上宝村の特徴的な地形(1997.11.7:初稿/2007.1.8:最終稿)



素人の生半可な知識なので、語句の誤用等がたくさん含まれている可能性があります。これを鵜呑みにせずにちゃんとしたサイトなりで調査・確認されることをお勧めします。
お手もとに地形図等を準備されるとよりよろしいかと思います。
この頁の3D画像は、カシミール3Dで作成しました。
上宝村は2005年2月の市町村合併により高山市の一部となりましたが、当ページでは「上宝村」としないと伝わりにくい部分があるため、初稿当時の表現のままとしています。同様に、現高山市・飛騨市内の地名も旧町村名で表示しています。


 上宝村は岐阜県の東北端に位置し、東は長野県、北は富山県に接しています。
 北アルプスを源流とする高原川が村を東西方向に貫くように流れ、富山県境で高山市のほうから流れてくる宮川と合流して神通川となり日本海へとそそぎ、富山平野を潤しています。
 谷は河川の浸食による典型的なV字谷で、急峻な地形を作り出しています。W.M.デービスの唱えた侵食輪廻説でいうところの壮年期にあたります。したがって平坦部はほとんど存在せず、谷底にわずかに広がる平地があるのみです。
 火山の噴出物の堆積による平地が所々にあり、河川の浸食によって形成された河岸段丘が見られます。代表的なものとして、上宝村役場周辺に3段(東海大学 の説:岐阜大学では4段といってます。どっちがホントなんでしょう。見座を1段目に数えるかどうかの違いだけだと思いますが。)になった段丘があります。

dankyu
上宝村役場近くの河岸段丘
思ったより凹凸が表現されませんでした。
でも、なんとなく雰囲気だけでもわかりますかね。
高原川上流側の長倉付近から俯瞰した画像。


 奥飛騨温泉方面にもこれとよく似た地形が見受けられるんですが、私はそれも河岸段丘だと思っていたら、専門家の話ではどうやら違うようです。奥飛騨温泉方面の段丘は、火砕流の台地が侵食されて形成されているものなのだそうです。
新平湯温泉辺りの地形。
左上の山は「焼岳」。
焼岳の右下の平地が「大棚(おおだな)」と呼ばれる台地。
国道471号がくねくねと通っているところが通称「上地ヶ根」。
中尾温泉付近。左側が蒲田川上流。
蒲田川より一段高いところに上流側から、穂高平・鍋平・中尾温泉街・羽子平(はねだいら)と並んでいます。

 
北アルプス笠ヶ岳の横に氷河による侵食と見られるU字谷(杓子沢)が見ることができます(中尾温泉や鍋平園地から見ることができます)。
新穂高ロープウェイ鍋平高原駅付近から見た笠ヶ岳(右端)〜錫丈岳
すごくリアルっぽいけど、笠ヶ岳のピーク付近が緑色になることは現実的にはありません。(この辺がこのソフトの限界か?)


 上宝村に限らず、飛騨地方は傾動地塊と呼ばれる地形らしいです(昔、地学で習ったような気がする:違ってたらゴメンナサイ)。北アルプスを境にして西側(岐阜県側)は緩い傾斜で、東側(長野県側)は切り立っていて松本盆地へとつながっています。
 従って、松本側からは北アルプスがよく見えるのに、飛騨側ではあまり見えないということになります。実際、上宝村からでは、手前の低い山が重なり合っ て、北アルプスが見えるポイントはごく限られています。飛騨側から北アルプスを一望できるのは、ふもとの上宝村や丹生川村ではなく、高山市からです(かな り遠くなりますが)。
keidou
傾動地塊のイメージ図
中央アルプス駒ケ岳上空約5,000mから俯瞰した飛騨山地。
右端の平野は松本盆地、左端中央付近の盆地は高山盆地。
真ん中の高い山が北アルプス山脈。
上の線だけの絵よりはイメージしやすいかも。
遠くに突き出しているのは能登半島。
長野道松本IC付近から見た北アルプス。
穂高連峰方面のショットなんですが、実際は蝶ヶ岳・常念岳・大天井岳等に阻まれて見ることができません。
高山市の飛騨総合庁舎付近から見た北アルプス。上の画像と同じ画角です。
左から黒部五郎岳・笠ヶ岳(その右側に槍ヶ岳も見えるんですけど霞んで見えませんね)・右端が乗鞍岳。なんかリアル。

上宝村役場付近から黒部五郎岳〜笠ヶ岳方向を見る。上と画角は同じです。
手前の山が邪魔してほとんど見えませんね。
左側の谷の奥に黒部五郎岳や北ノ俣岳が見えています。
一番下の画像は、携帯電話のカメラでの実写。画角が違うので、多少見え方も違いますが、リアルに再現していますね。


 「笠ヶ岳」という「日本百名山」にも選ばれた山があります。標高は2,898m。頭に被る笠の形に似ているところから名付けられたようですが、どの方向から見てもちゃんと笠の形に見える(かどうかは見る人の感じ方次第ですが)というのも特徴的です。
 で、それを比較的お手軽に行ける場所からの画像で検証してみました。
平湯バスターミナル付近(標高約1,260m)から。
肉眼で見た感じに近い85mmのレンズの画角。
山頂までの距離およそ14km。
標高の算出は国土地理院1/25,000地形図の等高線を読み取り。
距離の算出はMapionのキョリ測(ベータ)を使用。

山頂が尖って見えますね。
蔵柱地内の主要地方道上(標高約780m)から。
平湯からと同じ画角。
山頂までの距離およそ24km。

春になると残雪が馬の形に見えるのはこの面。
山吹峠付近(標高約1,170m)から。
平湯からと同じ画角。
山頂までの距離およそ14km。

ここからが一番なだらかに見えます。
高山市街地の飛騨総合庁舎付近(標高約600m)から。
平湯からと同じ画角。
山頂までの距離およそ33km。
参考までに新穂高ロープウェイ西穂高口駅(標高約2,156m)付近から。
85mmでは近すぎるので、これのみ50mmの画角。
山頂までの距離およそ7km。



 余談:高原川沿いに下って神岡町へ出る以外に、他の市町村へ行こうとすると、必ず峠越えをしなければなりません。また、峠と越すと必ず他市町村へ出てし まいます。すなわち、上宝村はすべて支流も含めて高原川流域であるということです。主な峠として、大阪峠(→国府町)、山吹峠(→神岡町)、駒鼻峠・トヤ 峠・平湯峠(→丹生川村)、安房峠(→安曇村)などがあります。そのどれもが標高約1,000m超えですから、冬は交通事情に結構厳しいものがあります (冬期間閉鎖の峠も多い)。上宝村役場周辺や奥飛騨温泉郷の温泉街などで雪が降っていなくても、峠では吹雪、なんてこともよくあります。






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