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記念品:純金「優秀技術者章」
 
京都で、造園業「平岡常朝」の次男坊として生まれた事は、この度「京の名工」の受賞を受け、顧みますと、京都は日本庭園のメッカと言われている、この時点で恵まれた境遇と言わねば成りませんが、私は素直に、そうは思えなかった。 
父は、家業継承を独断で決め、封建的主従主義、1951年入門は有無なく、従わざるを得なかった。
入門2年目のこと「石組」が何たるか?など知る由もなかった私は、ある別荘の仕事で親父と数人の兄弟子達で、物騒なバカでかい石(一階の廂位ある石)を数個据えている仕事に連れて行かれた。
これが正に「石組」仕事で、その石組を観ていると、奇妙で表現仕様もない今まで味わったことのない不思議な気持ちになった、瞬間全身に電気が走り鳥肌が立つ感覚を憶えた。そしてその石と石の間から「子供が騒ぐ声」のような「うめき声」のような声が聞こえ、宇宙空間に誘導される様な錯覚 私はしばらくそこを動けなかった。
その時は誰にも何も聞けなかったが、その出来事は親父が私に感じさせた「石組」なのか、その不可解な感覚が後には石組空間の魅力に変わり、庭仕事に乗り気でなかった私を63年間引っ張り続け、釘付けにしたのでした。 
私が現在「石組」に拘るのは、私も誰かに奇妙な感覚を感じさせたい、その思いが消えない限り、粗密の石組空間から湧き出る魅力を追い続けると思う。確かに「石は生きている」と確信せざるを得なかったから。
この度、京都府から「京の名工」とんでもない、大きな賞を頂きました。「京の名工」この榮誉に値する庭師として恥ずかしくない「庭作品創り」を今後も使命感をもって邁進したいと思います。

 

 

           記念品:象嵌 飾皿