八ヶ岳(赤岳・権現岳)   (2.799m ・ 2,715m)     2009/8/16〜17




2009年夏は8月になっても関東甲信越地方は天候が夏らしくならず
に山行の予定を立てては天気に裏切られ、出かけずじまいでいた。


8月中旬にやっと天候が安定してきたので、16〜17日に
八ヶ岳に行って来られた。今回は単独行で、1泊である。今まで
にとったことのないコースをと考え、真教寺尾根から赤岳(泊)、
赤岳から権現岳、そして天女山に下りるルートをとることにした。


赤岳東面

                                          ( 牛首山付近より望む赤岳 )



赤岳に直登するには結構時間がかかるコースなので、小淵沢
から登山口(美し森)までタクシーを使った。タクシーの運転手さんも
「今年は天候不順で山に来る人が少なく 残念だ。」とぼやいていた。


それでも16日は朝からの快晴でやっと山に来れた幸せを
噛みしめつつ、登山道を歩きはじめた。真教寺尾根から入
山する人はやはり少ないらしく、前後に人の気配はしない。


ところが歩きはじめて1時間もしないうちに人の声が聞こえ
はじめた。笑い声やら、「ヤッホー」という声やら元気な声で
ある。すぐにそれが登山道に平行して動いているリフトの客
であることが分かった。冬場のスキー場のリフトが夏は観光用
に動いていたのだ。時間をかせぐのであれば賽の河原まで自
分もこのリフトを使う手もあったのだと思ったが今更仕方ない。


賽の河原の展望台、広場は観光客が数十人いた。登山道から
賽の河原に飛び出した私は1人だけ場違いなところに来たよう
な感じがした。賽の河原からは赤岳がよく見え、赤岳展望荘も、
頂上小屋も見える。賽の河原で小休止してから、また1人で登
山道に入った。ここからが本格的な登りである。牛首山まででも
1.5時間ある。水分補給をまめに行いながら、樹林の下を行く。




赤岳真教寺尾根10合目
             ( 真教寺尾根<左>を登り切って赤岳山頂直下 権現岳との分岐に着く )



  牛首山あたりまでは誰とも出会わなかったが、牛首山を過ぎ樹林を抜け
たあたりから下山してくる人に出会うようになった。低木の間から赤岳
が顔を覗かせ、南西側には明日登る権現岳が見えるようになった。



真教寺尾根は登山道に沿って、1合目から10合目まで丸い標識が
立っていた。8合目あたりからは岩場とクサリ場の連続になる。雨の
日や霧で視界が利かないときは登り下りに難渋しそうなところである。

夕暮れ
                      ( 赤岳山頂より北方を見る。 左より天狗岳、硫黄岳、横岳 )


岩場を慎重に登りつめて山頂に着いたのが15時15分頃だった。


さすがに山頂は人が多く、各方面から登ってきた人が登頂の感激
に浸ったり、シャッターをきったりしている。中に小さい子連れの親子がいたので
 私が「お子さん、何年生ですか?」と訊ねたら未だ幼稚園だと言うことだった。(*_*)


赤岳頂上小屋に入り、受付をすませた。荷物の整理をしてから、談話室に行って
買い求めたビールに舌鼓をうちながら先客に声をかけた。( 山に行って、見ず知ら
ずの人に気軽に声をかけ、簡単に親しくなれるのは、山男の素晴らしいところだ。) 


3人の仲間は群馬県から来たそうで、私と同じコースを今日登ってきた
そうで、明日はまた私と同じコースを行くという。そして山小屋のスタッフ
から(今日のコースはなかなかタフなコースだったと言ったら) 「明日の
方が何倍もタフなコースだ。」と聞かされて毒気を抜かれたと言っていた。



バリエション豊かな山
                     ( 2日目 権現岳山頂近くで歩いてきたコースを振り返る。  右 赤岳、左 阿弥陀岳 )


山小屋は日、月曜ということも手伝ってか意外に空いていた。


朝は4時半には起床し、朝食前に山小屋前の展望台に立つ。
北アルプスもよく見える。穂高、槍、常念などが同定できる。
360°の大展望を満喫した後 5時半朝食、6時に出発した。


確かに小屋のスタッフが言うように初めから急なガレ場だった。ただ
天気も良いし、慎重に下りれば心配な事は無さそうである。15分も下
って行くと、昨日の3人のグループに追いついた。3人も慎重である。



そのうち1人が40mも離れている急な岩場の上にカモシカを見つけた。カモ
シカがこちらをじっと見ている。とんでもないところにいるもんだと皆で感心する。

3人のおかしな会話 : 
「おーい、お前そんなところに載ってるけど、下りられないのじゃな
いだろうな。」 「馬鹿言え。『お前こそ落っこちるなよ』 とカモシカ
が言って笑ってるよ。」 「あー、本当に俺もカモシカになりてー。」

                                                                     


2009夏の山
                         ( 三ツ頭付近から見る権現岳、阿弥陀岳、赤岳 )
 

3人のグループは私以上に慎重でゆっくりだった。そして先を譲られたので
途中でまた単独行になった。たしかに山はペースや体力等に個人差がある
から1人が気楽である。でもこれは 何も事故がなければの話である。事故
がないとは言い切れない山は複数で登るべきなのであろう。そして友達と同
じ楽しい思い出を作れると言う意味でもできれば複数で登るべきであろう。


キレット小屋の手前でガレ場も終わる。キレット小屋わきにはコマクサが群生していた。

その後アップダウンを繰り返し、視界が開けたところで振り返ると赤岳と阿弥陀岳
が青空に堂々と聳えている。権現岳直下に長い鉄ハシゴ(61段)があったが、ここで
登りと下りの人が鉢合わせしたら5分間はじっと待たなければならないところである。



権現岳に8時45分に着く。雲ひとつない快晴である。この晴天を夏の初め
にも分けて欲しかった思いである。権現岳山頂には鉾が突き上げるように
立っていた。山名もそうだが、信仰の名残が感じられる 。山頂で鉾の脇に
立って、後から登ってきた人にシャッターを押してもらう。お返しにこちらもシ
ャッターを押してあげる。10分ほど休憩していたが他には誰もやって来ない。


その後は三ツ頭まで少しの登り返しがあるが、ずっと下りである。
南アルプスと奥秩父の山々、富士山を眺めながら長い下りに入る。
樹林に入ると、涼しさが戻ってくる。12時に天女山登山口に下りた。

 

                      ( イブキジャコウソウ )
 



                        ( コマクサ )
 



                     (  タカネナデシコ )
 

天女山登山口までタクシーを呼んで、甲斐大泉駅前のパノ
ラマの湯まで送ってもらう。ゆっくり温泉に浸かり、疲れをとり、
大泉駅に戻ったら、ちょうど上りの小海線が待ちかまえていた。






行程記録


(第1日目)
  木更津 (5:49)→千葉 (6:28, 6:38)
あずさ3号
小淵沢 (9:36)  
タクシー → 美し森 町営たかね荘 (10:10)
<真教寺尾根> ・・・・・ 賽の河原 (11:10) ・・・・・ 
牛首山 (12;40) ・・・・・ 赤岳山頂 (15:15) 頂上小屋(泊)



(第2日目)
  赤岳頂上小屋 (6:00) ・・・・・ キレット小屋 (7:20) ・・・・・
権現岳 (8:45, 8:55) ・・・・・ 三ツ頭 (9:50) ・・・・・ 
天女山登山口 (12:00) 
タクシー → 甲斐大泉温泉 (12:30,13:30)
 → 小淵沢 (13:45,14:42) 
あずさ52号  木更津 (19:00)






1日目 歩行時間 5時間05分
2日目 歩行時間 5時間50分


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