投手の交代


【状況】
1998. 4.18 ジャイアンツ×タイガース 1回戦(東京ドーム)
5回裏ジャイアンツの攻撃
立ち上がり大豊の3ラン、松井の3ランで華々しい打撃戦の様相を呈してきたこの試合。5回にタイガース先発のクリークがダンカンに3ランを打たれてしまいます。
このあと、クリークは切れてしまい、制球定まらず塁にランナーを出したあと、ボークをとられてしまいます。木戸コーチがマウンドに行ったあとにルーキー山岡への交代が告げられ、アナウンスまでされるのですが、何故かこの交代が認められず、クリークは続投するハメに・・・。

何故、このケースでタイガースの投手交代は認められなかったのでしょうか??


【調べてみると】
 実はこのシーン、TVでは投手交代を信じたのかCMが入ってしまい、ラジオでもあまり詳しい描写をしてくれなかったので、正直言って何があったのか、よくわかりませんでした。
 ラジオではアナウンサーがボークを投げた投手は、1球投げないと交代できないというわけのわからないことを口走っていましたが・・・。
 というわけなので、ルールからこの場面を推定することにします。
 もし、実際に見ていた人で状況が違うということに気づいた方は是非連絡ください。(^^;

 さて、このケースで適用されるであろうルールを探してみると、「監督が投手のもとに行く制限」(公認野球規則8.06)という条項がありました。

8.06 プロフェッショナルリーグは、監督またはコーチが投手のもとへ行くことに関して、次の規則を適用しなければならない。
(a) 本条は、監督またはコーチが、1イニングに同一投手のもとへ行ける回数を制限する規則である。
(b) 監督またはコーチが、1イニングに同一投手のもとへ2度目に行けば、その投手は自動的に試合から退かなければならない。
(c) 監督またはコーチは、そのときの打者が打撃を続けている限り、再びその投手のもとへ行くことはできない。
(d) 攻撃側がその打者に代打を出した場合には、監督またはコーチは再びその投手のもとへ行ってもよいが、その投手は試合から退かなければならない。


 このあと、このルールに関する原注および注が続くわけですが、その中で今回の件に一番近いと思われるのは、【注二】ではないかと思われます。

【注二】 監督またはコーチが投手のもとへ行った後、ファウルラインを越えて引き上げたら、その投手は、そのときの打者がアウトになるか、走者になるか、または攻守交代になるまで投球した後でなければ退くことはできない。ただし、その打者に代打者が出た場合は、この限りではない。

 もしこのルールが適用されたとすると、クリークがボークをとられたあと木戸コーチがマウンドへ行き、よく見られる光景として、吉田監督がそのまま球審に投手交代を告げれば、山岡への交代は認められたと思います。何の問題もないよね、いつもの光景だし。
 しかし、このときはマウンドに行った木戸コーチが一旦ベンチに戻ってから、吉田監督が投手の交代を告げに出ていったのではないでしょうか?
 そう考えると、木戸コーチがファウルラインを越えた時点で、クリークはそのときの打者が攻撃終了になるまでは投げ続けなければならないということになり、山岡への投手交代は認められないということになります。

 アナウンサー氏の口走ったボーク云々、1球云々は全く関係ないということになってしまいますね。(^^;

 ところで、この場面、投手交代のアナウンスはされたように記憶しているのですが、球審は一旦交代を認めたんでしょうか?
 球審がアナウンス室に交代を告げたから、アナウンスされたはずですよね。
 きっと、こういうルールがあったこと、忘れてたんじゃないかと思われますね。これはタイガースベンチも同様、というか、ほとんどの人が認識してなかったルールのような気がします。
 その中で、このルールに気づいて適用したのは誰?(おそらく、このときの塁審の人、控えの審判の人?)

 結果的にこの試合、この投手交代が認められなかったことで、歴史的な試合展開になっていくのですが、これもまた野球のおもしろいところですね。
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