神泉流兵法道場は、今日も威勢の良い稽古の声で活気に溢れていた。 中でも道場主の娘であり、師範代でもある薫の厳しい声が凛と響き渡る。 父親は、高弟の中から婿をとって道場を継がせるつもりでいたが、薫は自身で 流派を継ぐつもりで稽古を重ね、今や実力は父を凌ぎ、師範代として道場に通う男達 に稽古をつける毎日だった。 「ま、まいった!・・・いやぁ、お嬢さん・・・いや、師範代にはどうしても 歯がたちませんよ。」 「なんなの、その卑屈な態度は? 悔しいと思わないの? 真剣に稽古する気が無いなら、 道場から出て行きなさい! 私も時間を無駄にしたくないわ。」