静寂の深夜、S国参謀総長宅に進入した一つの影。 M国諜報部員、コードネーム「イングリッド」 またそれは、数時間前のパーティで参謀総長と談笑していた一人の若い貴婦人でもあった。 (スケベ親父から防衛計画書の隠し場所を聞き出すなんてワケなかったわね) 何も気づかずに熟睡する参謀総長に対して、覆面越しに冷徹な微笑を浮かべる。 彼は明朝、自分の失態と屈強なボディガード五人の死体を発見して発狂寸前となるだろう。