●能力の検討:Urza's Saga 編

カード効率検討のための資料です。
このページでは、特に Urza's Saga ブロックで発生・頻出する能力についてまとめます。追って「マナ効率」の計算に反映していく予定です・・・



●Cycling/サイクリング

・どんな能力?

本来のカードの能力とはまったく別に、「コストを払ってそれを捨てれば、カードが1枚引ける」という、カード能力です。
Urza'Saga ではすべてのカードが「cycling 2」、すなわち2Mana 払って捨てることで1枚引けるものになっています。

・メリット

大きく2つのメリットがあります。
1つは「無駄カードの回避」、もう1つは「デッキ圧縮」。

「無駄カードの回避」:cycling をもつカードは、いわゆる「無駄カード」になりません。例えば、Terror は強いですが相手が黒単や Creature-less の場合には使い道がなく、そういうときに Terror を引くと結果的に Draw を1枚損することになります。しかし Expunge(US) ならば Mana こそかかるものの上記のようなリスクはないでしょう。
「デッキ圧縮」:Cyclng のカードは言ってみれば「Mana を払ってデッキの最大枚数を減らす」能力をもっているわけです。
いわゆる「フィニッシュカード」を無理矢理持ってくるためには重宝するはず。

また、Cycling は「Spell ではないので Counterされない」という点も見逃せません。効果だけ見れば Buyback できない Wisper of Muses(TE) に近いですが、Counter されない=かならず次が Drawできるということです。

・デメリット

現在のデメリットは以下のもの。
「割高な Casting Cost」:Cycling をもつカードの本来の効果(Cycling しないで普通に使用した場合の効果)は、従来のカードに同等の効果をもつものがほとんどです。例えば先の Expungeは Terror と同等ですし、Scrap( Shatter )、各種Land (Basic Land)など・・・ところが、この場合のコストは Cycling のない従来カードに比べて全体に1Mana 程度、割高になっています。
Land には CC はないですが、これも Tap して Comes in するので結果的に1Mana 損をしている計算です。

「魅力のない能力」:上記にも関連するのですが、その「本来」の能力自体が今一つぱっとしないカードに多いのが厳しい点です。
Shatter をデッキにいれますか?ってことです。また、Buyback 呪文と効果が重複しているのも辛い:同じ CC:1UU、普通に使えば Boomerang 同等ならば・・・Cycling の Rescind(US) と Buybackの Capsize(TE) のどっちでしょうかね・・・確かに Buyback が回り始めるまでの時間が長いのは認めますが、Cycling も Mana を使う以上、それほど早期に運用できるかという疑問があります・・・

・友瀬的 Mana 換算

実は能力的には消費:カードそのもの(2Mana換算)+2Mana効果:Draw a Card == 4Mana 換算なので、非常に妥当な能力です。
換算表を直す必要もありませんね。


●Echo/エコー

・どんな能力?

この能力をもっている Creature は、召喚した次の Upkeep にその Casting Cost をもう一度消費しなければなりません。
Urza'Saga では Creature にのみ適用されていますが、効果的には Casting Cost のあるすべてのカードに適用できるものなので・・・次のエキスパンションでは出てくるでしょう。

・メリット

単純明解です。Echo をもつ Creature は、その CC に比べてやや強い能力( Pow/Tough )を持っています。

・デメリット

Echo 分の消費は次のターン:なので、相手が Mana を絞る手段を持っていると、使いにくいということがあります。
例えば、Full Tap して Echo 持ち Creatureを召喚したあと、相手が Stasis や WinterOrb、その他 Land 破壊を持っていたら?

・友瀬的 Mana 換算

まだ Parmanent の評価案を出していないのでなんとも言えませんが、この Echo 、新しいタイプの Upkeep Cost な訳です。これによって、Must-Pay な Upkeepには、

  1. Echo:1手番だけ、払う
  2. Normal な Upkeep:毎ターン、一定額払う。
  3. Cumurative Upkeep:毎ターン消費、額がだんだん多くなる。

という3段階ができたわけです。


●Sleeper/スリーパー

・どんな能力?

特にカードに「Sleeper」と書かれているわけではありません:開発レベルの俗称です。
Cast 時には Enchantment ですが、相手の何らかの行動に Trigger されて Creature になるもの。トリガーとなるアクションは、さまざまで「相手が Spellに成功」「Creature の召喚に成功」などがあります。

・メリット

Sleeper の Creature としての能力は、Costに対して大きいものです。
条件にもよりますが、CC:G で 5/3、CC:1W で 2/2 Flying など。

・デメリット

せっかく強くても、結局その「条件」が発生しなければ Sleeper はいつまでもただの Enchantment でしかありません。例えばトリガーが「Enchantment」の Sleeperは、相手がまったくEnchantのないデッキならただの紙屑でしかありません。

・友瀬的 Mana 換算

こいつもPermanent の能力なので、今のところ検討範囲外なんだよね。
しかたないか。


●Perpetual Enchantment/永久エンチャント

・どんな能力?

特にカードに「Perpetual」などと書かれているわけではありません:開発レベルの俗称です。
Local Enchantment なのですが、何らかの理由で「場から Graveyardに」落ちた場合、なんのハンデもなく手札に戻ってくる能力をもつ Enchantment のことを指します。
Enchant 自体は、各色ごとに類似魔法があるものがほとんどです。例えば Brilliant Halo(UZ) は Holy Strength, Fiery Mantle(UZ) は Fireblessing と同等の効果をもつ永久エンチャントです。

・メリット

Local Enchantment の最大の弱点の1つ:「壊されやすい」という点に対する、究極的な解答といえます。普通の Local Enchantment ではその対象(Enchant先)を破壊された場合に一緒に破壊されてしまうため一般にカード損になるのですが、永久エンチャントではそういうデメリットがないのです。

結果、強引な運用がしやすいというのが実用上のメリットでしょう。普通の Local Enchantment だと「せっかく Enchant して強くしても、失う危険があると・・・」というのがあるのとは対照的。Rancor(UL) をつけて突撃してくる Elf などが象徴的でしょう。

・デメリット

Perpetual になった分、その元魔法より1Mana 程度CC が大きくなっているのが直接的に不利になった点です。
もっとも、ハンデとして気になるレベルではないでしょう。

・友瀬的 Mana 換算

「破壊されたら直ちに手札に戻る」ということは、言い換えると「破壊されると直ちに、同じカードをDraw できる」というのと類似でしょう。結果、5Mana程度の価値の効果を、CC+1 で実現できているということ。破壊されなければ発生しない効果とはいえ、かなり強いといえます。


●Growing Enchantment/成長エンチャント

・どんな能力?

特にカードに「Growing」などと書かれているわけではありません:開発レベルの俗称です。
Global Enchantで、その Enchantment 自体を Sacrifice することで何らかの効果を発揮するものですが、特徴的なのがその「効果」のパワーが、その Enchantが場にいた時間に比例して増大していくという点。
これが場に入ったあと、Upkeep ごとに1つずつカウンターが自動的にたまっていきます。効果はこのカウンターの数によって影響されるのです。

この「成長していく」というものは、別に Urza ブロックで新規というものではありません。例えば Legacy's Allure(TE) が同じ形です。

また Enchantment 専用というわけでもありません。Barrin's Codex(UZ), TimeBomb(IA,6th) のような Artifact も存在しています。

・メリット

成長した後に発生する効果は「カウンター1つにつき何か」になるわけですが、この1個あたりの効果はかなり強力です。例えば 3/3 Creature が出てくる Midsummer Revel(UZ)、土地1つ破壊の Rumbling Crescendo(UZ) など。
いってみれば1ターン遅らせるごとに「その時間」を糧に、上記のような「本来Mana が必要な」ものを生み出すことができるわけです。

・デメリット

出しておいてなんぼのカードであるため、奇襲性が全くないのが弱点の1つ。出した直後、Upkeepを迎えるまで最低でも1手番が経過しないかぎりただの紙くずでしかないという「タイムラグ」も問題でしょう。
特に CC も少々大きめであるため、充分な効果が得られるようになるころにはゲームが終わっている可能性もあります。

また、パワーアップのペース的にも問題があります。カウンター1個あたりの効果はそれなりに強力ではあるのですが、Enchant 自体を出すために消費した Manaを同程度のMana を使用した通常魔法を使うのと比較すると、出して2段階は強化してからでないとかなり割高です

・友瀬的 Mana 換算

カードによってばらつきがあるので一概には言えませんが、カウンター1個あたりに発生する効果は1〜3Mana 程度です。当然、このパワーによる差が、カードの強弱といえるでしょう。
Torch Song(UZ,1個につき1damage 射撃)、Liting Refrain(UZ,1個につき1Mana のPowerSink)などは1Mana 程度と弱め。
Lotus Blossom(UZ,1個につき任意色 Mana1つ)、Recantation(1個につき 1 Boomerang)などは2Mana程度。
最初の例にあげた Midsummer Revel,Rumbling Crescendo は3Mana 以上の効果です。


●Free Spell/フリースペル

・どんな能力?

特にカードに「Free」と書かれているわけではありません:俗称。 それを使用するとその効果として指定数の土地が Untap する魔法です。
Untap する土地の数はその呪文のCCに比例(例えば CC:4なら、土地4つをUntap)しており、1土地1Mana という観点で見かけ上 Mana消費なしで使用することができます。まさに「フリー(無料)」という名のとおりです。

また広義では、それを使うことで同時にCCと同量の Mana が発生するもの:Priest of Gix(UZ)なども含まれます。

通常Spell(Castに成功で Untap)、Permanent(Comes into Play でUntap)というバリエーションはありますが、Permanentによる「Free」の効果は「手札から普通に唱えたときのみ発生」となるため、結果的にどちらも同じようなものになります。
#Re-Animate 系魔法などでのコンボでは使えない、ということです。

・メリット

ある程度の効果を実質的な Mana なしで使用できるので、展開力が強化されるのが根本的な強みです。
例えば Priest of Gix は、黒の1手番目:Dirk Ritual からの高速展開に普通よりも1体多く、2/1 Creature を提供します。
別の例では、青デッキで2手番目に 1/1 Flying を出し、かつカウンター用のMana を残せるというのは、従来からは考えられないでしょう(Cloud of Faeriy(UZ))

またFree の効果は「CCと同じ数の土地を Untap」というのも見逃せません。
もし1枚で2Mana 以上を生み出せる土地があれば、この効果は結果的にManaを増やすということになります。

・デメリット

「見かけ上Mana不要」とはいっても、それを使う時点では Mana を使用する必要があるのが弱点でしょう。 例えば CC:5UU の Giant Wheal(UZ) は、唱えることさえできれば「実質0Manaの5/5 Creature」といえますが、もちろんそれを唱えるには7Mana を生み出す環境が必要なのです。
結果、特に Power Sink や Mana Leak(ST)といった追加Mana を要求する魔法には特に苦戦します:それなりに Mana を使っているのでこれらの影響を受けやすく、また Counter されてしまうとその「Free」効果も発生しないためです。

また、純粋なCCに対しての効果という面では、通常魔法には多少劣ります。
例えば Free なCounter魔法・Rewind(UZ) は CC:2UU。実質無料でのCounter とはいえ、 おおよそ4手番目以降までは使えないというリスクがあるわけです。

・友瀬的 Mana 換算

この系統の魔法の特徴は、

という点にあります:この「使えるまでの時間」というのが、今までの友瀬のMana換算という考えにはもれている点です。

一般に、Free カードは、従来版に比べてCC+2 くらいなので、そのラインで検討したいところ。


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このページは 友瀬 遙 によるものです。

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