富山橋の富山流域のブナ林
◇唐堀山「岐阜県境尾根−大高山」
この度(2004年4月11日)、唐堀山から大高山にかけて縦走を試みた所、以前の
報告が事実とは大きく異なっていた事が判明しました。
今まで唐堀山ブナ林の報告をご覧になった方にお詫びを申し上げ、訂正報告を致します。
5:00過ぎ 我が家出発
連れは妻殿、距離は有っても登りが少ないし、藪漕ぎは下りになるので、何とかなるだ
ろうと、下山時の移動車の確保も有っての同行でした。
猪谷でR42からR360に分岐、蟹寺でトンネルから抜けた所で、右に分岐する細い
道路が有り、林道の様な旧道を1−2分行くとNHKアンテナへの登山口(270m辺り)
が有り、そこに下山用の車を置きます。
昨年の同時期はBUNAさんと2人、大高山の巨木だけを見るつもりで、ここから取り
付いたのですが、登山道は500m辺りで消えてしまい、それより上では猛烈な藪漕ぎ
を強いられ、700m辺りでも残雪に乗る事が出来ず、無念の下山をしたのでした。
今年はその反省も有って、距離が長く時間はかかっても、登山道の有る唐堀山に登り、
そこから縦走して大高山に向かって見る事にしたのでした。
蟹寺から更に長いトンネルに入って抜けた所で右旧道に分岐、JRガード下の登山口か
ら登ります。(05年4月、道路決壊で通行不可、国道トンネル扉、JR鉄橋利用)
6:35 出発(250m)
唐掘山は JRと関電鉄塔の作業道で、登山口には通行禁止の標識が有り、少々気が引
けますが、それを利用させてもらっての登山です。
500m辺りの尾根道に出会うまでは、ほとんどが杉植林に付けられたジグザグ道を登
り、県境沿いに行く様になるとブナ混じりの樹林になります。
7:35 鉄塔(600m辺り)
このルートは作業道のため、途中で鉄塔に出会います。最初(尾根道からは最初でない)
の鉄塔に出会うと、富山県側にしっかりしたブナ林が見えて来ます。
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鉄塔の上から本格的ブナ林が出て来る | 登山道脇の3.5m級ブナ |
登山道脇の太いものは3.5m程度でしょうか、期待を抱かせるブナ林ですが、4番目の
鉄塔を過ぎて高圧線と分かれると、杉植林になってしまいます。無雪期はこの杉植林の左
縁を通り、疎らなブナ林を見て頂上三角点です。
展望まあまあ、杉林と笹の頂上として紹介しているのは、今までの私の唐堀山ブナ林紹介
の通りです。
さて、今回は頂上へは向かわず、大高山方向へ行く為、杉植林に入り込みました。杉林は
右手に広がっており、頂上まで続いているのかと思っていましたが、これも間違いでした。
(頂上には少しの杉林が有るだけでした)
9:10 唐堀山頂上台地(1150m)
杉林を抜け頂上台地が近付くと太目のブナが見え始めて来ます。?・・・、頂上は杉植林
と藪で覆われていたはずだが・・・?
先回頂上に来た時はガスっており、頂上付近の様子は判らないまま、貧弱なブナの写真を
撮って紹介していました。その前頂上に来た時は槍ヶ岳などの展望が有った事は記憶に有
りますが、頂上は杉植林だった記憶しか有りません。
今、目の前に広がっている光景は、私が今まで持っていたこの山のイメージとは全
く違うものでした。
広く平坦な台地にブナ大木の林立、手始めに測定した老木は4.2m、元気の良さ
そうな大木は、3.8mでした。
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大木の林立 | 4.2m大木 |
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頂上台地に広がるブナ林 |
その他、三角点方向のあちこちに3m級がも見えていますが、今日は大高山方向が行き先
です。もしかしたら、頂上方向の方が良いブナが有るかもと、思いを残して方向転換でし
た。
しかし、その思いは5分も経たない内に薄れてしまい、次々と出て来るブナ大木に目を奪
われたのでした。
次に気になる大木を測定してみると4m越えで、これも元気な大木でした。一緒に行った
妻殿も、ここまでで早くもデジカメの電池やメモリーの不足を感じるほど撮影をしてしま
った様です。
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4m越え | 枝も栄えて |
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振り返ったブナ林 | 前方のブナ林 |
尾根は一端60mほど降り、次のピークに向かいます。振り返って見ても勿論、前方と左
はブナ大木林が続いています。
10:10 1130mピーク
このブナ林最大の見せ場はこのピークを過ぎた辺りでした。まず、4.5mの巨木を測定
します。
子抱きの様な巨木で、親の方は上部で幹が折れていますが、子は若木の様に元気でした。
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ブナ大木林 | 快適なブナ林を行く富山橋 |
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4.5m巨木、子抱き型ブナ |
その巨木を撮影しながら前方を見ると、またまた見事な大木が見えています。4.5mの
余韻に浸る間もなく次の測定です。
4.8mでした。これは巨木です、単木富山県第一位!、この先大高山の巨木を再測定し
なければ確定しませんが、まず間違いないでしょう。
太いツルアジサイ(?)がまとわり付いていますが、枝折れも無く空洞も見当たりません。
まだまだ元気な巨木でした。
もう今日の収穫は充分、大満足で下山しても良い気分でした。
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4.8m、富山県一位のブナ巨木 | 右端が4.8m |
この先はおまけと思ったのですが、ここで引き返すと又思いが残る事になると思い、前進
です。1100mから少し降りると伐採後の2次林の様相になりました。ああ、やっぱり
この辺りで良いブナ林は終わりかと思いました。
しかし、登り返すと原生林の様相になり、再び太ブナが続きます。4m越えのブナも出て、
幹周測定も楽しみます。ここまで来ればもう引き返すより大高山に向かった方が得策と、
太ブナを楽しみながらどんどん前進でした。
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細ブナ林 | 再び大木林に |
10:50 1098mの手前1100mのピーク
1095mのピークは昨年に昼食をした所です。今回もここで昼食を楽しみました。
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このピークと大高山の鞍部は何故か杉林が入り込んでいます。杉林を避け、左を廻って進
むと、大高山頂上付近の大木林です。
4m越えのブナが出て来ます、太い枝が折れていますが、今のところ空洞は見えていない
様です。
12:40 大高山頂上台地(1100m)
大高山頂上の巨木にも再会です。幹周を再測定しようと近付くと、昨年は残雪に埋まって
気付かなかった空洞が見えていました。少々残念な思いでしたが、幹周は昨年と同じ4.
7mでした。
空洞が有りますが、枝はまだしっかりしています。後100年は生き残って欲しいもので
す。
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大高山頂上台地ブナ林 | 空洞の見える4.7m巨木 |
さあ、下山です。何故この様に「さあ」などと付けるか、それは昨年のBUNAさんと向
かった藪尾根が残っているからです。
ブナ原生林はもう少し続き、次第に二次林になり、800m辺りまで残雪に乗って下山が
出来ました。
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大高山から下山し始めた頂上下のブナ林 | 伐採後の二次林(ブナ林末端) |
しかし、800mから500m辺りまでの藪は下山でも一級品でした。襲い掛かる藪、下
山時には誤りやすい尾根、途中で少しルートを外れ、登り返した時、妻殿はベソをかくの
ではないかと思ったほどでした。私も撮影など眼中に無く、ただルートを誤らない様、細
心の注意を払うだけでした。
14:55 鉄塔(460m)
無事作業道に出会いました。この先は移動用の車を置いた場所まで、花を愛でフキノトウ
などを摘み、素晴しかったブナ林の記憶と共に下山したのでした。
15:30 NHK登山口、移動車置場(280m)
◇唐堀山「岐阜県境尾根」
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1996年11月、頂上付近のブナ |
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2001年秋、尾根道と沢道との合流点付近のブナ林 |
猪谷でR42からR360に分岐、蟹寺でトンネルに入って抜けた所で旧道に分岐、JR
ガード下が第一登山口、更に進んで尾根を回り込んだ所に第二の登山口が有ります。
第二の登山口から10分ほど登った所で2m越えのブナに出合い、この先どんな立派なブ
ナが現れるのかと大いに期待が膨らみます。
しかし、その後は雑木の多いブナ林で、ブナも2mが最大と云うところで、純林には出会
えません。第一登山道と第二登山道が合流する辺りが良いブナ林でしょう。それより上部
では伐採後の雑木林や杉植林が多く、頂上まで杉植林が迫っています。
頂上を越えて大高山方向に行けばもう一度ブナ林に出会いますが、ここは登山道が無いの
で、行ける時期は残雪期と言う事になります。私はこの尾根のブナ林に入った事が無く
(2003年現在)唐堀山ー大高山間は是非歩いて見たいと思っています。
八尾側には桐谷から登る林道と登山道が有りますが、林道に鍵がかかっていると、林道歩
きが大変ですが、少ないながらブナ林を見る事が出来ます。
積雪が有る頃でも登山口まで車で行けるので、積雪期の山としても良いかも知れません。
途中で穂高や槍が展望出来るし、立山連峰も望め、所々では良い展望です。頂上展望はお
勧め出来ませんが、手頃に登る事が出来る山です。
全体時間:富山→1:50第二登山口→0:30第一道出合い→2:00頂上
ブナ時間:合計0:30
山行適期:年間通じて
登山道 :道有り、取り付きはJR鉄橋下と、その先高圧線下、水場はJR鉄橋下
交通 :マイカーで、R41・R360でJR鉄橋下まで