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「高山植物図鑑」登山道の花

「ブナの語源について」

下記の説が紹介される事が多いが、実際のところは不明というのが正しい。
「役に立たない木」→「歩の合わない木」→「ブナ」
●多分名が付けられた昔は、役に立っていたはずなので、この説は無い。
「ブーンと音の鳴る木」→「ブンナリノキ」→「ブナ」
●漢字が無いとの関連は良いが、変化の過程に無理が有る。


漢字については、結論から言えば、正しい漢字は無く「ブナ・ぶな」が正しい。
ブナの漢字は下記のものが当てられているのを見る事が有るが、これらは誤訳や創作漢字だ。
●「木無」←近年になって建築構造材に使おうとしたが、使えなかったので、役に立たない事から、最近日本で作った創作漢字。
●「椈」←公的に使われている事も有るが、中国ではブナの意味は全く無く、桧の意味なら有ると云う誤訳。
●「山毛欅」←中国産のブナの一種を指す名前。日本のブナとは異なる木なので誤訳。

上記は自論と「和泉晃一氏」の説にほぼ賛同して書いた。
氏はブナに「実菜」(むな)を当てているが、もっと明確に使われていた確証が欲しいところだ。

ブナ科 高木 黄緑系白〜緑 雄花
笠・球形集合

雌花
その他

実・種
春〜初夏





夏〜秋
s0069
s0654
s0096
s0896
北海道南部から九州に分布、里山から亜高山、地元では200m〜1700mに生え、背丈30m近く、幹周5−6mに達するものも有る落葉高木。
◇花と果実◇
花期は新緑の初め頃、垂れ下がった径10mmほどの毛玉は雄花、上向きや水平向き緑色で、先端に僅かな紅点が有るのが雌花。自家受粉をしない様、雄花と雌花、それぞれの木は、時期をずらして咲く。
毎年同じ程度に実るのでは無く、不作を数年続けたら5−6年に一度、大豊作になる事が有る。果実は生でもクルミ味で美味しいので、動物達の主要な餌になっている。
全国一斉にとまでは行かないが、広い範囲で豊作不作の、同じ現象をを繰り返すので、不作年にはブナ種子を食用にする動物が少なくなり、豊作年には食べ残しが出て、ブナが芽生えるのだと云う。
◇幹と葉◇
ブナ純林になる事が多く、地元では白山麓の純林が広い面積を持つ。
樹肌は白っぽい灰色だが、大木になると地衣類が着き、独特の模様になるのが特徴で、冬枯れのブナ林の樹肌は、地衣類が良く目立つ。
葉は楕円形で、大きさ5−8cm程度、葉脈が7−11対で平行に並び、縁は緩やかな鋸歯になっている。
◇似た仲間◇
イヌブナは良く似るが、葉脈の数が10−14対程度と多いのが特徴で、樹肌もやや黒い感じがある。
ブナ ブナ


ブナ実 ブナ種子
2005年秋は全国一斉と云っても良いほど、全国的にブナの実は豊作になった。04年は大凶作だったので、ブナの実を餌とする動物が飢死して少なくなったか、この映像の様に、落下したブナの実が大量に残っていた。




ブナ科 高木 黄緑系白〜緑 雄花
笠・球形集合

雌花
その他
s0417
s0554
◇ 葉 ◇
葉は互生し、大きさ5−10cm程度、日本海側雪国では大きくなり、太平洋側では小さい。両端が尖った楕円形で、縁には緩やかな鋸歯が有る。若葉の頃は毛に覆われているが次第に取れて無毛になる。
イヌブナと云われブナと良く似た種が有るが、葉脈数がブナの7〜11対に対し、イヌブナの10〜14対と多い。
多くの樹木は普通、葉脈は葉の縁の凸部に伸びるが、ブナは凹部に伸びる(落葉参照)、ただし、ムカシブナと呼ばれるものは、脈が凸部に伸びると云う。(ただ、この現象は、必ずしも昔のものが生き残ったのでは無く、昔帰りと言われ、他の植物でも時々見られる事らしい)
ブナ幼葉
脈が凸部伸びたり、鋸歯の様にになっている。
新緑の頃は毛深いが、やがて毛が無くなる。
ブナ落葉
脈が凹部に伸びている。