木炭案内人

沖縄組踊「花売りの縁」「薪木取」について紹介


沖縄組踊「花売りの縁」ってご存知ですか?

沖縄伝統の組踊の名作「花売りの縁」作者は高宮城親雲上(たかみやぐすくぺーちん)。
不幸続きで家計が立ち行かなくなった「森川の子(しー)」(子は下級士族の意味)
朱里から大宜味村へ出稼ぎに行くが12年の年月が過ぎ、音信不通になる。
心配した妻子が探しにやってきて通りすがりの薪取の翁に消息を尋ねる。
話によると
「農作物の収穫がうまくいかず、海水から塩を作れば長雨で溶けてしまう。
不遇な中でも彼は真心を持った立派な男だった。
貧しい身になっていても、士族の義理は見事に立てて、
どんなに困っても人様に無心などはひとつもせず、
仕事の合間には花をめでて歌を詠み、風流な心を持ち続けていた。
この頃姿を見ないが塩屋湾の港町に行けば行方がわかるだろう」
薪取の話を聞き、妻子は港町をたずね花売りになっていた夫と出会う。
自身の境遇を恥じ小屋に隠れてしまった彼に切々を話をし、
親子三人、再会を喜び朱里へ帰っていく。

というお話なのですが沖縄戦で離れ離れになった肉親への思いから
涙を流す沖縄の方々もおられるそうです。
これを読んで能の「隅田川」を思い出しました。
行方知れずの息子を探しに来る母。隅田川の舟の上で消息がわかる。
こちらは亡くなっておりましたが、離れ離れになった肉親を思う気持ちは
どちらも変わりません。どちらも船頭や
薪売りという職業が身近であり、携帯電話がなかった大昔の話
では片づけることのできない物語です。
今の日本にも行方不明の方がどれほど多いことか。
一日でも早く皆様の大切な方と会える日が来ることをお祈りします。

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