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015 クローン人間 2001/08/24

先日、イタリアの産婦人科医の権威かなんかのオッサンが人間のクローンに挑戦すると公言した。 90%の可能性で成功すると言っているそうだが、イギリスのドリーを創った研究所はせいぜい 成功して5%だろうと・・・。そんなこんなが話題な今日この頃です。

人間のクローンは技術的に可能かどうか?
人間のクローンは倫理的に許されるのか?

こんなホームページの片隅で結論が出るものでは無いと言う事を前提において議論を進めると、 まず人間のクローンは可能か?という問題。

クローンという言葉の定義をどこに置くのかというところで変わってくるとは思うけれど、 羊さんと同じレベルでよいというのであれば、可能なのではないかと思う。 人間の卵細胞を初期化するのが技術的には難しいというのが、 クローン人間は困難と言う人たちの根拠ではあるが、 困難というだけで不可能ということではない。では、何が問題なのか。 問題はクローンを複製とするならばどこまで複製されているかだ。

実は現在の手法によるクローン技術では、複製とは言うものの、 年齢が違う単なる一卵性双生児にすぎない。 しかも、遺伝子的に加齢を重ねたものを初期化し細分化をおこなっているので、 生まれながらにして寿命が制限される可能性があるのだ。

高等生物と呼ばれるものには寿命というものがある。
何故寿命や性別があるかというと、変化する環境に対して 自分と同じ固体を作りつづけていた場合、種の保存が困難になる可能性があるからだ。
その為人間の遺伝子には細胞に自殺しろという命令が書き込まれている。 テロメア(だっけ?)と呼ばれる遺伝子がこれを担当しているともっぱらのウワサ話だが、 このテロメア細胞分裂のたびに徐々に短くなっていく。 そして、これが無くなった所で。はいサヨナラ。と。 徐々に人間が老けていくのはこのためだ。 自分以外の人間を自分以上に育てるために生まれた人間が、 自分と同様の人間を作って死なない。これはつまりどうゆうことだろうか?

現在のクローン技術(ドリー型の)は人間の体細胞を使って、 これを初期化し、卵細胞につっこむそーです。
というのは、人間の遺伝子は体のどこをとってもその人の遺伝子なのだけど、 生まれてから、その分化の過程で遺伝子にロックがかかるらしく、 手の細胞はあくまで手の細胞になっちゃっうのだ。 そのため遺伝子の初期化というプロセスが必要なのだけど。 初期化しても、テロメアは短いままという話があるのです。

したらどうなるか。

90歳の人からつくられたその人のクローンは生まれながらにして、 姿は子供だけど寿命はあと十年もありゃしないって事になる可能性が高いということです。

死なない人間に価値があるとも思えないのだが、 人間は神様が作ったものだから、人間が人間をつくることはどうのこうのという、 単純に個人的な感情というか、根拠のない信念というか、 真っ向から否定する人が少なからず世界中にはあふれていて。 水掛け論的が繰り広げられ、結局、ほんとうにどうするの?という 倫理面での整備が遅れているのはどーーーゆこっちゃと。 科学を否定する前に神学者でも、宗教家でも、哲学家でもなんでもいいから、 説得力のある方針を決めて、民意をとりあつかわなきゃいけんと思うよ。

現状の技術で達成されるクローン人間は、結局なにも生み出さないとは思うけれど、 ほれ、もっと議論しなさいっ。若者どもよっ。と問題提起をして終わります。
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