ボークの適用


【状況】
1998. 7.15 ベイスターズ×ジャイアンツ 16回戦(横浜スタジアム)
 激しい打ち合いの試合。12−9で巨人リードで迎えた8回裏、横浜の攻撃は1点を返して、さらにランナーを1人おいて打者佐伯、巨人は抑えの切り札槙原という場面。
 佐伯は一旦はライトフライに討ち取られますが、このときの槙原の投球が、ボークの判定・・・。打ち直した佐伯の打球はなんとライトスタンドへ!同点ホームランとなって、結局、9回サヨナラゲームにつながってしまいました。

槙原のボークの投球を佐伯がヒットにしていたら、どうなっていたでしょう?


【調べてみると】
 昔からボークって、よくわからないんですよね。(^^;
 最近は、難しいことを考えずに、ピッチャーが変な動きだったらボークなんだな・・くらいに考えていますけど、このケースのようにボークの投球を打者が打った場面って、あまり見たことがありません。非常に稀なケースなんじゃないでしょうか。しかも、打ち直しが、見事な同点ホームランになるという、マンガみたいな展開につながったのも、印象的ですね。

 さて、このボーク球を佐伯は打ってしまったのですが、これが外野フライではなく、例えばヒットだったら、どうなっていたでしょうか。
 このようなケースもしっかりルール化されています。公認野球規則8.05、いくつかのボークになる違反投球の規定とあわせて、ペナルティとして記載されています。

 本条各項によってボークが宣告されたときは、ボールデッドとなり、各走者は、アウトにされるおそれなく、一個の塁が与えられる。
 ただし、ボークにもかかわらず、打者が安打、失策、四死球、その他で一塁に達し、かつ、他のすべての走者が少なくとも一個の塁を進んだときには、本項前段を適用しないで、プレイはボークと関係なく続けられる。


 つまり、あの場面、佐伯がヒットを打った以外にも、例えばライトの高橋が落球していたとしても、そのまま試合は進行していたというわけです。結果的に打ち直しがホームランになってしまったわけで、巨人としては、そっちの方が良かったかも・・・というのは、結果論ですね。

 で、そういうことであれば、例えば打者から見て、明らかにボークだとわかった場合は、何も考えずに打ってみるのも手ですね。アウトになっても、打ち直しですし、ヒットなら、そのままヒットですし。ま、瞬時にそこまで判断可能かというと、なかなか難しいと思いますけどね。
 佐伯があの場面で、槙原の投球がボークだとわかったかどうかは、わかりませんが、打ち直しのところでは、一旦アウトになったんだから・・・と気楽に打てたというのは、あるかもしれません。結果的に佐伯にとって、そしてベイスターズにとっては、申し分のない結果でした。

 さて、この試合に前後して、高校野球でもサヨナラボークなどがあったり、ボークが試合を決するケースがいくつかありました。
 それを受けて、何人かの解説者の人が、「ボークをとるにしても、試合の流れを考えてとって欲しい」みたいな発言をしていました。特定の人というわけなく、数名の人が、そういうことを言っているのを、実際にTVで聞きました。
 でも、これって変ですよね。
 試合の流れという意味では、上述の「ボーク球をヒットにした」ケースで、そのまま試合を進行させるというなら、わかります。でも、明らかにその数名の解説者たちは、「流れを見て、ボークをとるな」と言っているようでした。

 ボークは、ルールとして決まっている違反投球であり、その判断は確かに微妙なところがあるにせよ、試合の流れ云々とは関係なく、ボークはボークですよね。
 公認野球規則のボークの項には、以下の記述もあります。

【原注】 ボークルールの目的は、投手が走者を意図的に騙そうとするのを防ぐためであることを、審判員は心に銘記しなくてはならない。もし、審判員の判断で投手の“意図”に疑いを抱いたら、審判員は厳重に規則を適用すべきである

 審判がボークと判断すれば、それがどういう場面であれ、ボークであるはず。前出の解説者の方々の発言は、明らかにおかしいと思います。

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