木炭案内人

「木炭こぼれ話 香道とたどん」


香道にたどんが使われているのはご存知ですか?
大河ドラマで真田兄がお通の部屋で、現代風にいうとストレス解消に効く
お香を焚いて癒されるという場面がありましたね。
少し前のドラマ江姫でも浅井の3人娘が香を嗜む場面がありました。
庶民とはかけ離れたお家であることがあらわれています。

香道・・白檀、沈香、オウジュク香などの香木の香りを
香炉に入れて香りを楽しみ、聞きあてるもので、2流派の流儀があります。
香木は、樹木が虫などにつけられた傷を樹脂をだして塞ごうとする、
木の自然治癒力によってできるもので、何百年もかけてできるものだそうです。
その香木の香りを最大限に引き出すためにたどんが使われているのです。
てのひらに載る大きさの香炉に火のついたたどんを入れ、灰で円錐状に覆う。
それに雲母の板をのせかけて、その上に香木を数ミリ角に切ってのせる。
煙をたてないように熱すると香木の香りが際立つ。それを聞き愉しむ。
奥の深い文字通り「香道」「道」なのですね。

お香の中に「八重垣」という名香があるのですが
「八雲立つ 出雲八重かき妻籠みに 八重がきつくる その八重がきを」
(出雲の幾重もの八重のかきね。妻を籠らせるために八重垣をつくるよそのみごとな八重垣を)
古事記に出てくるスサノオの尊が出雲の国の須賀でクシナダ姫とともに
新婚の家を造った時の歌で日本最古の和歌に由来するお香だそうです。
このお香は人が嗅ぐと途中から濁るとされるので
「八重垣」を下の句から「やえがき」と濁って読むこの和歌の名がついたそうです。

また「初音」は「聞くたびに珍しければほととぎす いつも初音の心地こそすれ」
の古歌に由来するがこのお香を手に入れようと細川忠興、伊達正宗、前田家が争い、
相互の家臣が切り殺し合ったこともあるというお香。
どなたも茶道、歌道にも長けた方々。それが命までかけるほどのお香とは
おそれ入谷の鬼子母神。

私は「香りを聞く」という言葉に、箱に入れた香木を耳のそばで振り、
その数を音であてる江戸時代に流行った遊びを思い出してしまったのですが、
あれは鎖国で香木が手に入らず、高価で庶民には香りをかぐことも
もったいなかったためにできた、「香りを聞く」香道だったそうです。
和の文化としての香道がまた流行ってきそうですね。

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