茂倉岳・谷川岳 (1.977m) 2009/9/20〜21
9月の5連休どこにも出かけないのはもったいない。
天気予報とにらめっこしながら谷川岳に行くことを決めた。
前回(4年前)は西黒尾根から谷川岳に上り、天神平から
ロープウェイで下りた(日帰り)ので、今回は土樽から入って
蓬ヒュッテで1泊して、茂倉岳、谷川岳をまわることにした。
( オキの耳付近の紅葉 )
台風14号も去って 「日本全国晴れ」 の予報を信じて出かけたが、上越
新幹線が、新清水トンネルを抜けて、新潟に入ると曇っていた。まさに
「雪国」 の舞台らしく、トンネルを抜けるとそこは気象が変わっていた。
越後湯沢ですぐに折り返しの上越線に乗り、土樽に降り立った。
駅員もいない寂しい駅で、駅前には店も人家もない。勿論タクシ
ーなどない。それでも今日は蓬ヒュッテまで上がるだけだから
気分を変えてゆっくり草花でも観察しながら行くことにしよう。
蓬沢沿いに付けられた蓬新道をつづら折れに登っていく
と何カ所も水場がある。(最後のところで水を補給する。)
( 2日目はずっと尾根歩きになるから 逆にまったく
水場が無かった。結局2日目は谷川岳の肩の小屋
で300円500mlの水を分けてもらうことになった。)
( 笠ヶ岳(大倉山)に登る朝日 右奥に日光連山・武尊山 )
蓬ヒュッテには13時50分に到着する。受付をしながら、今日
の宿泊客は6人だと知らされる。私の他に単独行の人が男性
2人、女性1人、それからご夫婦が1組。 単独行の3人はそれ
ぞれ私などよりはるかに多くの山行経験がある方ばかりだった。
私と前後して山小屋に着いた女性は何度も谷川岳には足を運
んでいるらしく、今回は馬蹄形縦走を1人でするという。65歳に
なる男性は娘婿と同行の予定だったが、娘婿が会社の階段で
転んでケガをして今回は1人だという。でも、若い頃からの山屋で
普通の人がたっぷり2日はかかるコースを1日で踏破したという。
蓬ヒュッテの夕べは楽しかった。ヒュッテの管理人さんが話
し好きで山好きで、酒好きで話が尽きない。蓬ヒュッテは小
さな山小屋で、定員20人のところだが、今日は6人だから
ゆっくりできるとのこと。明日はツアー客20人があるそうだ。
茂倉岳から北側の登山道の熊笹の刈り取りは、蓬ヒュッテの管理
人さんがやっているとのこと。(そんな人の苦労があって初めて安
全に楽しい山行ができるんだと一同感謝することしきりであった。)
明日は管理人の奥さんが登ってくるとのことで、管理人さんはことの
ほか楽しい酒だったらしく本当に酔っていた。そのうち管理人さんが窓
を開けて
言った。 「風が止んだ。星が出ている。うちの母ちゃんは晴れ
女だから、明日は大丈夫。」 外に出てみる。満天の星が出ていた。
( 茂倉岳付近より、越えてきた武能岳を振り返る。奥に巻機山、さらに奥に越後駒・中ノ岳 )
2日目は朝飯をお弁当にしてもらって5時にヒュッテを出た。
馬蹄形縦走の女性も5時立ちをした。彼女は朝日岳を目
指し、「お気を付けて」と挨拶して北に向かう。彼女は学生
時代から山をやっていたが、時間が自由になるようになって
また山をはじめて、数年前に100名山を踏破したそうである。
未だ薄暗かったが、歩きはじめると間もなく空が白んできた。
霧が視界を遮っていたが 武能岳の輪郭がだんだんはっきり
してくる。熊笹の中の道を30分も歩いていると、霧が消えた。と
言うより、私が霧の上に高度を上げたようだ。ヒュッテの方を振
り返るとまだ霧に埋まったままである。そのうち東の空が明るさを
増し、ご来光のときを迎えた。よく晴れたそらに太陽が顔を出す。
( 一ノ倉岳南面の紅葉 )
出発して1時間で武能岳山頂に着く。 360°の展望である。
西に苗場山、仙ノ倉山、万太郎山、北に、大源太山、七ッ小
屋山、巻機山、 東に会津の山々、朝日岳、日光連山、 南に
これから向かう茂倉岳、一ノ倉岳、谷川岳、少し離れて浅間山。
( 一ノ倉岳を過ぎ、谷川岳が間近になる 一ノ倉沢岩壁がそそり立つ )
武能岳からの茂倉岳までは約2時間のコースだが、見通しが利い
て気持ちがよい。一旦 笹平の鞍部に下りてからまた上り返す。
途中で空腹をおぼえてくる。カロリーメートを取り出して補給する。ブル
ーベリーの干したのも甘酸っぱく旨い。 休憩をとりつつ登っていく。
茂倉岳には先客が1人いた。頂上は広く気持ち良
い。高度を上げた分、武能岳以上に好展望である。中
ノ岳や越後駒ヶ岳も見える。その奥の方の山は私には
同定するのが難しい。ここで先客とお互い様で写真を
撮ってもらう。彼は昨日肩の小屋に泊まり、今日茂倉
岳までをピストンしてその後、仙ノ倉山を目指すという。
( 厳剛新道からトマの耳、オキノ耳を振り返り仰ぎ見る )
茂倉岳を過ぎると一ノ倉岳はすぐである。一ノ倉岳の山頂直下の
南面は紅葉に染まり始まっていた。それからまた しばらく下る。
一ノ倉沢の岸壁が不気味な岩肌で迫ってくる。今まで何百人と
いう人の命を飲み込んだだけのことはある。登山道を歩いている
分には心配はないが、下を覗くのは気持ちがいいものではない。
最後の上りにきて少しバテてきた。オキノ耳が思った
以上に遠い。それでも奥の院にたどり着き、ヒュッテで作
ってもらった朝飯のお弁当にする。やっと先が見えてきた。
オキノ耳、トマノ耳とも人でごった返している。写真を撮る順番
待ちができている。人混みの中を早々に退散して振り返るとオキ
ノ耳の直下西面がきれいに色づいている。蓬ヒュッテの管理人さん
の話ではここ3.4日の冷え込みでグッと色づきが進んだそうである。
肩の小屋で心細くなった水を補給し、ラクダのコル
そして厳剛新道を下った。
谷川岳ロープウェイ駅から水上駅までのちょうどよいバスがあっ
た。水上に着いてから去来荘というホテルでひとっ風呂浴びさせ
てもらい、缶ビールを買い込んで上野行きの特急に乗り込んだ。
行動記録 ( ⇒印 電車 、バス 、 →印 徒歩 )
(第1日) 木更津( 6:21 ) ⇒ 東京( 7:37 , 8:04 ) ⇒ 越後湯沢( 9:34
, 9:51 ) ⇒ 土樽( 10:08 )
→ 東俣沢出合( 11:45 ) → 蓬ヒュッテ:泊(
13:50 )
(第2日) 蓬ヒュッテ( 5:10 ) → 武能岳( 6:10 ) → 茂倉岳( 8:00 , 8:10 ) → 一ノ倉岳( 8:30 )
→ オキノ耳 ( 9:30 , 9:45 ) → 肩の小屋( 10:00 , 10:10 ) → ラクダのコル( 11:10 , 11:15 )
→厳剛登山口( 12:40 )
→ 谷川岳ロープウェイ駅( 13:00 )
⇒ 水上 (入浴) ( 13:40 , 14:58 ) ⇒ 上野(17:20 ) ⇒ 木更津(19:07)
歩行時間
登り: 3時間40分
下り: 約7時間