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022 おじゃまな広告 2001/10/20

極最近の傾向ではあるけれども、今後も続くであろう問題として、 広告のプライベート領域の侵害性が問題になってきている。 携帯電話のメールの普及により表面化してきた問題だが、 受信側の空間、時間を奪うという点で忌々しき問題になっている。

広告と呼ばれるものは、文明が栄えた江戸の昔からあり、 発明家として知られる平賀源内などが「土用は丑の日」 などとのキャッチコピーから、 「金が欲しくて砂に香りをつけただけの歯磨き粉を売っています」などと、 ストレート過ぎる広告を世に放ったのもは有名な話かも。

なぜそんな自虐的にまで取れる広告を江戸の昔からおこなっているのでしょうか?
平賀源内ほどの人物であればこそ、このように現代にまで残る キャッチコピーを放てますが、なぜ現代にまで残るかと言うと、 広告というものが他人の興味を惹きつけることが目的だからに他なりません。 最終的に興味を持ってもらった顧客何名かに商品を買ってもらえば、 広告に掛かった費用を回収できるからです。

赤の他人から始まる商売で、 道を歩く人の足を止め興味を惹きつけることほど難しいものはないでしょう。 その為、顧客にアプローチする手段というものは時代を経て変化してきました。

プロのスポーツ選手なるものをつくりあげ、広告塔の役目をさせたり、 テレビCMをガンガン流して顧客に取り入ろうとしたり。 これらはあくまで興味を惹かせる為に取られた手段としての広告です。 その中でテレビCMを始めとする、顧客の許可を得ないでアプローチしてくる宣伝方法を おじゃま広告と呼ばれるジャンルに仮定しちゃいますよ。うん。

自宅の電話のベルを許可なく鳴らしてくる英会話の勧誘の電話から、 ごろんと寝転がっているときにピンポ〜ン♪となる訪問販売、 道を歩いていると立ちふさがるように笑顔で進路を邪魔するオニーサン、オネーサン、 せっかく楽しんでいたテレビ番組を中断するかのように流れるテレビコマーシャル、 うんざりする程送られてくる、アダルトやら出会い系サイトやらのスパムメール。

こら! ふざけんな!!と、言いたくなる気分になっていませんか?
興味を惹かせることに目的があった広告から、 商品(広告)過剰になり 「客が興味を惹くの待ってたんじゃ〜商売にならねぇから、 直接、店先まで引きずり込んでやろうってんだ!」という傾向にどっぷり浸っています。

これらは一時的な企業・商店の売上補強になるかもしれませんが、 売上に繋がらなかった人たちの反感を抱き、 将来的な顧客を自ら刈り取っていると言っても過言ではないと思います。 100人に強引な勧誘を行い、2人に商品を買わせる事に成功したが、 残りの人々に強い抵抗を感じさせたのでは、 将来的にその企業は顧客の獲得が難しくなるちゅう事態に陥るのです。

実際に5%でも実益に繋がればその広告は成功だと言えると思うのですが、 顧客が生涯もたらす利益を失っていると考えれば、間違いなく失敗だと言えます。 特に、インターネットやメールを利用した広告というのは限界を感じさせ、 企業側が行う、興味を惹かせる為の工夫は、単なるお邪魔行為にまで 成り下がり、将来を考えない短絡的な企業により、ますます市場が荒らされている感があります。

そこで、おじゃま広告に成り代わる広告手法が注目され所々で実践されているようです。
パーミションマーケティングなるもので、 顧客の許可を得て営業活動をおこなうというものです。

アンケートなどにより、顧客の趣味や傾向を分析し、 「宣伝を行ってもよいか」とあらかじめ顧客に許可をとることで宣伝効率をあげ、 間違って見当違いの顧客に強引なアプローチしないようにというシステムです。 平たく言ってしまえば、近所の八百屋がお得いさんの好みを覚えているような、 商売の感覚を大規模にしたようなシステムになるのですが、 昨今のサムライ商売にうんざりしてきた私達にはこっちの方がうけが良いと思います。

有意義な情報というものは、必要とする側が探さなくては みつからないという節理を考えれば自然なのかもしれませんね。

それにしても、スパムメール。相手の社会的貢献度 (広告主が、お金や時間をどれだけ費やしているか)を考えると、 例え10秒でもこっちの時間やメール受信料が奪われることに腹がたちまさーね・・・。

ところで、文中にでてきた パーミションマーケティングの本、ちょっと、後半が纏まっていない所があるけど、 前半部分はもの凄く的確に現状を纏めているので、 マーケティングなどに興味のある方にお奨めね。
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