガース 3回戦(横浜スタジアム)
 2003年の開幕シリーズ第3戦。この日のタイガースは、ベイスターズの先発若田部から相手守備陣のミスに乗じて7回までに4点を奪いました。野選あり、エラーありと、いろいろな形での得点になったために、この4点のうち若田部の自責点が何点になるのか判断に迷うケースがありました。
 実際に試合を見ながらスコアをつけていて、4点を全て自責点としてしまった(^^;)のですが、翌日の某スポーツ紙サイトでは自責点2となっていました。

この試合での若田部の失点のうち自責点であるか否かの判断は?


【調べてみると】
 基本的に球場でスコアをつけているときは、それほど細かいプレーまでは見えないケースも多く、自責点であるか否かは、ついつい1つの判断基準だけでつけてしまうことが多々あります。(スコアでは、自責点は●、それ以外の失点は○で区別しています)

 その判断基準とは、ルールの自責点の項(10.18a)の後半のこの一文です。

守備側が相手チームのプレヤ−を三人アウトにできる守備機会をつかむ前に、前記の条件をそなえた得点が記録された場合に限られる。

 簡単に言ってしまうと、「エラーを当然アウトとしてカウントしたときに3アウトを取った後の得点は自責点にならない」ということです。

 ここで、この試合での若田部の失点シーンを書き上げてみましょう。(試合展開は、観戦記で確認してください)

【2回表】ノーアウトから桧山、アリアスの連続二塁打で1失点。(ケース1)

【4回表】一死後、矢野、藤本、ムーアの連続ヒットで満塁のチャンスに今岡が浅いライトフライ。矢野はタッチアップするも完全にセーフにならないタイミング。ライトからの返球を一塁手ウッズがカットしたときに、ニ塁ランナー藤本が飛び出しているのを見て二塁に送球する間に矢野が一気にホームを陥れて1点。(ケース2)

【6回表1点目】アリアスの二塁打でノーアウト二塁の追加点のチャンス。続く矢野のセンター返しのバッティングも若田部が好捕してピッチャーゴロ。二塁から飛び出したアリアスをアウトにしようと若田部が三塁へ送球したボールを何故か三塁手古木が後逸。アリアスが一気にホームイン。(ケース3)

【6回表2点目】このエラーで矢野は一気に三塁へ進塁。ノーアウト三塁から藤本がライト前へタイムリーヒットでさらに1点追加。(ケース4)

 とりあえず、上記した判断基準だけで考えると、全て自責点になります。でも、確かに判断に迷ったケースもありました。
 ケース1は、問題ないでしょう。自責点1は確定。
 問題は、ケース2〜4ですね。いずれもベイスターズのミスが絡んでいます。

 まずケース2ですが、この場合、ウッズのフィルダースチョイスの間の得点ということになります。まずフィルダースチョイスのときの得点が自責点になるかどうかということですが・・・なります。

 上記(10.18a)の前半はこうなっています。

自責点は、安打、犠牲バント、犠牲フライ、盗塁、刺殺、野手選択、四死球(故意四球も含む)、ボーク、暴投(第三ストライクのときに暴投して打者を一塁に生かした場合も含む)により、走者が得点するたびごとに記録される。

 野手選択(フィルダースチョイス)での得点でも自責点が記録されると書いてあります。ところが自責点の決定の方法はそう単純ではないようです。

(10.18d) 失策、捕逸、あるいは守備側の妨害、または走塁妨害の助けをかりて進塁した走者が得点した場合、このようなミスプレイの助けをかりなければ得点できなかったと記録員が判断したときだけ、その走者の得点は自責点とならない。

 今岡の外野フライで矢野がホームインできなかったのは明らかです。ウッズのフィルダースチョイスは二塁走者藤本に対してのプレイであり、矢野はその間にまんまとホームインしたというわけで、仮にウッズのこのプレイがなければ、得点できた可能性は低い・・・というか、なかったでしょうね。
 ただ、この(10.18d)の自責点にはならない要素の中には野手選択は入っていません。

 (10.18a)【注ニ】には、まとめて以下の記載があります。

(1)自責点となるべき要素は、安打、犠牲バント及び犠牲フライ、盗塁、刺殺、野手選択、四死球(故意四球)、ボーク、暴投であり、(2)自責点に含んでならない要素は、守備失策、捕手または野手の妨害、走塁妨害、捕逸、ファウルフライ失である。

 ということで、この得点は自責点と考えてもよさそうです。

 ちなみに、9回表のタイガースの得点シーンもフィルダースチョイスが絡みました。

【9回表】先頭赤星のバントヒット、盗塁、さらに金本のセカンドゴロで得た一死3塁のチャンス。続く濱中のショートゴロで赤星は本塁へスタート。ショート石井琢は本塁送球するも、赤星の快足が一瞬速くセーフ。

 このプレイもフィルダースチョイスによる得点であり、投手の自責点になります。(濱中に対したデニ−ではなく、赤星を出した河原の自責点)

 で、ケース3は明らかに自責点にはなりませんね。得点したアリアスはエラーがなければ二三塁間でアウトになってしまったはずですし、何より失策がなければ得点が入る可能性がない状況です。

(10.18c) 失策がなければアウトになったはずの走者が、失策のためにアウトを免れた後、得点した場合は、自責点とはならない。

 さて、そうなるとケース4も怪しくなってきます。何よりも得点した矢野はエラーで出塁したランナーなわけです。

(10.18b) 次の理由で打者が一塁を得た後、得点することがあっても、自責点とはならない。
 (3) 野手の失策で一塁を得た場合。


 矢野はエラーで出塁になりますから、この項が適用されて自責点にはなりません。


 というわけで、この日の若田部の自責点はケース1とケース2に限って「2」というのが正解のようですね。


(2003.4.27記)


目次に戻る