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027 超超超大火山特大噴火 2002/02/05

富士山が噴火するかもしれない…。

富士山地下で低周波地震が昨年から続いているのをうけての報告。
そんな驚くべき事柄を今更のように騒ぎ立てる驚くべきTV番組が日曜日の夕飯時に放映されていた。 そお!あの、CMの前には『驚くべき!』を必ず付けてしまう日テレ系の特命リサーチ200X[2月3日放送]である。

その驚くべき事実とは、富士山は活火山で近いうちに噴火する危険性があるというもの。 我々日本人にはなじみの深い山だけに、まさに驚くべき内容だ。

そんな番組を先行すること2〜3日前。 疲れたサラリーマンを演じて帰ってきた私の前で興味深い番組が放映されていた。 たまたま付けたTVがNHK教育にチャンネルが合わさっていたのは単なる偶然だが、 2月1日(金)放映の『地球時間 「知られざる超巨大火山」想像を絶するパワー▽噴火の可能性は?』 という番組だ。

おそらく米国のTV番組の焼き直しなのだが、その内容はまさに驚くべき内容であった。 富士山の噴火なんて、なんてちっさい事なんだろう・・・と思ってしまうぐらいの内容だ。

まさに地球という星は強烈なエネルギーを持った惑星であり、 環境破壊だ、地球温暖化だ、自然破壊だと騒いではいるが・・・。 所詮はそれも地球の営み。ちっちぇ話だ、そんな超ガイア理論をジで行くスケールである。

地球にはマグマというとっても熱いものが内部でのたくりまわっておるわけでごじゃりまする。 地球は生きた星ですので、この内部の営みに合わせてうすっぺらい地表はずるずると、 動いたり、地中にもぐりこんだりするわけです。
そして、その流動の過程で地球内部のマグマを放出する。いわゆる噴火を起こすわけです。

噴火というものにも大小がございまして、学術的に単位があるそうでございます。 なんでも、噴火した際に地表に放出した物質の量を換算いたしまして、 噴火マグニチュードとするそうでございます。この噴火マグニチュードは、だいたい1〜8ぐらいで換算され、 マグニチュードが1増えると噴出物は10倍になるそうでございます。

えぇ。なんでさっきから、こんな口調になるかというと、 不安を煽るのは好きじゃないし、かと言って専門家でもないのでよく説明できないからなんですけどね。 しばらくお付き合いくださいませ。

で、で、ございますね。
強烈な火山があるのでございますよ。世界には。

火山と呼ばれるもの。みなさん富士山のような山を思い浮かべちゃいませんか? しかし、ほんとに強烈な火山というのは、なにもかも吹き飛ばし、 巨大なクレータ(カルデラ)を形成するものなのだそうです。イメージできますか? 火山なのに、火口は窪んでいるわけです。山そのものが谷ぞこになっているのです。

アメリカにイエローストーン国立公園という、とてもこの世のものとは思えないほど綺麗な風景を持つ場所がございます。間欠泉が噴出し硫黄の匂い漂うこの地帯一帯は昔から火山帯であることがよく知られていました。
地層というのは色々物語ってくれるそうで、最後にイエローストーンが噴火をしたのが約60万年前。

大規模な噴火であったことが予測されていました。 しかし当時の研究班はその噴火口の痕跡を見つけることができず、 航空写真が取れる時代になるまでその火口はいったいどこなのか判明しませんでした。

それもその筈。
長径70km短径45kmに及ぶ国立公園そのものが火口だったのですよ!

いったい此れほどの火口を創ってしまう噴火というのはいかなものであるのか? その被害とはどれほどのものであるのか?単純に説明することは難しいかもしれないですね。
そこで、せっかくなので富士山を登場させましょう。 富士山最後の大噴火は1707年12月16日朝に南東山腹で起こったそうです。 これは富士山史上二番目に大きい噴火だそうで(一番は7万8千年まえ)、噴火マグニチュードに直すと[M5.2]となります。当時の江戸に4cmもの堆積物を放出ちゃってる勢いです。

富士山の噴火なんて見たことないから判らないよ・・・。という、あなた。
ごもっともです、私もみたことないのでイメージが湧きません。 では、最近噴火した火山を例にあげてみましょう。

M3 Unzen-1990 雲仙普賢岳[別資料によると最大…M4.6]
M2.9 Miyakejima-1983 三宅島

イメージ湧いたでしょうか?
先ほど、噴火マグニチュードが1増えると噴出物の量は10倍になると言いました。 あれほどの被害を出した普賢岳のマグニチュードが3ということは、 M5の富士山は100倍の噴出物を吐き出すということになります。100倍です。100倍。 くそでけぇ。でかすぎるよ。ふぅ。こんなのが火を噴いた火には言葉になりませんね。 驚くべき事実と連呼するのもうなずけるってもんです。

だがしかーーーし、世界には上がいるもので、 かの一瞬にして街を灰で埋め尽くしたことで有名なイタリアのポンペイ遺跡(西暦79年)。 あまりに一瞬の事でふもとの町では人々が当時の姿勢のまま灰に埋まり、 編物をした格好のまま出土するとか・・・。 これほどの被害をだしたヴェスヴィオ火山ですが、世界噴火歴史資料を漁ったところによると噴火マグニチュードは6.6にもなるそうです。富士山のさらに50倍!三宅島の5000倍!!?? 三宅島が5000個も同時に火を噴いたらそりゃ、天地もひっくり返ってしまいかねない勢いです。

なんかちょっと絶望的な気分になってきますね。 ここでちょっと気分転換。世界で一番大きな山ってどこなんでしょ? ハワイ島のマウナロア火山らしいですよー。海の底から測ると富士山の30倍以上にもなるんだってー。へー・・・。

さて、話題を戻しましょうか。 超巨大火山は山を形成しないと書きましたが、なぜ、山をつくらないか、わかり易いように説明してみたいと思います。
通常、どろっとしたマグマが地中奥深くから噴出してきた場合、 そのどろっとしたマグマが噴出口付近に体積し、崩落しては体積し、噴出しては堆積し、 お山が作られるわけです。

だけどね、放出すべきマグマの量が多い場合、ちょっと普通の噴火と形態が異なるらしくって・・・。 噴火により、マグマが受けてた圧力が軽減されると、 マグマ中に溶け込んでいた爆発性火山ガスが飛び出てくるわけさ。飛び出るとどーなるか。 軽減された圧力を引き金に逆にふざけた桁の圧力が発生するわけです。 この圧力(押し出す力)がマグマを一気に放出しようとするのさ。

これがいわゆる火柱を吹き上げるプリニー式噴煙柱だそーでございますよ。この火柱、成層圏にまで到達します。 なんか、地球の軌道がずれんじゃないか?とか思いません? そんな勢いで吹き出た後は、吹き出た分、陥没しカルデラを形成するわけですな。 富士山50個も噴出したらそりゃ、谷もできるでしょうよ。湖にもなるでしょうよ。海の底にも沈むでしょうよ。

日本では九州の阿蘇カルデラや姶良カルデラ(鹿児島湾の奥)、北海道の支笏カルデラ、十和田湖などが有名ですね。 (私が知ってるのは阿蘇ぐらいですが…。)

日本にもよ。こんな超巨大火山があるんですな。 ちなみに屋久島の北北西約40kmの海底に鬼界カルデラというものがありまして、6300年前に大爆発をおこしたそうです(その前は9.5万年前)。火山灰は、東北地方まで降り積もり、噴火マグニチュード8.1になるそうです。雲仙普賢岳のざっと10万倍。いかがでしょうか?

それはもぉ超超超大火山と呼ぶにふさわしいと思いませんか?


ちょっと、長くなったのでこの続きは次回に持ち越したいと思います。

今回の内容はちょっと内容が専門に及んでいるので、 素人の私には資料を充分に読み解けない所があります。
様々なサイトを参考にさせて頂きました。私的なサイトではございますが、 コラムを作るのに大変役に立ちました、この場を借りて感謝多謝。
群馬大学教育学部 早川由紀夫研究室
火山 用語集
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雲仙の噴火マグニチュードなんか…なんか…同じページから参照してきても値が違うんですけど…。
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